ブラザーコンプレックス

三池

文字の大きさ
11 / 21

信じること 疑うこと

しおりを挟む
ミスターにこの前のことを話すと、怪訝そうな顔をして答えた。
「心配って、もしかしてヴェインのやつ、マリーさんが侵入者だとでも思ってんのか。」
「そういうことだと、ミスターも思うよな。」
ミスターにそう返す。
「なんか、あいつ昨日、てか最近変だよな。βも勘付いてるんだろ?」
ミスターに聞かれ、頷く。
「そもそもさ、マリーさんが侵入者なんて考えられないよな。
マリーさんが昨日、βを狙っていたとしたら、あまりにも危険すぎる。自分が当たる確率は十分あるからな。
ただ、言いたくないけど、ヴェインだったら…。」
「まあ、辻褄は合うよな。」
言葉を濁したミスターに俺が続けると、少し暗い顔でまた、話し始めた。
「そう。マリーさんを疑うのはおかしいし、撃ったやつを殺したのも、下手に捕まって情報をもらされないようにするため、とも考えられる。
それに、こんなことが起こるようになったのはあいつが来てからだよな。
…ねえ、もし、ヴェインだったら、どうすんの?」

もし、そうだったら。

「β、ちゃんと殺せる?他の奴らと同じように、出来る?」

ヴェインが俺たちの命を狙っているのだとしたら。

「俺は…。」

なぜだろう。
答えることができなかった。
今までであれば、誰であっても躊躇なく、標的を殺すことができていた。
ただ、今は、あんなに避けていたヴェインに、敵であってほしくないと願ってしまっている。

そんな自分自身に困惑している俺の様子を見て、ミスターは続ける。
「最初から全て仕組まれていたとしたら?
ヴェインが来たことも、αが死んだのも、ヴェインがαに似ているのも、全部計画があったとしたら?」
そして、俺の目を見て、はっきりと告げた。
「私がβなら、絶対許せないよ。」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】好きじゃないけど、付き合ってみる?

海野雫
BL
大学3年の直人(なおと)は、恋愛経験ゼロ。人付き合いは苦手ではないが、誰かを「好きになる」感情がよくわからない。付き合ってる友人たちを見ても、自分には縁のない話だと思っていた。 ある日、部活の後輩である健(けん)が「一緒にルームシェアしませんか?」と持ちかけてくる。引っ越しを考えていた直人は、悪くない条件にOKを出し、ふたりの同居生活が始まる。 快適すぎる日々。健は料理も掃除もできて、適度に距離を保ってくれる最高のルームメイト。
しかしある夜、健がポツリと呟く。 「……元カレ、まだ忘れられないんです」
「ねえ先輩。付き合ってみませんか?――“好きじゃなくてもいいから”」 からかわれていると思いながらも、冗談めかして了承してしまう直人。
それが、まさかの擬似恋人生活の始まりだった。 恋人ごっこなのに手をつないだり、映画を観に行ったり、肩を貸したり。
最初はただの遊びだったのに、直人はだんだん健が笑うと嬉しくて、泣くと苦しいと感じるようになっていく。 一方、健は「直人に本気になってはいけない」と自分に言い聞かせていたが、直人の優しさや真面目さに、次第に惹かれ始める。 擬似恋人から始まった関係は、本物の「好き」に変わるのか? 本気になったとき、ふたりはどう答えを出すのか――。

死神に狙われた少年は悪魔に甘やかされる

ユーリ
BL
魔法省に悪魔が降り立ったーー世話係に任命された花音は憂鬱だった。だって悪魔が胡散臭い。なのになぜか死神に狙われているからと一緒に住むことになり…しかも悪魔に甘やかされる!? 「お前みたいなドジでバカでかわいいやつが好きなんだよ」スパダリ悪魔×死神に狙われるドジっ子「なんか恋人みたい…」ーー死神に狙われた少年は悪魔に甘やかされる??

【完結】ままならぬ僕らのアオハルは。~嫌われていると思っていた幼馴染の不器用な執着愛は、ほんのり苦くて極上に甘い~

Tubling@書籍化&コミカライズ決定
BL
主人公の高嶺 亮(たかみね りょう)は、中学生時代の痛い経験からサラサラな前髪を目深に切り揃え、分厚いびんぞこ眼鏡をかけ、できるだけ素顔をさらさないように細心の注意を払いながら高校生活デビューを果たした。 幼馴染の久楽 結人(くらく ゆいと)が同じ高校に入学しているのを知り、小学校卒業以来の再会を楽しみにするも、再会した幼馴染は金髪ヤンキーになっていて…不良仲間とつるみ、自分を知らない人間だと突き放す。 『ずっとそばにいるから。大丈夫だから』 僕があの時の約束を破ったから? でも確かに突き放されたはずなのに… なぜか結人は事あるごとに自分を助けてくれる。どういうこと? そんな結人が亮と再会して、とある悩みを抱えていた。それは―― 「再会した幼馴染(亮)が可愛すぎる件」 本当は優しくしたいのにとある理由から素直になれず、亮に対して拗れに拗れた想いを抱く結人。 幼馴染の素顔を守りたい。独占したい。でも今更素直になれない―― 無自覚な亮に次々と魅了されていく周りの男子を振り切り、亮からの「好き」をゲット出来るのか? 「俺を好きになれ」 拗れた結人の想いの行方は……体格も性格も正反対の2人の恋は一筋縄ではいかない模様です!! 不器用な2人が周りを巻き込みながら、少しずつ距離を縮めていく、苦くて甘い高校生BLです。 アルファポリスさんでは初のBL作品となりますので、完結までがんばります。 第13回BL大賞にエントリーしている作品です。応援していただけると泣いて喜びます!! ※完結したので感想欄開いてます~~^^ ●高校生時代はピュアloveです。キスはあります。 ●物語は全て一人称で進んでいきます。 ●基本的に攻めの愛が重いです。 ●最初はサクサク更新します。両想いになるまではだいたい10万字程度になります。

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

はじまりの朝

さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。 ある出来事をきっかけに離れてしまう。 中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。 これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。 ✳『番外編〜はじまりの裏側で』  『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。 大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。 裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。 困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。 その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

処理中です...