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貧しい少年・グレン
前編
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森の入口、子供でも入れるような場所にひっそりと立つ石柱がある。柱の隙間を抜けると苔むした祭壇があり、今では読めない古代文字がびっしりと刻まれていた。
そこは訪れる人々が皆跪き、願いを口にすることから「祈りの間」と呼ばれている。 風雨に晒され、荒れるばかりに見えるその場所だが、不思議と厳かな空気に包まれ、「確かに神はそこにいる」と思わせる不思議な場所だ。
祭壇の奥には、大きな石を根元に取り込んだ大樹がただ静かに佇んでいた。ある晴れた日の朝に訪れたのは、貧しい身なりの少年。森の恵みを供物に抱え、彼はいったい何を神に願うのか。
「かみさま、お母さんを助けてください」
森で拾った栗と、泉の水を汲んだ器。それらを祭壇に置いた少年は跪き、手を組み、涙とともに強い意志を携えた瞳でじっと大樹を見つめている。
「おかあさん、熱が出ちゃって、声もでないんです。このままじゃ……」
にじむ涙が雫になる一瞬、ざあっと一際大きな風が葉を揺らし、余韻を残して音が消えた。
『其方には選択肢を授けよう』
突然祈りの間を包み込むように、静かで重たい声が響いた。思わずあたりを見回した少年は、人影がないことを確認すると再度大樹へと目を向ける。
「かみさま……?」
呆然とつぶやく少年の問いに答える言葉はなく、降り注ぐ声は淡々と語る。
『其方の願いは確かに受け取った。母の病は不治ではない。故に、このまま戻り母の元で懸命に看病をするのも、ひとつの選択肢である』
「っ! おかあさん、治るの!?」
『ひとつは花茶。この木の根元に、夜と朝の間にだけ花を咲かせる草がある。その花を摘み、其方の汲んできた泉の水で花茶にすると良い。摘む花の数は、其方の歳の数のみでなければならない。それを飲ませよ』
少年は思わず自身の手を見つめ、指を広げ数える。
「歳の数だけ……?」
たった10個の花を集めるだけで、母が治る……?
天からの声は、静かに、しかし確かな重みをもって続いた。
『ひとつは血蜜。夜と朝の間に咲く花へ、其方の血を垂らせ。蜜と混じることで薬になる。ただし母の元へ向かう間、乾かしてはならぬ。それを飲ませよ』
「僕の血を花に……」
想像すると恐ろしい。血を飲ませるなんて聞いたことがない。乾かない量が必要なら、指の先では足りない。どこを切っても必ず痛い。
「でも、おかあさんはずっときつい思いをしてるし、それで治るなら……」
静かな声は尚も降ってくる。
『最後は貼り薬。この木の根元には、月のない夜にだけ咲く花もある。その花を摘み、燃やし、花灰を泉の泥と混ぜよ。花の数は5つだ。それ以上でもそれ以下でもない。そして決して飲み込んではならぬ。陽の光を当ててはならぬ。混ぜたものは喉に貼ると良い』
「お薬なのに飲んじゃだめなの?」
ひとつだけ毛色の違う選択肢。薬なのに飲んではならず、先のふたつと草も違う。数も決まっているし、更に泥と混ぜろと言う。
『選択肢は4つ。其方が選べ』
「僕がえらぶ……お母さんを、助けるために……」
『どの選択肢にも正解があり、代償がある。何も選ばず、母を信じることも正解のひとつ。其方が考え、道を決めよ。代償を恐れず、信ずる道を選ぶが良い』
幼い風貌に似合わぬ深いシワを眉間に作った少年は、降り注ぐ声が消えたあとも変わらず跪き、突然与えられた選択肢について考えている様子だった。
気付けば日は高く登り、祭壇に供えた供物のうちの栗だけが消えている。かみさまは本当にいたんだという感動と、聞いたこともない治療方法に対する困惑。様々な思いを抱えたまま、街の方角へと足を踏み出す。
祈りの間は、周囲の森から取り残されたような厳かな雰囲気のまま、少年が汲んだ泉の水と共にただそこに佇んでいた。
◇◇◇
突然示された複数の選択肢は、少年の心にしっかりと刻まれていた。
街へ帰る道すがら、うんうんと首をかしげる少年は正解と代償について考えている。
「かみさまは、どれを選んでも正解って言ってた……じゃあ、何もしなくてもおかあさんは元気になるのかな……?」
高熱にうなされ、声が出ない母。とてもそのまま治るとは思えない様子なのに、それもまた正解、と神は言う。
「……代償って、なんだろう?」
少年は、言葉が持つ不穏な響きに少しの恐怖を感じ足を止めた。振り返れば、あの大樹の葉はざぁざぁと音を立て、根元の大岩がこちらを見ているような気がする。
元々そう遠くない街と森の間。恐怖を振り切るように歩いていれば、少年の足でもすぐに辿り着く。街の入口に立つ門番の兵士は、朝早くに出ていった子が険しい顔で帰ってくる姿を見て声をかけた。
