24 / 48
第24話 視察
しおりを挟む最初に宿泊予定地の村に近づくと黒煙が見えた。
リンダがそれを見て。
「リオン様、村が盗賊に襲われているみたいです」
俺たちが急いで駆け付けると、家が焼かれ村人が手足を縛られている所だった。
バースとリンダが直ぐに盗賊と戦い始めて短時間で倒して、村人を助けている間に俺は、水魔法で焼かれている家の火を消し止めた。
幸い焼けた家は少なく、リズは怪我人を治癒魔法で治している。
盗賊は20人いたが、バースとリンダが盗賊の半分は殺し、半分は生きたまま捕え手足を縛りバースが。
「面倒だから残っている盗賊も殺しましょうか」
物騒な事を言うのでリズが。
「殺してはダメよ。1番近くの警備隊に連絡して引き渡しなさい」
村長だという老人が俺の所に来て。
「ありがとうございました。お陰様で助かりました」
「死人は出なかったか? 物は取られていないか」
「幸い死人は出なく襲われたばかりで金品を出すように言われましたが、被害も少なく貴方様のお陰で助かりました。本当にお礼を申し上げます」
村の若者が1時間離れた街の警備隊に知らせに行き俺たちはその晩は村長の家に泊まった。
村長に聞いて。
「たびたび盗賊に襲われるのか?」
「新しい皇太子殿下が警備隊を巡回するようにしてからは盗賊の襲う事も無くなっていたのですが、今回は盗賊も取り締まりが厳しくなり困って襲ったみたいです」
「そうか。巡回の回数を増やすことにしよう。その他に困った事はないか」
「新しい皇太子殿下になってからは農作地の改良も指導して頂き、収穫が増えてありがたく思っております」
俺の政策が浸透してきて良かったが、此れからも国民が安心して豊かに暮らせるようにしなければと思った。
そうすれば盗賊も減るだろう。
次の日に村人に礼を言われ、村に別れを告げて次の目的地に向かったのだ。
馬を走らせていると、街道の所々が崩れていたり、ぬかるんでいた。
此れでは馬車が通るのに苦労するだろう。街道の整備も早急に行わないと、と痛感してやはり視察をしなければ実際の所は分からないと思った。
次の目的地の帝国の直接管理地の街に着くと、住民が騒いでいるのでリズが聞いてみた。代官が新しく商店主に売り上げ税を作り、売り上げの1割を徴収すると言って商店主の代表が抗議したが、抗議した代表が牢に入れられたらしい。
許可なしに新しい税を課する事は禁止しているはずなので俺は試しに影の者が出るか。
「影の者いるか。いるなら出よ」
驚く事に直ぐ現れて。
「御用ですか? 何なりと申しつけて下さい」
いやー、驚いたぜ! 旅の途中で影の者が出るとは思わなかったよ。俺が不思議に思い。
「一体どうして何もない所から出て来られるのだ」
影の者は疑問に答えて。
「本来なら教えられないのですが、今度の皇帝は若く付き合いが長くなるので教えます。我らは闇魔法を使い、陰に隠れていつも皇帝の側にいます。今回はどんな御用でしょうか」
「影魔法が使えるのか。此の地の代官がどんな人か調べてほしいが、調べられるか」
「お任せください。宿はあの宿が良いでしょう」
影の者は近くの宿を指定して影の中に溶け込んで姿を消した。
流石のリンダも驚き。
「今の人は、急に現れて急に消えて何者ですか?」
「余にも分らんが、皇帝に昔から仕える影の者で皇帝に絶対の忠誠を誓い、皇帝の命令しか聞かないらしいのだ」
バースが感心して。
「へえー! 凄いな~・・・・・・」
リズも驚き。
「皇帝になると、色んな事があるのね」
「余も最初は驚いたよ」
影の者が指定した宿に着き、休んでいると、数時間して影の者が。
「代官を調べましたが、税金の横領、隠れて若い女を性奴隷にしています。此れは証拠の書類です」
仕事が早くて感心したぜ。早速、明日にでも代官を処分しよう。
次の日に警備所に行き、身分を明かして警備員を連れて、代官の屋敷に行き面会を申しこむと、門番が俺たちの服装を見て。
「代官様に予約はしているのか。お前たちのような冒険者に代官様は合わないだろう。帰れ! 」
バースが門番に。
「この方は皇太子殿下だ! 無礼な事を申すな」
門番はそれでも。
「ふん! 皇太子が冒険者の恰好をしているはずが無いだろう。嘘をつくな」
リンダが無言で門番を殴り。
「無駄な時間を使わすな」
そのまま門の中に入り大きな声で。
「代官いるか! 皇太子殿下が会いに来た。出迎えに出ろ」
代官と思われる太った男が出て来て。
「うるさいな! 皇太子が来るはずがないだろう」
顔を見ると成人の儀で見たやつで俺の顔を見ると真っ青になり、慌てて。
「アッ! 殿下。無礼をお許しください」
「余を知っていたのか。中に入るぞ」
中に入ると代官に。
「お前は禁止されている新しい税金を作ったうえ、若い女性を性奴隷にしているそうだな。証拠は挙がっている」
俺が証拠の書類を出すと代官は言い訳をしようとしたが。
「言い訳は無用だ。代官の職を解き処分をする。処分が決まるまでは、牢に入れておく」
付いて来た警備員が縄で縛り喚いている代官を連れて行き、牢に入れて一件落着したのだ。
その後、代官は打ち首処刑され俺が鑑定の目で見て、新しい真面目な代官に変えたのである。
107
あなたにおすすめの小説
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる