上 下
35 / 43

二の七

しおりを挟む
「___と、まぁこんな感じだ」

セナが自嘲気味に話す。

「胸糞悪い話だろ??」
「イジメ見て見ぬフリして?」
「そのいじめられっ子の母親が狂乱状態で学校に凸って来て?」
「クラスメイトの盾にされて?」
「しかも人違いでぶっ殺されて。」

セナが俺っちの方を見た。

「___え??」
「お前、なんで泣いてんの?」

そう、俺っちは泣いてた。
仕方ないじゃないか。

だって、余りにもその死に方は酷じゃないか!

「なん、なんで人違いで殺されて、さされて、おまえじゃないって否定されて、恨まないの?」
「そう、だよね、セナ、はそう言う、優しい子だよね」
「でも、でもさぁ」
「人を庇ったセナが、どうして」

「どうして、こんな世界の、こんな危険なところに連れてこられなくちゃいけなかったの」

それを聞いたセナはちょっと驚いたあと、ヘラヘラ笑いながら

「俺はこうやってお前らと会えてるからいいと思ってんだけどなぁ」

確かにそうかもしれない。
死んだけど転生して、しかもある程度知ってる世界&記憶持ちというアドバンテージ持ち

でもさ、俺っちが言いたいのはそういうことじゃないんだ。

「俺っちがいいたいのはそういうことじゃない!」
「セナは、事故でころされてここにきて、仲間と会えたからよかったねって言えるくらい強い子だからいいよ!」
「セナがよわい子だったら?!」
「俺っちがいなくて、あそこでころされてたら?!」
「仲間と会えたからよかったね、ってかんがえれるわけないでしょ、セナのバカ!!」
「おれ、おれっちが、お前のはなし聞いて、どんだけ心配したかと」
「ばか、ばか!!」
「セナのばーーーか!!」

涙目になりつつ罵る。
このバカセナ!!

セナがポカーンとしながら俺っちを見て、目をぱちくりさせたあと吹き出した。

「何笑ってんだおまえ!!」

セナが笑いを堪えているような顔で答える

「いや、お前がそんな俺の事心配してて、尚且つそんなに怒ると思ってなくて...フフッ」
「笑うなーー!!」

本当にコイツ!!!!
この!!マジで!!
この怒りは本人に!!って思いながら本人の頭をベシベシぶん殴っておく。

「あちょ、結構いた、あっいてぇって、ペチペチやめ、痛いって」とか言ってるけど知らない!俺っちが!!どんだけ!!心配したかと!!

「ばーかばーーーーか!」
「分かったからやめろ!!」

流石にそろそろやめておく、俺っちの手も痛くなってきた。

「まったく、俺は平気だっての。」
「もう1発いっとく?」 

やっぱもう1発いったほうがいいかも。
って訳でスプーンを構えてセナの方に近づいて行く。

「スマイル待て、話せばわかる」
「話してわかってねぇじゃん」
「おっと地雷を踏み抜いた」

コイツ.........

「俺っちの涙を返せぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
しおりを挟む

処理中です...