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二の十一

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「はぁ...気が重い...」

スマイルとセナが寝静まった真夜中に、1人テントを抜け出した僕は、そんな独り言を呟いた。

セナは急に泣き出すし
スマイルは女神サマ(笑)に嫌われてるし
ジカクウは神様だったし
もうなんなの?
アンラッキーの女神様に愛されてるね!

はぁ、と深くため息をついてから振り返り、付いてきていた覆面共に向けて話しかける

「いつまで隠れてるの?」

「テントが取られた上、スマイルの見張りがあるから仕方なく個人行動の僕を狙いに来たみたいだけど」
「思ったより僕に隙がないから出る機会が分からなくなってる下っ端君たち」
「早くかかってきなよ」

それを言い切ると、10何名ほどの男共がこちらを睨みながら出てきた。
各々が武器を持っており、斧、剣、鍬、弓、と種類はバラバラだった。

「......クソガキが」
「大人を舐めたらどうなるか教えてやるよ!」

と、やたらと威勢のいい事を言っているのでその自信をへし折ろうと思う
2人に手を出されたら困るからね、仕方ない。

僕が誰かを煽り倒したいだけではない、決してない、不可抗力と言うやつだ、きっとそうだそういうことにしよう。


「勘違いモブの死亡フラグ1位「大人を舐めたらどうなるか教えてやる」おめでとうございます勘違いモブさん方!」
「目の前の男の子がちっちゃくて可愛らしい見た目だからって舐めてかかるというドアホでマヌケでドジでベタなミスですねまじワロタ」
「異世界転生したと言えど俺TUEEEEする気は無かったけどこんな勘違いモブに負ける訳には行かないんですわー!!」
「いやそもそも子供を舐めてかかるなよ見た目は子供中身はチーターなんて異世界転生テンプレだぞ馬鹿め」
「ついでに言うなら僕が蝶を操ってイノシシ殺したところ見てたでしょなんで魔法も持ってないモブ共が勝てると思ったの?」
「馬鹿なの?あっ馬鹿だったね馬鹿じゃなきゃ喧嘩売らないか、いやーかわいそかわいそ」

と、怒涛の煽りをすると( ゚д゚)ポカーン状態でこちらを眺めてくるモブさん方。

煽るの楽しー!!!!

「遺書の準備は出来てますか?」
「負け犬モブゼリフ1位「覚えとけよ!!」を言う準備は出来てますか?」

「な、なにいってんだこいつ?!」
「もういい!やっちまえ!!」


「それでは皆様ご一緒に!」
「異世界物あるある魔法!!」
「『エクスプロージョン』!!」

僕が適当に魔法を放つと、その区画だけが綺麗に焼け落ちる。

「ヒ、ヒイッ____!!」
「ば、化け物___!!」
「許してくれ、見逃してくれ!!」
「頼む、何でもするから!嫁と息子がいるんだ!!殺さないでくれっ!!」

うーん異世界転生あるある化け物扱いされてるけどこれ結構不愉快だな。

「まず人を化け物扱いして助けてもらうって傲慢すぎない?」
「ついでにそっちから仕掛けといて見逃してくれって何?お前らも見逃す気無かったくせによく言うわー引くわードン引きですわー」
「そして最後のヤツ、お前何嫁と息子いんのに盗賊してんの?馬鹿なの?死ぬの?殺すよ?」
「あとシンプルに僕のこと指さして魔族だなんだってクスクス笑ってた奴は許さねぇからな可愛いケモ耳だろうが魔族がなんだ?は??」

「まぁ要求は3つだ」

「な、なにを要求する気だ!!」

ザワザワと覆面共が騒ぎ出す
騒がしくされるのは勘弁なので覆面のうち1人の腕スレスレのところに火球を打つ
それだけで静まり返る。

「うん、静かになった」
「1つ目は僕らに2度と近寄らない事」

コクコクと頷く覆面共、ヘドバンか?って勢いで頷いてる奴がいる。

「2つ目は捕らえた子達の解放」
「3つ目は自首しろ」
「拒否権はお前らの命と引き換えな」

そう言うと一斉に立ち上がって捕らえた子達を解放し出す覆面共。

僕に出来ることは無いので近くの木に座る
少しスマイルとセナが寝ているテントを見ると、スマイルと目が合った。

起きていてくれたらしい

『あ  と  で  こ  っ  ち   こ  い』

と口パクで言われた。

僕が欠伸を1つ付いて、覆面共を見ると最後の1人の解放がちょうど終わったところだった。

「終わりましたッ!」

「うん、そう。」

目も合わせずテントの所に向かい、入る直前に覆面共に振り返って言っておく

「目覚めた時に逃げてたらソイツの命は保証しないからね」


それだけ言ってテントの床に寝転び、寝心地がいいとは言えない布の上で瞼を閉じてすぐ、僕の意識は途切れた。
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