虐げられ続け、名前さえ無い少女は王太子に拾われる

黒ハット

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第30話、闇魔法使いとの戦い

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 其の頃、帝国の中心部の帝都を見下ろすように建っている、夕日に照らされて赤色を帯びた黄金色に輝いている帝城の最上階のテラスには、ソフィーナ・ダスケジュ皇妃が帝国一の妖艶な美しい顔を、男女の交わりの後のように愉悦させて呟いていたのだ。

「此の戦いが終わればムーヴ大陸のすべてが私の物だ。今こそ、私の一族の恨みを晴らして、人間どもの世界を争いと憎しみ会う世界に変えてやる」

 その時に、一匹の蝙蝠が皇妃に近づき、人化して黒装束の人間の姿になり。膝を付いて

「主様、此れを見て下さい」

 水晶球を手渡したのです。
水晶球には王国と帝国の戦いの模様が映し出されて、帝国が負けて逃げ出した映像だった。

 皇妃は信じられない様子で。

「な、何という事だ!  此れは真か?」

「はい、事実です」

 皇妃は、怒りで身体を震わせていたが、暫くして落ち着き、妖艶で綺麗な顔を歪めてニャッと笑い、黒い霧を男に掛けると黒い霧は男に吸い込まれたのだ。

「仕方が無い、此れは使いたくなかったのだが、お前に死人を操る闇魔法を与えた。闇魔法で死人を操り、王国軍を恐怖のどん底に落として一人残らず殺してしまえ、分かりましたか」

「はい! 主様の命令とあらば、明日は王国軍全員を虐殺して御覧に入れましょう」

 そう言うと黒装束の男は再び蝙蝠の姿になり再び飛び去ったのだった。

 蝙蝠は帝国軍の皇帝の部屋に入り人化すると、寝ようとしていた皇帝が振り向き。

「皇妃の使いか、何の用だ?」

「后妃様から新しい魔法を授かりました。明日は私が新しい魔法で王国軍を全員虐殺しますので、陣地に高い櫓を建てる事の許可をお願いします」

「どんな魔法だ?」

「今は、闇魔法とか言えませんが、帝国の兵は一兵たりとも使いません」

 皇帝は今日の負け戦で苛ついていたが、皇妃からの新しい魔法を授かったという自信満々の男を見て、希望が湧き。

「分かった、お前に任せてみよう」

 黒装束の男は頭巾で顔を隠しているので表情は分からないが、皇帝に一礼して退出したのだ。

 皇帝は退出していく不気味な黒装束の男の後姿を見ながら。

「后妃が信頼している者だから我慢しているが、不気味で無礼な奴だ」

 黒装束の男は翌朝に工兵に、ゴガン高原を見渡せる丘の陣地内に、30m位の櫓を建てさせて、櫓の上に胡坐をかき、何やら呪文を唱えだしたのだ。

 30分位の呪文が終わると、昨日の戦いで死んで戦場に放置された帝国の兵士4万位の死体がモゾモゾと動いて立ち上がり、近くにある剣や槍を手に持ち、焼け爛れた身体や、腕の無いゾンビ化した者たちが王国軍に向かったのだ。

 王国の兵士たちも勇敢にゾンビに立ち向かったのだが、相手は死人なので剣で切られようが、魔法で焼かれようが立ち上がり王国の兵士に襲い掛かり、噛みつき殺し始めたのだ。

 殺された王国の兵士もゾンビになり王国の兵士に襲い掛かり王国の防御壁の前は地獄絵と化したのだ。


~~~~~~~~~~~~~~~


 私とジイチャンは防御壁の上からその様子を見て、何とかしたいのですが相手は死んでいるので攻撃のしようがなく困っていました。

 ジイチャンが。

「此れは死体を操る闇魔法だ、聖魔法の光線で攻撃してご覧」

 私が聖魔法の光線をゾンビに放つと、ゾンビは光の粒子になって消えていきました。

 然し、ゾンビの数は多すぎて、時間がかかり、その間に王国軍がゾンビに蹂躙されてしまいそうなのです。

 私は闇魔法を使っている者を倒さない事には駄目だと思い、遠視の魔法を使い帝国の陣地を探すと、櫓の上で黒装束の男が呪文を唱えている姿を見つけたのです。

 直ぐにジイチャンに飛び乗り櫓に向かい黒装束の男と対峙すると、相手は私を見て頭の頭巾を外して、骸骨に黒い皮膚を付けたような魔物みたいな顔で、私を睨みつけて。

「来たか、聖女よ、死ぬがいい」

 その魔物みたいな相手は、私に真っ黒な光線を放って来たのです。

 私も負けじと、最大の魔力で聖の光の光線を放ちました。

 聖の光が黒の光を押し返し始めると、相手は、信じられない顔をして。

「な、何だと! そんな馬鹿な!・・・・・ウヮァ・・・、ギャァ・・・・」

 黒装束の魔物みたいな男は私の放った聖の光の光線に胸を貫かれて、絶叫を残して黒い霧となって消えたのでした。

 すると、戦場のゾンビ化した兵隊たちはバタバタと倒れ始めたのです。

 私はジイチャンに乗り、倒れたゾンビたちの上空を飛び回り火の魔法で焼き払ったのです。

 焼かれた兵士たちは光の粒子になり空に舞い上がり消えて行ったのでした。
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