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本物の香り
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目が覚めると、俺は本部のソファーの上に横たわっていた。
頭の下に少しだけ硬くあたたかい感覚。
「ん゛…。」
「あ、β。起きた?体調大丈夫?」
俺が小さく声を漏らしながら、身体を動かそうとすると、頭上から声が聞こえた。
ん?頭上から?
声の方を見ると、目の前にヴェインの顔。
「?!?!」
声にもならない驚きだった。
すぐさま、重い頭と体を持ち上げて、ヴェインと距離をとる。
「ど、どうしてこんな、こと、に?」
「そんなビビらないでよ。てか、βのせいだからね。」
「…俺?」
泥酔した俺の行いを話しているヴェインは、ニコニコと笑っていた。
「でさ、マリーさんとミスターがβの世話、俺に押し付けてきたんだよ。
あ、別に全然いいんだけどね。もはやご褒美だからね。」
「は?きっしy__」
この先は言わないであげよう。
「β、もうお酒は控えな。まあ、俺がいるときなら飲んでもいいかもだけど。」
「なんで俺がお前に行動を制限されなきゃいけないんだよ。」
「だって、俺はβが心配で言ってるんだよ。あんなかわいいβを、世に晒したくない。βはもっと可愛いことを自覚するべきだって。」
必死に真面目な顔で言うヴェイン。
俺は、つぶやいた。
「なんで、お前はいつも、そんなことを言うんだ?」
「なんでって、βがかわいくて、大好きだからだよ?」
「俺は、誰かに好かれるような要素なんてない。そもそも、ヴェインはいつから俺のことを知ってたんだ?」
俺はヴェインを問い詰めるように言う。すると、ヴェインは話し始めた。
「βはこの組織で1番強いから、研修のときから有名だった。俺がβを好きになったのは、そんなβのことを初めて見たとき。
偶然、俺と目が合ったとき、伝わってきた。
βは強くて、かっこよくて。それでいて、どこか苦しそうだった。
それに気づいた俺は、そんな感情の理由を知りたくなってた。
以来、ずっとβのこと追いかけてきて、ようやく相方になれた。」
ここまで話し合えると、少し息を吐いて、また続けた。
「気のせいではないと思うけどさ、β、怖がってない?」
核心をつかれた言葉に、俺は動揺してしまった。
「怖い…?」
そうだ。俺は、ずっと、怖かった。
『ガチで俺ら、絶対バディになる運命だったんだと思うんだよね。』
この世に絶対などない。
『β、俺がそばにいてあげるから。βもずっと俺と相棒でいて。約束だよ。』
約束も、誓いも、意味なんてない。
『俺、βのこと、大好きだから。嘘じゃない、これはだいぶガチ。』
信じたい、信じられない。
期待を裏切られるのが怖いから。
なぜ、怖いのか。
それはきっと、あいつのことを大切に思っていたから。
心の拠り所にしていたから。
誰もが本音を隠し、騙し合う世界で、あいつだけは、信じられると思っていたから。
でも、この感情を理解するのが怖かった?
そうか、俺は、あいつのことが、好きだったんだ。
笑顔が頭にこびりついて離れてくれない、あいつ。
いつも俺のそばで笑ってくれてた、あいつ。
αのことが。
「β?ねえ、β!」
「え、あ、いや。俺は__」
「とりあえず、本部戻ろうか。」
その後のことはあまり覚えていない。
いきなり繋がってしまった自分の感情に戸惑って、俺と一緒に行こうとしたヴェインを振り払って去ったことはなんとなく記憶にある。
自分で出した結論だが、動揺している。
ただ、ずっと、頭から離れないαの影を追い払っていた。
頭の下に少しだけ硬くあたたかい感覚。
「ん゛…。」
「あ、β。起きた?体調大丈夫?」
俺が小さく声を漏らしながら、身体を動かそうとすると、頭上から声が聞こえた。
ん?頭上から?
声の方を見ると、目の前にヴェインの顔。
「?!?!」
声にもならない驚きだった。
すぐさま、重い頭と体を持ち上げて、ヴェインと距離をとる。
「ど、どうしてこんな、こと、に?」
「そんなビビらないでよ。てか、βのせいだからね。」
「…俺?」
泥酔した俺の行いを話しているヴェインは、ニコニコと笑っていた。
「でさ、マリーさんとミスターがβの世話、俺に押し付けてきたんだよ。
あ、別に全然いいんだけどね。もはやご褒美だからね。」
「は?きっしy__」
この先は言わないであげよう。
「β、もうお酒は控えな。まあ、俺がいるときなら飲んでもいいかもだけど。」
「なんで俺がお前に行動を制限されなきゃいけないんだよ。」
「だって、俺はβが心配で言ってるんだよ。あんなかわいいβを、世に晒したくない。βはもっと可愛いことを自覚するべきだって。」
必死に真面目な顔で言うヴェイン。
俺は、つぶやいた。
「なんで、お前はいつも、そんなことを言うんだ?」
「なんでって、βがかわいくて、大好きだからだよ?」
「俺は、誰かに好かれるような要素なんてない。そもそも、ヴェインはいつから俺のことを知ってたんだ?」
俺はヴェインを問い詰めるように言う。すると、ヴェインは話し始めた。
「βはこの組織で1番強いから、研修のときから有名だった。俺がβを好きになったのは、そんなβのことを初めて見たとき。
偶然、俺と目が合ったとき、伝わってきた。
βは強くて、かっこよくて。それでいて、どこか苦しそうだった。
それに気づいた俺は、そんな感情の理由を知りたくなってた。
以来、ずっとβのこと追いかけてきて、ようやく相方になれた。」
ここまで話し合えると、少し息を吐いて、また続けた。
「気のせいではないと思うけどさ、β、怖がってない?」
核心をつかれた言葉に、俺は動揺してしまった。
「怖い…?」
そうだ。俺は、ずっと、怖かった。
『ガチで俺ら、絶対バディになる運命だったんだと思うんだよね。』
この世に絶対などない。
『β、俺がそばにいてあげるから。βもずっと俺と相棒でいて。約束だよ。』
約束も、誓いも、意味なんてない。
『俺、βのこと、大好きだから。嘘じゃない、これはだいぶガチ。』
信じたい、信じられない。
期待を裏切られるのが怖いから。
なぜ、怖いのか。
それはきっと、あいつのことを大切に思っていたから。
心の拠り所にしていたから。
誰もが本音を隠し、騙し合う世界で、あいつだけは、信じられると思っていたから。
でも、この感情を理解するのが怖かった?
そうか、俺は、あいつのことが、好きだったんだ。
笑顔が頭にこびりついて離れてくれない、あいつ。
いつも俺のそばで笑ってくれてた、あいつ。
αのことが。
「β?ねえ、β!」
「え、あ、いや。俺は__」
「とりあえず、本部戻ろうか。」
その後のことはあまり覚えていない。
いきなり繋がってしまった自分の感情に戸惑って、俺と一緒に行こうとしたヴェインを振り払って去ったことはなんとなく記憶にある。
自分で出した結論だが、動揺している。
ただ、ずっと、頭から離れないαの影を追い払っていた。
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