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1章
知らされた婚約者
しおりを挟むバァンッ
勢いよく開いた扉の音にビクッと目を覚ます。
「何?何?」
「ハナ!!」
「お母様にお父様まで!!」
「ハナ!聞いてちょうだい!」
お母様が声を荒らげて言葉を発する。
私はよく耳をすましてお母様の声を聞く
「殿下があなたと婚約を申し込んできたのよ」
パリンッと何かヒビが入る音がした。
私は今間抜けな顔でお母様とお父様を見ているかもしれない。
そんな私の様子を見てお母様とお父様は私の名を何回も呼び続けていた
「……ナ、ハ、ナ、、ハナ!!!」
私はハッとして言葉をしぼる
お母様とお父様が喜んでる。
そして殿下、ということは位の高い種族
私が知ってる限りでは上位の権力を持っててそんな人を断ることも出来ない、
私はもう心の奥底から諦めていたんだ。
彼女に会うことはもう、サラサラない
なら、もう身を落ち着かせる方がお父様とお母様のためなのでは……
見てよこのお父様とお母様の表情を、人生で一番幸せなことでもあったようよ。
私が生まれた時より生き生きしてる。
あーこれが私の運命なんだ。
そう思っても仕方ないほどに
なら、答えは一つだ。
「嬉しい!!殿下と婚約だなんて……」
「承諾ね!」
「ハナがお嫁に行くのか~」
お父様もお母様も瞳に涙を溜めていた。
嬉しそうにする両親を見て私は嬉しく思ったが、罪悪感もあった。
彼女との約束も破ってしまったからである。
「どんな御方か楽しみですわ!?お母様お父様!!」
「そうだろう!そうだろう!」
「こんな幸せもうないわ!精一杯精進しなさい!ハナ」
お母様とお父様の言葉を聞き私は微笑みを見せ
そして掠れた声でこういった。
「はい!」
緊張してると捉えたのだろうかお父様もお母様もほほ笑みを浮かべて部屋に帰った。
私はその後ろ姿が見えなくなるまでずっと両親の御姿を見送った。
バタンッ
1人になった部屋で私は顔を枕で押し潰して金切り声を上げた。
「ア"ァ"ァァ"ァ"!!!!!!!???」
金切り声は部屋に響きものが少し動く
枕が濡れることも気にせず私は涙を流す
こんなの、プリッツが見たらなんて言うのか想像がつく、「教育がなってませんでしたわね」なんて言うのだろう。
でも、私は我慢ならなかった。
世界は残酷である。
理不尽なことが起きても、私たちは耐えなければならない。
それが世界のルールだ。
恋愛漫画のように誰か助けれるのか、
いや助けれない
なら、誰か理解してくれるのか?
令嬢の心を分かってくれるやつなどいるか???
そして周りはきっと私を幸せ者だと言うだろう。
なぜなら、殿下と結婚出来るかもしれないからだ。
「そーだよね~、私が間違ってるんだ。
この考え方をやめないとね。ここは昔と今変わっていないんだから、」
ブツブツと独り言を呟き部屋を私の声いっぱいにするが、すぐさま消え失せ寂しく独りだと実感してしまう。
こんな時、誰がそばにいただろうか、紛れもない彼女だ
なら、彼女は今、、、
どこにいるの???
教えてよ瑠花
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