「おかえり、レン坊。そんな難しい顔してどうした?」
「あ、おじさん! ただいま。なんでもないよ……」
そういってうつむく少年の顔は険しく、朝方とは似ても似つかない。張り詰めた決意を秘めた表情をしていた早朝の少年が、今では悲壮感を漂わせ迷子の子供のような顔で地面を睨んでいる。
「あぁ……その道ってことは、森に行ってたんだよな。それでそんな顔ってことは、レン坊は会えたんだな?」
「え?」
「神様にお会いしたんだろ? おっかさんの病、長いもんな。お前は優しい子だし、祈りが届いてもおかしくないさ」
「おじさんも知ってるの?」
「もちろん。この街の人はみんな知ってるだろ? あの森には、選択の神が住んでいるってな」
「じゃあ、本当にかみさまなんだ……! っあのね! おじさん、かみさまはね――」
「レン坊、それ以上は言っちゃいけない。お前に与えられた選択肢は、お前だけのものだ」
「え、そんな……僕、難しくて、ずっと考えてたけど全然わかんないんだよ。どうしたらいい?」
「ん……そうだなぁ。神様はな、嘘は言わない。レン坊ができないことも言わない。もし、治るって言ったんなら、治る。でもそうじゃないなら、治らないかもしれない」
門番はもう少し言葉を濁した方がよかったかと言った後に思うが、ここで濁していてもおそらく少年の母は助からない。そう珍しい病ではないが、悪化すると途端に体力を奪う。力のない者から命を刈り取っていく。
「……おかあさんの病は不治じゃないって言ってた。けど、治るって、言ってない……全部正解だけど、代償があるって」
「なるほどな、そりゃ難しいなぁ……」
顎に手を当てた門番は、言葉を切り空を睨む。幼い少年が直面した問題は、少年自身が解決しなければならない。他人の意見に左右された選択は、本当に望む結果が得られなかったときに大きな恨みを残すことになるからだ。
風が二人の間を分かつ。少年は、地面を見つめたままポツリと口を開く。
「ねえ、おじさん。代償って……なあに?」
門番は目を見開いた。
少年は、何を選べばいいのか迷っているのではない。どう選ぶべきかを悩んでいるのだ。ただ幼いだけだと思っていた少年が、いつの間にか物事へ真剣に向き合えるほどに成長している――そのことに気づいた門番は、思わず優しい顔を向ける。門番と同じ兵士だった少年の父の面影をそこに見て、胸が熱くなる。
母の病は重く、状況は何も変わっていない。
それでも門番は、少年の言葉に一筋の希望を感じた。
この子なら、きっと大丈夫。
少年の父親と同じように、たとえ苦しい選択を迫られても向き合える強さを持っている。そんな予感が、門番の胸に確かに宿った。
「そうだなぁ、代償か……うん、わかりやすく言えば、手放すもの、だな」
「てばなすもの……?」
「ああ。おっかさんの病を治すために、何を手放すのか、失うのか――それが、代償だ」
「病を治すために、うしなうもの……」
「何を失うのかは、選んでみないとわからないんだ。だからな、レン坊」
そういった門番は、しゃがみ込み、しっかりと少年を目を合わせる。どうかこの思いが伝わってほしい、後悔しないでほしいと願いを込めて。
「お前はこれから何かを手に入れて、何かをあきらめる。それは取り返しのつかないものかもしれない。レン坊にはまだちと難しいかもしれないが……おっかさんが苦しそうだからって焦って決めるんじゃないぞ? 何を選んだっていいんだ。でもな、一度しか決められないんだからな」
「うん……うん。おじさん、ありがとう」
「ああ。帰ってじっくり考えるんだぞ」
◇◇◇
「おかあさん、ただいま」
自宅へ戻った少年は、母の眠るベッドの近くまで行き、そっと声をかけた。 熱が下がる様子はなく、はぁはぁと荒い息を吐いている。少しでも体が冷えることを願って、額に乗せた手拭いをたらいで冷やし、再度のせる。寝ている母の邪魔にならないよう、静かに傍へ座り込み、そっと母の手を握った。
「あのね、今日、かみさまの声を聞いたの。おかあさんを助けてくださいってお願いしたらね、選びなさいって、聞こえてきたの」
思い出すのは、大樹の根元に飲み込まれた大きな石。
静かに、ただ降り注ぐように降ってくる神の声。
不治ではないと言いながらも複数ある選択肢――。
「ねえおかあさん、何を選んでも全部正解なんだって。じゃあ、なんで選ばなきゃいけないのかな?」
ゆっくりと、かみしめるように神の選択肢を思い出す少年は、最初の選択肢でもあった”なにもしない”がどうしても引っかかっていた。
「かみさまはね、何も選ばないことも正解っていうの。でも、今までとおんなじようにしてて、ほんとうにおかあさんは元気になれるかな?」
目の前の母は、だれがどう見ても苦しそうで、熱が下がる様子もない。食べる量も少なくなって、子供の目でもわかるほど痩せてしまった。お金がないから医者に見せることもできず、薬を買うこともできない。どの選択肢にも代償があるといった神。それは手放すことだと教えてくれた門番のおじさん。では”なにも選ばない”を選んだら、何を手放す事になるのか。
「門番のおじさんがね、代償はてばなすものだって教えてくれたんだよ。何も選ばず、このまま待ってて治るなら、じゃあなんの代償もないはずだよね? だって、かみさまにお願いしなくても一緒なんだもん」
なのになぜ神は選ばないことも選択肢に入れたのか。どうしても気になる少年は、母へ語る形で思考を整理しつつ自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「……ぼくね、何も選ばなかったら、代償はおかあさんなんじゃないかなって思うの。かみさまはおかあさんを信じてって言ってたけど、おかあさん、ご飯も食べれなくなっちゃったもん」
口にするのも恐ろしいとばかりに表情を歪めながらも思考は止められず、ぽろぽろと涙と言葉をこぼしていく。
「だからね……だから、ぼく……」
ふ、と握っていた母の手が動いた気がして顔を上げる。苦しくて眠っているのだと思っていたが起きていたようだ。苦しそうな表情の中に少年を案ずる色が見え、少年はますます意思を固めていく。
「おはよう、おかあさん。お水、飲める? ぼく用意してくるね!」
少年は朝のうちに汲んでいた水を掬い、コップへと注ぐ。額に乗せていた手ぬぐいも再度濡らして冷やす。ちいさな匙で母の唇を湿らせると、近くのパン屋がくれた硬くなったパンに水を含ませ口へと入れる。母の熱が続き、すっかり慣れた手つきで行われる看病は、それでも病を治すに充分とは言えない。母は日に日に衰え、苦しみ、弱っていく。
「ぼくがもっとなんでも出来たらよかったよね。お薬も買えなくてごめんね。」
かいがいしく世話をする傍ら、少年はいつもこうして謝る。そのたびに母は首を振り、充分だ、そんなこと考えなくていいんだよ、愛しているよと心を込めて少年を見つめているのだが、少年の表情は一向に晴れない。病にかからなければ抱きしめてあげられるのに。喉が治れば、愛していると伝えられるのに。もどかしく、情けない思いを抱えたまま、母はただ首を振ることしかできなかった。
「だからね、おかあさん。ぼくね、かみさまが教えてくれたお薬、作るよ」
本当は怖い。どの薬を作るにしても、夜の森へ入らなくてはならないのだから。母も、門番の兵士も、子供は夜の外に出てはいけないと口を酸っぱくして言っていた。
夜の間、母から離れるのも怖い。離れてる間に何かあったらどうしようと思うと足がすくむ。街の門も閉まってしまう。こわい魔物が来るよ、悪い人に連れ去られてしまうよと何度も繰り返された言いつけを破るのはとても恐ろしいことだけれど、多分そうしなければ母は治らないのだ。怖い怖いと恐れてばかりではいられない。
「……グ、グレ、ン」
母は持てる力のすべてを使って息子の手を握り、枯れた声を絞り出す。まだまだ幼い、かわいいかわいい私の息子。こんな悲壮な表情で決意を固めさせてはいけない。危険なことはしてほしくないし、私はどうなっても、この子には元気でいてほしい。
「、ダ……メ、あぶ、ない、わ」
「おかあさん……!」
「ごめ、んね……は、やく、なおす、からね……」
ほんの一言、二言話しただけで母は目を閉じ、苦しそうにうなされてしまう。それでも握った手には少しの力があり、離れてほしくないと少年へと意思を伝える。
数日前までは、声が出にくくともこんなに苦しそうではなかった。日に日に病は母を蝕んでいく。熱を出し、声を枯れさせ、そして最後には命を奪ってしまうかもしれない。何もできず、手をこまねいていればどうなるか……。
母が息子を心配する気持ちは、正しく少年へとは伝わらなかった。
苦しそうな表情で出ない声を絞り出すその姿は、弱々しすぎるその手の力は、少年の決意をさらに固める方に後押ししてしまった。
「おかあさん、待っててね……!」
そうつぶやいたグレンは、落ちてしまった母の額の手ぬぐいを戻し、自身のお腹を満たすため食堂へ向かう。しかしその頭の中はどの薬を作るか、その代償は何なのか、それだけでいっぱいになってしまった。
うっすらと聞こえる母の呼吸音を背中に、もそもそとパンを水で流し込みながら改めてじっくりと考える。
「花茶と、血蜜は、同じおはな……でも、花の数が違うのは何でだろう?」
一人の食卓で、ぼそぼそと声を漏らしながら少年は考える。
「花の蜜がお薬になるなら、なんで血を使うのかなぁ。花だけでお薬になるんなら、血はいらないよね……? 血を使ったら、花はひとつだけでいいのに、花茶はなんで10もいるんだろう」
それぞれの選択肢を思い浮かべながら、ひとつひとつ考えていく。花茶に必要な花の数は10。しかし、血蜜を作るなら同じ花なのにひとつだけ。血が病を治すのか? 花茶で10も必要なのはなぜなのか?
