逆ハーエンドかと思いきや『魅了』は解けて~5年後、婚約者だった君と再会する

志熊みゅう

文字の大きさ
7 / 59
プロローグ

7. 卒業パーティーを終えて

しおりを挟む
 マールに来て2度目の春が来た。シモンが産まれてもうすぐ1年経つ。赤ちゃんの成長は早い。最近はつかまり立ちができるようになった。シモンが産まれてから本当に毎日毎日大変だったが、伯父夫妻は港町の別邸を一つ貸してくれ、色々な側面から生活を支援してくれた。何とかがむしゃらに頑張ったおかげか事業はうまくいってるし、子育ても実家ブロワ侯爵家をクビになったと聞いて呼び寄せた侍女アンヌが手伝ってくれている。

 アマリリス、ネモフィラは無事(?)ルミエール魔法学園を卒業したらしい。私は卒業式には参加しなかった、いやできなかった。だって出奔したままだから。卒業パーティーの"断罪劇"の顛末は、アマリリスからの手紙で知った。

 **********************
 親愛なるリリーへ

 そちらはお元気ですか?シモン君はもうすぐ1歳かな?マールの潮風が恋しいです。

 先日ですがついにルミエール魔法学園を卒業しました!
 卒業パーティーでは我々の予測通り、ロベリア嬢とハーレム構成員のヴィクトル殿下、アベル様、サヴォイア先生が私への断罪を始めたので、作戦通り反証しました。彼らが言うには、私が女子寮の階段でロベリアを突き落としたり、彼女の卒業パーティーのドレスをビリビリに破いたりしたそうです。入学後一度も女子寮に入ったことない私にどうしてその所業を行えるんでしょうね。本当に馬鹿も休み休み言って欲しいです。まあヴィクトル殿下に至っては、婚約者にもかかわらず、私のおばあ様が元学園長であることすら知らなかったわけですが。。。

 なおパーティーで私とヴィクトル殿下との婚約は無事に解消され、新たにアレクサンドル様と婚約を結ぶことになりました。本当にうれしいです。貴女のアドバイスがなければ絶対に選べなかった選択肢なので、とても感謝しています。

 あとこの事件の真相について、貴女に一つご報告しなければならないことがあります。これは闇の副属性も持つアレクサンドル様が気づいたことなのですが、ロベリア嬢のブローチには『魅了の呪い』がかけられていたそうです。呪いというのは闇属性の属性魔法で、解呪も闇属性持ちにしかできません。ロベリア嬢は火属性なので、もともとブローチに強い呪いがかかっていて、何らかの身体代償を払って呪いを発動させたのだろうという見立てでした。仮にも一国の王太子に対して、呪いをかけるという行為は言語道断です。アレクサンドル様の力をお借りして卒業パーティーで無事解呪致しました。解呪後、呪いの代償でロベリア嬢は老婆のような姿になり、国家反逆の容疑で捕らえられ、ご実家の男爵家もお取りつぶしが決まりました。ハーレム構成員の方々ですが、魅了とはいえ相手に好意が全くない状態で、この呪いにかかることはありません。三人とも深く反省されているようでしたが、ヴィクトル殿下は廃太子が確実、アベル様は謹慎、サヴォイア先生は学園を解雇されたとのことです。

 ところで差し出がましい提案になってしまい恐縮なのですが、一度アベル様にお会いしてシモン君の件、ご相談されるのはいかがでしょうか?呪いが解けて、アベル様も今ではすっかり頭を冷やされているようですし、以前と違って冷静なお話し合いができると思います。シモン君のお父様はアベル様です。貴女の希望があれば最大限サポート致します。

 最後になりますが、フルール商会の新作のマニキュアの試作品とっても良かったです!欲を言えば、色のバリエーションがもっと欲しいところですが、まずは在庫を増やし過ぎてもいけないので、送って頂いた三色から売り出してみましょうか?

 お互い忙しくなりますが、たまには王都に遊びに来てくださいね!

 愛をこめて
 アマリー
 **********************

 ヴィクトル殿下が廃太子ってことは、アレクサンドル殿下が王太子になるのかぁ、それでアマリリスはそのまま王太子妃かぁ。さすが元女性起業家だ、野心がすごい。

「それにしても魅了の呪いねぇー、そんな設定した覚えがないけど。」

 一瞬疑問に思い、そう吐き捨てた。しかしすぐに、ロベリアへの好意がないとかからない『魅了の呪い』とやらに簡単にかかったアベルへの怒りが腹の底からこみあげてきた。この世界には、転生者である私たち悪役令嬢トリオとロベリアが暗躍したせいで、元のシナリオから大きくずれてしまった部分がある。きっとアベルもそうなんだろう。ひたすらまっすぐで一途なワンコ系騎士は幻想だったのだ。そもそも私は彼から拒絶されたのだ。今更会いたいとは思わない。加えて親権も厄介な問題である。シモンはアベルと同じ火属性だ。この世界の貴族法で貴族の子女の親権は子どもの魔力養育を鑑みて、原則属性の同じ親が得ることになっている。彼がシモンを認知してしまった場合、シモンをそのままとられる恐れがある。

 シモンは私がひとりでお腹を痛めて生んだ私だけの子だ。アベルにとられてたまるものか!!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

【完結】真実の愛に気付いたと言われてしまったのですが

入多麗夜
恋愛
【完結まで執筆済みです!!!】 かつて王国の誇りとされた名家の令嬢レティシア。王太子の婚約者として誰もが認める存在だった彼女は、ある日、突然の“婚約破棄”を言い渡される。 ――理由は、「真実の愛に気づいてしまった」。 その一言と共に、王家との長年の絆は踏みにじられ、彼女の名誉は地に落ちる。だが、沈黙の奥底に宿っていたのは、誇り高き家の決意と、彼女自身の冷ややかな覚悟だった。 動揺する貴族たち、混乱する政権。やがて、ノーグレイブ家は“ある宣言”をもって王政と決別し、秩序と理念を掲げて、新たな自治の道を歩み出す。 一方、王宮では裏切りの余波が波紋を広げ、王太子は“責任”という言葉の意味と向き合わざるを得なくなる。崩れゆく信頼と、見限られる権威。 そして、動き出したノーグレイブ家の中心には、再び立ち上がったレティシアの姿があった。 ※日常パートとシリアスパートを交互に挟む予定です。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

処理中です...