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第四幕 ボルタ遺跡
8. 停止
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翌朝は、まだ朝日が昇る前から準備を始め、日が昇ると同時に遺跡に潜った。昨日も入っているから、罠や仕掛けの場所も分かっている。何より、今日は青年姿のリアスに手を引かれているというのが心強かった。
「そこ段差があるから、気を付けて。」
「ありがとう、リアス。」
あっという間に、魔獣の間にたどり着く。
「じゃあ、作戦通り。炎龍で部屋にいる魔獣を焼き払って、隠遁魔法で昨日落ちた穴から下の階層に移動する。」
「はい、分かりました。」
「ドラコ・アルデンス!――来たれ燃え盛る龍!」
リアスの詠唱と共に、轟音が部屋に響く。炎龍が召喚された。ロビンが絶叫する。
「きゃーーー!炎龍!ずっと見たかったやつ!!所長、これスケッチさせてもらっても……。」
「おい、それ今じゃなくていいだろ。とにかく早く乗れ。」
「所長に言われてなくても乗りますよ。こんな貴重な機会なかなかないんだから。」
サリーン男爵以外の研究員が炎龍に乗りこむと、一人、先を歩くサリーン男爵が扉に手をかける。
「では、行きますよ。扉を開けます。」
視界を遮る砂埃、身体に響く轟音、血生臭い匂いと共に飛び出す魔獣たち。炎龍が火を吹く。炎の波紋が広がり、魔獣が焼かれていく。リアスが炎龍ごと隠遁魔法をかけて、昨日落ちた穴に向かう。穴に潜ると、魔獣除けの結界がかかっているのか、次の階層までは魔獣が追ってこなかった。
「アラエ・ヴェントルム――風の翼。」
サリーン男爵も風魔法で下の階層まで降りてきた。
「ああ、これがあの死の太陽の"心臓"ですか!実に興味深い!」
下層に着くなり、ロビンが騒ぎ始めた。彼は協調性というものが皆無だ。
「所長は、この脈打つ死の太陽の"心臓"をバックに、第一補佐官と愛を誓い合ったわけですね~。なんてロマンチックなんだ。」
「少しは静かにしているってことができないのか、お前は!!」
ロビンの空気の読めなさに、リアスのイライラが頂点に達した。場を制すように、サリーン男爵が口を開いた。
「では、後の作業もありますから、さっさとやりましょう。」
「ああ、そうだな。すまん。あれが昨日説明した動力源だ。すべてのエレメントを集中させることで、停止させることができる。」
虹色の球体を全員で取り囲み、そして、それぞれ担当の属性の魔法を流し込む。やがて目がくらむような白い閃光を放ち、力が霧散したかのように、球体は輝きを失った。
「――これでひとまず終わりだ。」
「昨日、王都に応援を頼みました。すぐに他の研究所の職員や下働きの者がくるはずです。まずは我々だけで、できることを終わらせましょう。」
「ああ。だとするとこれは後回しだな。」
光を失った巨大な球体を指さしながら、リアスが言った。
魔獣の間と最下層には、死の太陽の動力源以外ほとんど何も残されていなかった。それでも何に使われたか分からないパーツがいくつか落ちていたので、それを出土品として運び出した。その他、残された壁画や魔法陣を取りこぼしが無いように一つ一つ調査ノートに複写した。数日後、王都から応援が来て、球体は十人がかりで何とか運び出された。発掘作業もひと段落、出土品と資料をもって王都に戻ろうとしたその時だった。
「国境付近からの早馬です!一方的に停戦を破棄し、明日にもフィーラとニオがこちらに侵攻するとのこと。先の戦いで我が軍は甚大な損害を受けており、陛下に援軍を頼んでいますが、ここまで攻め込まれるのも時間の問題です!」
――え、私がこの前、視た未来と違う?
「そこ段差があるから、気を付けて。」
「ありがとう、リアス。」
あっという間に、魔獣の間にたどり着く。
「じゃあ、作戦通り。炎龍で部屋にいる魔獣を焼き払って、隠遁魔法で昨日落ちた穴から下の階層に移動する。」
「はい、分かりました。」
「ドラコ・アルデンス!――来たれ燃え盛る龍!」
リアスの詠唱と共に、轟音が部屋に響く。炎龍が召喚された。ロビンが絶叫する。
「きゃーーー!炎龍!ずっと見たかったやつ!!所長、これスケッチさせてもらっても……。」
「おい、それ今じゃなくていいだろ。とにかく早く乗れ。」
「所長に言われてなくても乗りますよ。こんな貴重な機会なかなかないんだから。」
サリーン男爵以外の研究員が炎龍に乗りこむと、一人、先を歩くサリーン男爵が扉に手をかける。
「では、行きますよ。扉を開けます。」
視界を遮る砂埃、身体に響く轟音、血生臭い匂いと共に飛び出す魔獣たち。炎龍が火を吹く。炎の波紋が広がり、魔獣が焼かれていく。リアスが炎龍ごと隠遁魔法をかけて、昨日落ちた穴に向かう。穴に潜ると、魔獣除けの結界がかかっているのか、次の階層までは魔獣が追ってこなかった。
「アラエ・ヴェントルム――風の翼。」
サリーン男爵も風魔法で下の階層まで降りてきた。
「ああ、これがあの死の太陽の"心臓"ですか!実に興味深い!」
下層に着くなり、ロビンが騒ぎ始めた。彼は協調性というものが皆無だ。
「所長は、この脈打つ死の太陽の"心臓"をバックに、第一補佐官と愛を誓い合ったわけですね~。なんてロマンチックなんだ。」
「少しは静かにしているってことができないのか、お前は!!」
ロビンの空気の読めなさに、リアスのイライラが頂点に達した。場を制すように、サリーン男爵が口を開いた。
「では、後の作業もありますから、さっさとやりましょう。」
「ああ、そうだな。すまん。あれが昨日説明した動力源だ。すべてのエレメントを集中させることで、停止させることができる。」
虹色の球体を全員で取り囲み、そして、それぞれ担当の属性の魔法を流し込む。やがて目がくらむような白い閃光を放ち、力が霧散したかのように、球体は輝きを失った。
「――これでひとまず終わりだ。」
「昨日、王都に応援を頼みました。すぐに他の研究所の職員や下働きの者がくるはずです。まずは我々だけで、できることを終わらせましょう。」
「ああ。だとするとこれは後回しだな。」
光を失った巨大な球体を指さしながら、リアスが言った。
魔獣の間と最下層には、死の太陽の動力源以外ほとんど何も残されていなかった。それでも何に使われたか分からないパーツがいくつか落ちていたので、それを出土品として運び出した。その他、残された壁画や魔法陣を取りこぼしが無いように一つ一つ調査ノートに複写した。数日後、王都から応援が来て、球体は十人がかりで何とか運び出された。発掘作業もひと段落、出土品と資料をもって王都に戻ろうとしたその時だった。
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――え、私がこの前、視た未来と違う?
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