「血蜜の代償は、ぼくの血、かな……? ぼくがケガしたら、きっとおかあさんは心配するから……じゃあ、花茶は……ぼくは痛くならないから、おかあさんが痛いのかな……」
どう考えても花茶が一番作りやすい。夜間に外出する必要があるのは皆同じ。集める花も同じ場所にある。合わせる材料はそれぞれ、水・血・泥だ。しかも花茶は、神様の祭壇に供えた泉の水を使うのだという。あの場所にさえ行けば作れてしまう。
「かみさまの力があの水に入ってるから薬になるのかな……? あ、でも、かみさまの力なのに、僕の血よりも花の蜜が必要ってこと……?」
わからない。同じ花を使うからと花茶と血蜜を比べてみたが、同じ病を治す薬となる理由に納得できない。母に血を飲ませることへの拒否感もあり、少年の思考がぐるぐると同じところをなぞり始める。
「うう……難しいよ……! 貼り薬は、えーと……月のない夜って、そろそろじゃなかったっけ……?」
新月は明日の夜だ。神の言葉は今の少年ができないことは言わないと門番は言っていた。太陽の光にあてず、花の灰を泥と混ぜ喉に貼る。正直なぜこれが薬になるのかがわからない。わからないが、少年はなんとなくこの薬を作ろうと思っていた。この選択肢だけ、してはいけないことが多く、花も違う。けれど、同じ花を使うのに必要な量が違う他のふたつにどうしても納得がいかなかった。
「おひさまにあてないのは、夜に咲く花だから……? 泥と混ぜるのは、貼りやすくするためだよね、たぶん。おかあさん、声が出ないから、病はノドにいるかもしれないし……でも、外から貼るだけで治るの? 代償は……ダメなことが多いのと関係があるのかな」
もしかすると、ほかのふたつより失敗しやすいのかもしれない。お茶にするだけ、血を垂らすだけと違って、燃やして、混ぜなければならない。それに泉の場所は遠くないが、森の入り口から祈りの間へ行く道とは反対方向にある。そこへ行き、泥を取らなければならないのだ。闇夜の中で水に入るなんて、と少年は押さえつけていた恐怖が再び顔を出し、情けない顔になってしまう。
「……どうしよう、絶対作れる花茶にしようかな……だって、どれを選んでも治るはず。かみさまが言ってた不治じゃないって、そういうことだよね……?」
夜の森へ対する怖い気持ちが膨らみ、危険が少なそうな花茶へと心が揺れる。治るとも治らないとも言われていないが、薬がある以上治るはず、と少年は無意識に母が死ぬ可能性を考えないようにしていた。
心の中で傾いた天秤が揺れ、それに合わせて少年の体もゆらゆら揺れる。勘に従い、貼り薬を作るのか。危険が少なそうな花茶にするのか……考えすぎて疲れてきた少年は、少しふわふわとしてきた頭でぼんやりと食卓の水を眺めながら思考する。
ふとその時、隣の寝室から母のせき込む声が聞こえてきた。気づけば外は夕焼けに染まりつつあり、室内もだいぶ暗くなってしまった。何か少しでも口にしてもらわなければ、と少年は寝室へ向かい、母のそばで看病を始める。
差し込む夕日の温かさも薄れてきた。冷える前にと寝床を整え、窓の戸を閉める。
やはり母の苦しむ姿を見るのはつらい。どうにか治ってほしい。それなのに、自分が怖いからって理由で薬を決定するのはダメなんじゃないか? と少年は悩む。隣から聞こえてくる母の苦しそうな息遣いと、夜の森へ対する恐ろしさ。理解できない薬の作り方に、まだ見えぬ代償……。
もし貼り薬を作るなら明日の夜しかない。悩む時間もあまり残されていない少年は、難しい顔をしたまま床につき、勘と恐怖のはざまで眠りについた。
そこは訪れる人々が皆跪き、願いを口にすることから「祈りの間」と呼ばれている。 風雨に晒され、荒れるばかりに見えるその場所だが、不思議と厳かな空気に包まれ、「確かに神はそこにいる」と思わせる不思議な場所だ。
祭壇の奥には、大きな石を根元に取り込んだ大樹がただ静かに佇んでいた。ある晴れた日の朝に訪れたのは、貧しい身なりの少年。森の恵みを供物に抱え、彼はいったい何を神に願うのか。
「かみさま、お母さんを助けてください」
森で拾った栗と、泉の水を汲んだ器。それらを祭壇に置いた少年は跪き、手を組み、涙とともに強い意志を携えた瞳でじっと大樹を見つめている。
「おかあさん、熱が出ちゃって、声もでないんです。このままじゃ……」
にじむ涙が雫になる一瞬、ざあっと一際大きな風が葉を揺らし、余韻を残して音が消えた。
