虐げられ続け、名前さえ無い少女は王太子に拾われる

黒ハット

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第35話、サヤカ聖女とトムの婚約発表と凱旋パレード

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 広いステージに司会者が上がり、最初に陛下夫妻が壇上に呼ばれて紹介されて、次にトムと私が呼ばれて紹介されると陛下夫妻以上の拍手と歓声が沸き上がり陛下が。

「わしたちより、拍手と歓声が多いな、もう国王を譲って隠居生活をしようか」

 王妃様も乗り。

「それも良いわね、新婚に戻って各地を観光して回りましょうか」

 トムが渋い顔で陛下夫妻を睨み。

「こんな場所で、不謹慎な事は言わないで下さい」

 司会者が次々に紹介を終わると、陛下が挨拶をし始めました。

 この広場の模様は、映像と音声で大陸の主要な街に私の魔法で映し出されているのです。

「皆の者! 此のアリーナ女神の誕生祭の良き日に帝国との戦いに勝った祝勝祭を行う事が出来てこれ以上の喜びは無い。此れもひとえに皆さんの協力のお陰と感謝しております。此の目出度い日にもう一つ目出度い報告があります。それは、王太子トムウッド・アスクルトとサヤカ・スタシャリ聖女様が正式に婚約したことです」

 大広場を埋め尽くした民衆から割れんばかりの拍手と歓声が沸き上がりました。

 司会者に促されて、私がステージの前に出て。

「このような良き日を迎える事が出来て大変嬉しく思います。此れも皆様と愛の女神、アリーナ女神様の加護のお陰と感謝を申し上げます。アリーナ女神様の誕生祭なのでお祈りを捧げたいと思います」

 私は、あの図書室での辛い虐めの毎日や、魔の森に捨てられて死にそうになった事、トムに拾われてからの日々、帝国との戦争などを思い、今の幸せに感謝して、片膝を付き胸の前で手を合わせてアリーナ女神様に感謝の祈りを捧げたのでした。

 ステージにいる人達や、広場を埋め尽くした人たちも、私と同じ姿勢でアリーナ女神様に祈りを捧げたのです。

 すると驚くことに奇跡が起きたのです。

 王都の上空に青空なのに7色の虹が現れて、虹からキラキラ光る光の粒子が粉雪のように王都に降り注いたのです。

 大広場に集まった人たちや、各地で映像を見ていた人達は、この奇跡に目を見張り、膝を付いて私と同じ姿勢でアリーナ女神様に祈りを捧げたのです。

 私たちが帝都に向かう途中に、転んだ子供を抱き上げて治癒魔法を掛けた、街の親子や街の人達も映像を見て歓喜の涙を流していたのです。

 此の奇跡の様子は大陸中で語り継がれて私が死んだ後に、大陸の教会には必ず私の銅像が飾られて千年後も聖女は現れず、私は最後の聖女と言われて伝説の聖女と呼ばれたのです。

 特設ステージでの行事が終わり、凱旋パレードが始まりました。

 騎士たちに先導されて陛下夫妻、高位の貴族達、私はトムと並んでコスモスの花で飾られた屋根の無いオープン馬車に乗り、民衆に手を振りながら王都を回り王宮に戻ったのです。

 パレードの途中には都民が。

「天使みたいに綺麗な聖女様だ」

「聖女様と王太子は美男美女で、まるで物語の王子様とお姫様みたい」

 などという言葉を掛けられて恥ずかしくて、顔を赤くして手を振っていたのは内緒です。

 パレードから戻り、夜の祝賀祭までは時間があるので、私とトムは王都が見渡せる応接室のテラスで、簡単な食事とお茶をしていました。

 トムが私をまじまじと見て。

「サヤカは本当に綺麗だね」

「何を言うのよ、トムの方が女心を破壊するような綺麗な顔の癖に」

 2人は可笑しくなり同時に噴き出して笑ってしまい、私が。

「こんなことを言うから、馬鹿カップルとジイチャンに言われるのよね」

 嫌な予感がして後ろを振り返るとジイチャンがニタニタ笑い。

「フォ、フォ、やっぱり馬鹿カップルじゃな、フォ、フォ」

 私はジイチャンを睨みつけて。

「本当に私の使い魔の癖にいつも揶揄うのが好きなんだから」

 でも、そんなジイチャンを私は大好きなのです。

 何時も私を本当の孫みたいに可愛がり、見守ってくれているジイチャンは、私の死後は、私の墓の近くに住み続けて、皆さんから聖女の守り神として崇められていたのです。

 何故、私が私の死後を知っているか、不思議に思うでしょが、内緒ですが、私は死後にアリーナ女神様の天界の元に召されて天使になり、時々は人間の姿になって天界から下界に降りて来ていたのです。ウフフ
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