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十四

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___はずだった。

視線が交差した瞬間、突然飛来してきた謎の人物によって、彼女は膠着する。
ローブの男はかなり強く吹き飛び、木に衝突することで勢いは止まった。

「くそ、汚れた」

ローブの男は不機嫌さを隠すことなく呟いた。
飛んできたのは、スカイだった。

「なぁ一旦戦闘やめねぇ?話が__」

彼の言葉は、ここで途切れた。

ローブの男の魔法が直撃してしまい、その勢いのまま木に衝突し、意識を失ってしまったのだ。

そして、ローブの男はルクアに向けて風の魔法を放つ。
物理法則を無視したかのようなスピードでルクアに向けて進み、ルクアに衝突するように見えた。

しかし、土埃が晴れたときには、そこにルクアの姿はなかった。

「は?」

ローブの男は周りを見渡す。しかし、隠れている人影は見えない。

そんな彼に、上から声がかかった。

「どこを探してるの?」

そこからは、ルクアの独壇場だった。

上に魔法を撃てば打ち消される。
されど近づけば飛んで逃げられる。
ならばと気絶しているスカイを狙えば背中に向けて魔法が打たれる。

そして、ローブの男が呟いた。

「はは、こうじゃないとな」

彼は、この状況を楽しんでいた。

しかし、ルクアとしては仲間を傷つけられたのだからいい気持ちにはなれない。

「そう」

彼女はローブの男の正体に心当たりがあるのだが、彼がローブを取らない以上、彼の正体に確信は持てないのだ。

「もっとだ!!俺と更に楽しい戦いをしよう!!!!」

元から高められてい男の魔力が更に増大する。
そして、その魔力がありえないほどの質量の魔法として振るわれることに__


___ならなかった。

振るわれる前に、より強い魔力によって押しつぶされたから。

水妖精の怒りアクア・ラス・レイン

澄んだ声と共に彼の体に水の槍が降り注ぐ。

ローブの男のローブはビリビリに破け、素顔があきらかになる。
そして、彼のローブがすべてなくなった頃に水の槍は止んだ。止む頃には、彼の意識は途絶えていた。

「あー、やっぱし」

ルクアはそう言いながら彼を見つめ、ポツリと呟いた。

「見ただけで気づいてよ、みんなで一緒にやってきたのにさ」

言葉自体は不満そうである。
しかし、口元はかなりニヤけきっていた。

そして、ミカン達と合流したのはこの戦いが終わった数分後である。
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