『其方には選択肢を授けよう』
突然祈りの間を包み込むように、静かで重たい声が響いた。思わずあたりを見回した少年は、人影がないことを確認すると再度大樹へと目を向ける。
「かみさま……?」
呆然とつぶやく少年の問いに答える言葉はなく、降り注ぐ声は淡々と語る。
『其方の願いは確かに受け取った。母の病は不治ではない。故に、このまま戻り母の元で懸命に看病をするのも、ひとつの選択肢である』
「っ! おかあさん、治るの!?」
『ひとつは花茶。この木の根元に、夜と朝の間にだけ花を咲かせる草がある。その花を摘み、其方の汲んできた泉の水で花茶にすると良い。摘む花の数は、其方の歳の数のみでなければならない。それを飲ませよ』
少年は思わず自身の手を見つめ、指を広げ数える。
「歳の数だけ……?」
たった10個の花を集めるだけで、母が治る……?
天からの声は、静かに、しかし確かな重みをもって続いた。
『ひとつは血蜜。夜と朝の間に咲く花へ、其方の血を垂らせ。蜜と混じることで薬になる。ただし母の元へ向かう間、乾かしてはならぬ。それを飲ませよ』
「僕の血を花に……」
想像すると恐ろしい。血を飲ませるなんて聞いたことがない。乾かない量が必要なら、指の先では足りない。どこを切っても必ず痛い。
「でも、おかあさんはずっときつい思いをしてるし、それで治るなら……」
静かな声は尚も降ってくる。
『最後は貼り薬。この木の根元には、月のない夜にだけ咲く花もある。その花を摘み、燃やし、花灰を泉の泥と混ぜよ。花の数は5つだ。それ以上でもそれ以下でもない。そして決して飲み込んではならぬ。陽の光を当ててはならぬ。混ぜたものは喉に貼ると良い』
「お薬なのに飲んじゃだめなの?」
ひとつだけ毛色の違う選択肢。薬なのに飲んではならず、先のふたつと草も違う。数も決まっているし、更に泥と混ぜろと言う。
『選択肢は4つ。其方が選べ』
「僕がえらぶ……お母さんを、助けるために……」
『どの選択肢にも正解があり、代償がある。何も選ばず、母を信じることも正解のひとつ。其方が考え、道を決めよ。代償を恐れず、信ずる道を選ぶが良い』
幼い風貌に似合わぬ深いシワを眉間に作った少年は、降り注ぐ声が消えたあとも変わらず跪き、突然与えられた選択肢について考えている様子だった。
気付けば日は高く登り、祭壇に供えた供物のうちの栗だけが消えている。かみさまは本当にいたんだという感動と、聞いたこともない治療方法に対する困惑。様々な思いを抱えたまま、街の方角へと足を踏み出す。
祈りの間は、周囲の森から取り残されたような厳かな雰囲気のまま、少年が汲んだ泉の水と共にただそこに佇んでいた。
◇◇◇
突然示された複数の選択肢は、少年の心にしっかりと刻まれていた。
街へ帰る道すがら、うんうんと首をかしげる少年は正解と代償について考えている。
「かみさまは、どれを選んでも正解って言ってた……じゃあ、何もしなくてもおかあさんは元気になるのかな……?」
高熱にうなされ、声が出ない母。とてもそのまま治るとは思えない様子なのに、それもまた正解、と神は言う。
「……代償って、なんだろう?」
少年は、言葉が持つ不穏な響きに少しの恐怖を感じ足を止めた。振り返れば、あの大樹の葉はざぁざぁと音を立て、根元の大岩がこちらを見ているような気がする。
元々そう遠くない街と森の間。恐怖を振り切るように歩いていれば、少年の足でもすぐに辿り着く。街の入口に立つ門番の兵士は、朝早くに出ていった子が険しい顔で帰ってくる姿を見て声をかけた。
「おかえり、レン坊。そんな難しい顔してどうした?」
「あ、おじさん! ただいま。なんでもないよ……」
そういってうつむく少年の顔は険しく、朝方とは似ても似つかない。張り詰めた決意を秘めた表情をしていた早朝の少年が、今では悲壮感を漂わせ迷子の子供のような顔で地面を睨んでいる。
「あぁ……その道ってことは、森に行ってたんだよな。それでそんな顔ってことは、レン坊は会えたんだな?」
「え?」
「神様にお会いしたんだろ? おっかさんの病、長いもんな。お前は優しい子だし、祈りが届いてもおかしくないさ」
「おじさんも知ってるの?」
「もちろん。この街の人はみんな知ってるだろ? あの森には、選択の神が住んでいるってな」
「じゃあ、本当にかみさまなんだ……! っあのね! おじさん、かみさまはね――」
「レン坊、それ以上は言っちゃいけない。お前に与えられた選択肢は、お前だけのものだ」
