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第一幕 断罪の夢
17. 魔力
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別荘での束の間の羽休めもあっという間に終わりを迎え、シーラ様も自領に戻られた。残りの休暇は課題に費やした。魔法実技の練習は兄に付き合ってもらった。
「ドラコ・グラキアーリス!!――来たれ氷龍。」
召喚された氷の精霊龍は、一息で周囲の木々を凍らせた。一気に周囲の温度も下がった。
「ランケア・ゲリダ!――氷の槍。」
私は畳みかけるように、いくつもの魔法陣を一気に展開して氷槍を放った。精霊の召喚の最大の利点は、自分の攻撃とは独立して精霊も攻撃してくれることだ。その分魔力消費が激しい。契約や召喚だけなら修練で達成する者もまあまあいるが、本当に魔力量の多い人間しか戦闘には活かせない。
「魔力量もさることながら、年々、その扱いも巧みになっているな。参った、エディット!降参降参。」
リアスだったら、さらに隙をついて攻撃を仕掛けてくるだろうが、兄は本当に防戦で手一杯のようであった。やっぱり魔法は楽しい。特に実技は。皇妃になることが決まっていなければ、魔法高等学院で戦闘魔法の研究をしたかった。
「ふふ。私の勝ちですわね。」
そう言って、攻撃をやめた。このくらい動ければ、休み明けの実技試験でリアスに一泡吹かせることができるだろう。
「そういえば、マティアス殿下の婚約者の選定、もちろん殿下がお前を気に入ったというのもあったんだが、一番の決め手はエディットの魔力量だったんだよ。」
「わたくしの?」
「ああ、マティアス殿下は生まれつき皇族にしては、魔力が少ないだろう?このまま皇族の魔力が少なくなると、内外で帝国の立場が悪くなるからな。それなのに、あんなほとんど魔力がない子爵家の娘に入れ込むなんて、言語道断だよ。あの男は帝国を滅ぼしたいのか。」
婚約者選びの決め手が私の魔力量だったなんて。そんな話、これまで聞いたことがなかった。
同じ両親から生まれたはずなのに、マティアス殿下の魔力は、弟君であるフレデリク殿下に大きく劣っている。それが、フレデリク殿下を皇太子に推す声がくすぶり続けている最大の原因である。そして、そのことを誰よりも気にしているのが、他でもないマティアス殿下自身だ。学院入学前、マティアス殿下はその不安を、ぽつりと私に打ち明けてくれたことがある。だから、私は自分が殿下の足りないところは補う、だから心配なさらずにとお伝えした。
結局そんな殿下が魔力がほとんどないライラ嬢に懸想しているというのは、私の進言が癇に障ったのかもしれない。ではなんと言えばよかったのか。後悔が鎖となって胸を締め上げる。
「どうした?エディット?」
「いえ、何でもありませんわ。兄上、今日は練習にお付き合い頂きありがとうございました。」
そう言って作り笑いで微笑んだ。
新学期が始まる前に、なんとか課題を全て終わらせ、帝都のタウンハウスへと向かう。馬車の揺れに身を任せていると、向かいに座る兄が少し言いたく無さそうに私に告げた。
「そういえば、マティアス殿下が取り巻きやライラ嬢を皇族の別荘に招いたそうだ。一体、何を考えているのやら。」
本来、皇子が周囲に侍らせるべきなのは、将来の側近候補となるべき優秀な高位貴族の子息だ。だが、殿下の取り巻きは悪友ばかり。新興貴族が大半で、忠誠心というよりは自家の商売や一時の遊興のために殿下と付き合っているにすぎない。
「……これでは第二皇子、フレデリク殿下を推す声が、いっそう強まってしまいそうですわね。」
帝都に近づくにつれて、街道脇の雪は目に見えて厚みを増していく。木枯らしが馬車の窓ガラスをガタガタと震わせた。街道沿いに増える雪の厚みに比例して、私の不安も増していった。
「ドラコ・グラキアーリス!!――来たれ氷龍。」
召喚された氷の精霊龍は、一息で周囲の木々を凍らせた。一気に周囲の温度も下がった。
「ランケア・ゲリダ!――氷の槍。」
私は畳みかけるように、いくつもの魔法陣を一気に展開して氷槍を放った。精霊の召喚の最大の利点は、自分の攻撃とは独立して精霊も攻撃してくれることだ。その分魔力消費が激しい。契約や召喚だけなら修練で達成する者もまあまあいるが、本当に魔力量の多い人間しか戦闘には活かせない。
「魔力量もさることながら、年々、その扱いも巧みになっているな。参った、エディット!降参降参。」
リアスだったら、さらに隙をついて攻撃を仕掛けてくるだろうが、兄は本当に防戦で手一杯のようであった。やっぱり魔法は楽しい。特に実技は。皇妃になることが決まっていなければ、魔法高等学院で戦闘魔法の研究をしたかった。
「ふふ。私の勝ちですわね。」
そう言って、攻撃をやめた。このくらい動ければ、休み明けの実技試験でリアスに一泡吹かせることができるだろう。
「そういえば、マティアス殿下の婚約者の選定、もちろん殿下がお前を気に入ったというのもあったんだが、一番の決め手はエディットの魔力量だったんだよ。」
「わたくしの?」
「ああ、マティアス殿下は生まれつき皇族にしては、魔力が少ないだろう?このまま皇族の魔力が少なくなると、内外で帝国の立場が悪くなるからな。それなのに、あんなほとんど魔力がない子爵家の娘に入れ込むなんて、言語道断だよ。あの男は帝国を滅ぼしたいのか。」
婚約者選びの決め手が私の魔力量だったなんて。そんな話、これまで聞いたことがなかった。
同じ両親から生まれたはずなのに、マティアス殿下の魔力は、弟君であるフレデリク殿下に大きく劣っている。それが、フレデリク殿下を皇太子に推す声がくすぶり続けている最大の原因である。そして、そのことを誰よりも気にしているのが、他でもないマティアス殿下自身だ。学院入学前、マティアス殿下はその不安を、ぽつりと私に打ち明けてくれたことがある。だから、私は自分が殿下の足りないところは補う、だから心配なさらずにとお伝えした。
結局そんな殿下が魔力がほとんどないライラ嬢に懸想しているというのは、私の進言が癇に障ったのかもしれない。ではなんと言えばよかったのか。後悔が鎖となって胸を締め上げる。
「どうした?エディット?」
「いえ、何でもありませんわ。兄上、今日は練習にお付き合い頂きありがとうございました。」
そう言って作り笑いで微笑んだ。
新学期が始まる前に、なんとか課題を全て終わらせ、帝都のタウンハウスへと向かう。馬車の揺れに身を任せていると、向かいに座る兄が少し言いたく無さそうに私に告げた。
「そういえば、マティアス殿下が取り巻きやライラ嬢を皇族の別荘に招いたそうだ。一体、何を考えているのやら。」
本来、皇子が周囲に侍らせるべきなのは、将来の側近候補となるべき優秀な高位貴族の子息だ。だが、殿下の取り巻きは悪友ばかり。新興貴族が大半で、忠誠心というよりは自家の商売や一時の遊興のために殿下と付き合っているにすぎない。
「……これでは第二皇子、フレデリク殿下を推す声が、いっそう強まってしまいそうですわね。」
帝都に近づくにつれて、街道脇の雪は目に見えて厚みを増していく。木枯らしが馬車の窓ガラスをガタガタと震わせた。街道沿いに増える雪の厚みに比例して、私の不安も増していった。
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