「え、そんな……僕、難しくて、ずっと考えてたけど全然わかんないんだよ。どうしたらいい?」
「ん……そうだなぁ。神様はな、嘘は言わない。レン坊ができないことも言わない。もし、治るって言ったんなら、治る。でもそうじゃないなら、治らないかもしれない」
門番はもう少し言葉を濁した方がよかったかと言った後に思うが、ここで濁していてもおそらく少年の母は助からない。そう珍しい病ではないが、悪化すると途端に体力を奪う。力のない者から命を刈り取っていく。
「……おかあさんの病は不治じゃないって言ってた。けど、治るって、言ってない……全部正解だけど、代償があるって」
「なるほどな、そりゃ難しいなぁ……」
顎に手を当てた門番は、言葉を切り空を睨む。幼い少年が直面した問題は、少年自身が解決しなければならない。他人の意見に左右された選択は、本当に望む結果が得られなかったときに大きな恨みを残すことになるからだ。
風が二人の間を分かつ。少年は、地面を見つめたままポツリと口を開く。
「ねえ、おじさん。代償って……なあに?」
門番は目を見開いた。
少年は、何を選べばいいのか迷っているのではない。どう選ぶべきかを悩んでいるのだ。ただ幼いだけだと思っていた少年が、いつの間にか物事へ真剣に向き合えるほどに成長している――そのことに気づいた門番は、思わず優しい顔を向ける。門番と同じ兵士だった少年の父の面影をそこに見て、胸が熱くなる。
母の病は重く、状況は何も変わっていない。
それでも門番は、少年の言葉に一筋の希望を感じた。
この子なら、きっと大丈夫。
少年の父親と同じように、たとえ苦しい選択を迫られても向き合える強さを持っている。そんな予感が、門番の胸に確かに宿った。
「そうだなぁ、代償か……うん、わかりやすく言えば、手放すもの、だな」
「てばなすもの……?」
「ああ。おっかさんの病を治すために、何を手放すのか、失うのか――それが、代償だ」
「病を治すために、うしなうもの……」
「何を失うのかは、選んでみないとわからないんだ。だからな、レン坊」
そういった門番は、しゃがみ込み、しっかりと少年を目を合わせる。どうかこの思いが伝わってほしい、後悔しないでほしいと願いを込めて。
「お前はこれから何かを手に入れて、何かをあきらめる。それは取り返しのつかないものかもしれない。レン坊にはまだちと難しいかもしれないが……おっかさんが苦しそうだからって焦って決めるんじゃないぞ? 何を選んだっていいんだ。でもな、一度しか決められないんだからな」
「うん……うん。おじさん、ありがとう」
「ああ。帰ってじっくり考えるんだぞ」
◇◇◇
「おかあさん、ただいま」
自宅へ戻った少年は、母の眠るベッドの近くまで行き、そっと声をかけた。 熱が下がる様子はなく、はぁはぁと荒い息を吐いている。少しでも体が冷えることを願って、額に乗せた手拭いをたらいで冷やし、再度のせる。寝ている母の邪魔にならないよう、静かに傍へ座り込み、そっと母の手を握った。
「あのね、今日、かみさまの声を聞いたの。おかあさんを助けてくださいってお願いしたらね、選びなさいって、聞こえてきたの」
思い出すのは、大樹の根元に飲み込まれた大きな石。
静かに、ただ降り注ぐように降ってくる神の声。
不治ではないと言いながらも複数ある選択肢――。
「ねえおかあさん、何を選んでも全部正解なんだって。じゃあ、なんで選ばなきゃいけないのかな?」
ゆっくりと、かみしめるように神の選択肢を思い出す少年は、最初の選択肢でもあった”なにもしない”がどうしても引っかかっていた。
「かみさまはね、何も選ばないことも正解っていうの。でも、今までとおんなじようにしてて、ほんとうにおかあさんは元気になれるかな?」
目の前の母は、だれがどう見ても苦しそうで、熱が下がる様子もない。食べる量も少なくなって、子供の目でもわかるほど痩せてしまった。お金がないから医者に見せることもできず、薬を買うこともできない。どの選択肢にも代償があるといった神。それは手放すことだと教えてくれた門番のおじさん。では”なにも選ばない”を選んだら、何を手放す事になるのか。
「門番のおじさんがね、代償はてばなすものだって教えてくれたんだよ。何も選ばず、このまま待ってて治るなら、じゃあなんの代償もないはずだよね? だって、かみさまにお願いしなくても一緒なんだもん」
なのになぜ神は選ばないことも選択肢に入れたのか。どうしても気になる少年は、母へ語る形で思考を整理しつつ自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「……ぼくね、何も選ばなかったら、代償はおかあさんなんじゃないかなって思うの。かみさまはおかあさんを信じてって言ってたけど、おかあさん、ご飯も食べれなくなっちゃったもん」
口にするのも恐ろしいとばかりに表情を歪めながらも思考は止められず、ぽろぽろと涙と言葉をこぼしていく。
「だからね……だから、ぼく……」
ふ、と握っていた母の手が動いた気がして顔を上げる。苦しくて眠っているのだと思っていたが起きていたようだ。苦しそうな表情の中に少年を案ずる色が見え、少年はますます意思を固めていく。
「おはよう、おかあさん。お水、飲める? ぼく用意してくるね!」
少年は朝のうちに汲んでいた水を掬い、コップへと注ぐ。額に乗せていた手ぬぐいも再度濡らして冷やす。ちいさな匙で母の唇を湿らせると、近くのパン屋がくれた硬くなったパンに水を含ませ口へと入れる。母の熱が続き、すっかり慣れた手つきで行われる看病は、それでも病を治すに充分とは言えない。母は日に日に衰え、苦しみ、弱っていく。
「ぼくがもっとなんでも出来たらよかったよね。お薬も買えなくてごめんね。」
かいがいしく世話をする傍ら、少年はいつもこうして謝る。そのたびに母は首を振り、充分だ、そんなこと考えなくていいんだよ、愛しているよと心を込めて少年を見つめているのだが、少年の表情は一向に晴れない。病にかからなければ抱きしめてあげられるのに。喉が治れば、愛していると伝えられるのに。もどかしく、情けない思いを抱えたまま、母はただ首を振ることしかできなかった。
「だからね、おかあさん。ぼくね、かみさまが教えてくれたお薬、作るよ」
本当は怖い。どの薬を作るにしても、夜の森へ入らなくてはならないのだから。母も、門番の兵士も、子供は夜の外に出てはいけないと口を酸っぱくして言っていた。
夜の間、母から離れるのも怖い。離れてる間に何かあったらどうしようと思うと足がすくむ。街の門も閉まってしまう。こわい魔物が来るよ、悪い人に連れ去られてしまうよと何度も繰り返された言いつけを破るのはとても恐ろしいことだけれど、多分そうしなければ母は治らないのだ。怖い怖いと恐れてばかりではいられない。
「……グ、グレ、ン」
母は持てる力のすべてを使って息子の手を握り、枯れた声を絞り出す。まだまだ幼い、かわいいかわいい私の息子。こんな悲壮な表情で決意を固めさせてはいけない。危険なことはしてほしくないし、私はどうなっても、この子には元気でいてほしい。
「、ダ……メ、あぶ、ない、わ」
「おかあさん……!」
「ごめ、んね……は、やく、なおす、からね……」
ほんの一言、二言話しただけで母は目を閉じ、苦しそうにうなされてしまう。それでも握った手には少しの力があり、離れてほしくないと少年へと意思を伝える。
数日前までは、声が出にくくともこんなに苦しそうではなかった。日に日に病は母を蝕んでいく。熱を出し、声を枯れさせ、そして最後には命を奪ってしまうかもしれない。何もできず、手をこまねいていればどうなるか……。
母が息子を心配する気持ちは、正しく少年へとは伝わらなかった。
苦しそうな表情で出ない声を絞り出すその姿は、弱々しすぎるその手の力は、少年の決意をさらに固める方に後押ししてしまった。
「おかあさん、待っててね……!」
そうつぶやいたグレンは、落ちてしまった母の額の手ぬぐいを戻し、自身のお腹を満たすため食堂へ向かう。しかしその頭の中はどの薬を作るか、その代償は何なのか、それだけでいっぱいになってしまった。
うっすらと聞こえる母の呼吸音を背中に、もそもそとパンを水で流し込みながら改めてじっくりと考える。
「花茶と、血蜜は、同じおはな……でも、花の数が違うのは何でだろう?」
一人の食卓で、ぼそぼそと声を漏らしながら少年は考える。
「花の蜜がお薬になるなら、なんで血を使うのかなぁ。花だけでお薬になるんなら、血はいらないよね……? 血を使ったら、花はひとつだけでいいのに、花茶はなんで10もいるんだろう」
それぞれの選択肢を思い浮かべながら、ひとつひとつ考えていく。花茶に必要な花の数は10。しかし、血蜜を作るなら同じ花なのにひとつだけ。血が病を治すのか? 花茶で10も必要なのはなぜなのか?
「血蜜の代償は、ぼくの血、かな……? ぼくがケガしたら、きっとおかあさんは心配するから……じゃあ、花茶は……ぼくは痛くならないから、おかあさんが痛いのかな……」
どう考えても花茶が一番作りやすい。夜間に外出する必要があるのは皆同じ。集める花も同じ場所にある。合わせる材料はそれぞれ、水・血・泥だ。しかも花茶は、神様の祭壇に供えた泉の水を使うのだという。あの場所にさえ行けば作れてしまう。
「かみさまの力があの水に入ってるから薬になるのかな……? あ、でも、かみさまの力なのに、僕の血よりも花の蜜が必要ってこと……?」
わからない。同じ花を使うからと花茶と血蜜を比べてみたが、同じ病を治す薬となる理由に納得できない。母に血を飲ませることへの拒否感もあり、少年の思考がぐるぐると同じところをなぞり始める。
「うう……難しいよ……! 貼り薬は、えーと……月のない夜って、そろそろじゃなかったっけ……?」
新月は明日の夜だ。神の言葉は今の少年ができないことは言わないと門番は言っていた。太陽の光にあてず、花の灰を泥と混ぜ喉に貼る。正直なぜこれが薬になるのかがわからない。わからないが、少年はなんとなくこの薬を作ろうと思っていた。この選択肢だけ、してはいけないことが多く、花も違う。けれど、同じ花を使うのに必要な量が違う他のふたつにどうしても納得がいかなかった。
「おひさまにあてないのは、夜に咲く花だから……? 泥と混ぜるのは、貼りやすくするためだよね、たぶん。おかあさん、声が出ないから、病はノドにいるかもしれないし……でも、外から貼るだけで治るの? 代償は……ダメなことが多いのと関係があるのかな」
もしかすると、ほかのふたつより失敗しやすいのかもしれない。お茶にするだけ、血を垂らすだけと違って、燃やして、混ぜなければならない。それに泉の場所は遠くないが、森の入り口から祈りの間へ行く道とは反対方向にある。そこへ行き、泥を取らなければならないのだ。闇夜の中で水に入るなんて、と少年は押さえつけていた恐怖が再び顔を出し、情けない顔になってしまう。
「……どうしよう、絶対作れる花茶にしようかな……だって、どれを選んでも治るはず。かみさまが言ってた不治じゃないって、そういうことだよね……?」
夜の森へ対する怖い気持ちが膨らみ、危険が少なそうな花茶へと心が揺れる。治るとも治らないとも言われていないが、薬がある以上治るはず、と少年は無意識に母が死ぬ可能性を考えないようにしていた。
心の中で傾いた天秤が揺れ、それに合わせて少年の体もゆらゆら揺れる。勘に従い、貼り薬を作るのか。危険が少なそうな花茶にするのか……考えすぎて疲れてきた少年は、少しふわふわとしてきた頭でぼんやりと食卓の水を眺めながら思考する。
ふとその時、隣の寝室から母のせき込む声が聞こえてきた。気づけば外は夕焼けに染まりつつあり、室内もだいぶ暗くなってしまった。何か少しでも口にしてもらわなければ、と少年は寝室へ向かい、母のそばで看病を始める。
差し込む夕日の温かさも薄れてきた。冷える前にと寝床を整え、窓の戸を閉める。
やはり母の苦しむ姿を見るのはつらい。どうにか治ってほしい。それなのに、自分が怖いからって理由で薬を決定するのはダメなんじゃないか? と少年は悩む。隣から聞こえてくる母の苦しそうな息遣いと、夜の森へ対する恐ろしさ。理解できない薬の作り方に、まだ見えぬ代償……。
もし貼り薬を作るなら明日の夜しかない。悩む時間もあまり残されていない少年は、難しい顔をしたまま床につき、勘と恐怖のはざまで眠りについた。
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