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終
5.幸せのカタチ
しおりを挟む旅行から帰って数週間後―…
リンが発情期に入る頃というべきか…その時になっても発情期が来なかったので、心配になり病院へ行くと―…なんと、妊娠していたのだ。
閨事の時には必ず避妊具をしていたが―…避妊具の方に不備があったのか…それとも、俺がヤりすぎて破れてしまったのかは分からないが…
リンのお腹の中には俺との子どもがちゃんと存在しており、せっかく授かったのだから大切にしようと思う…
子育ては初めてだから拙いかも知れないが…しっかりとリンを支えて一緒に頑張ろうと心に誓った。
そして、妊娠が発覚したその日は皆が、けして広くはない屋敷に集まってどんちゃん騒ぎをした。
周りも喜んでくれて嬉しかった…
もちろん、俺も嬉しかったし、思わず抱き締めて深~く口付けてしまい…アヤトとヴェルから有り難くない説教をされた。
そして、その次の日からリン専属の世話係りとして、この2人が付く事になった。補佐として元実家の使用人と『純血の熊族』と『混血の熊族』がペアを組んで交代制で護衛をしてくれている。
少々、不自由かもしれないが…安全第一ではあるが、ストレスにならない程度には抑えてある。
皆、万一の事がないように気をつけてくれているので、安心だ。
ヴェルはアヤトと共に妊娠出産の事について猛勉強したようで、何かそういう資格も知らない間に取ったらしい…
いつの間に取ったのか全く分からなかった…週の2日から3日間そういう職場に勤めつつ、ヴェルに至っては他の資格も持っており、右腕の如く俺の補佐までしてくれているので舌を巻くくらいだ…
普通に生活していたので、全く気づかなかったが…かなりハードだったと思う。しかも、知らなかったのが俺だけ…リンは知っていた。その事実を知った時、なぜか言い知れぬ敗北感を味わった…
何はともあれ、出産に必要な事は俺もヴェルに教わりつつ、自分の仕事も両立させている状況だ…
大変だが苦ではなかった。リンの旦那として…子どもの父親としてしっかりせねばと決意を新たに頑張る日々が続いた―…
★
さらに数ヶ月がたった頃、歩き辛そうなくらいお腹が膨らんだリンは日を増すごとに母親の表情をする事が多くなった。
胎動も強く感じるようになってきた。
「あ、今動いた」とか「お腹蹴られてる」なんて嬉しそうにしている姿を見て、俺も胸が一杯になる。
そして、なぜかアヤトとヴェルが「ママ」や「パパ」よりも先に自分たちの名前を呼んでもらうと意気込んでいる。
リンには勝てる気はしないが―…せめてアヤトやヴェルよりかは先に呼んでもらいたいと思う…
ちなみに健診で分かった事なんだが―…双子で、当たり前だが男の子だった。
母子ともに健康そのものだったので安心した。
まぁ、少しでも異変があれば小姑みたいな2人が黙ってはいないだろうが…
それから出産まで甲斐甲斐しく世話を焼く日々が続いたのだった。
★
そして、出産から数年が経ち双子の兄弟は学校へ上がった。
双子が元気すぎてリンが怪我をしないか心配していたが杞憂で終わった。
アヤトやヴェルも相変わらず我が家へ来ている…いや、だって子育てを一緒にしたようなものだしな…
まぁ、一応、母親と父親が誰なのか区別がついているので良かったと安心したな…
分かっていなかったら―…凄く傷つく…
何はともあれ、大きな事故なんかもなく、スクスクと育っている我が子たちやリン、助けてくれる周りの者たちに俺はずっと支えてもらっている。
リンに出会う前の俺ならば全く想像もつかない未来だった…
恐らく、兄弟の仲も険悪なままだったのだろう…
俺は沢山の者たちから幸せにしてもらっている―…
だから、俺もこれからずっと頑張れるし、周りも大切にできる。
少しずつでも、今まで支えてくれた者―…
そして、これからも支えてくれる者たちに返していきたいと思う…
それで、少しでも周りの者たちが幸せになってくれたならば、もう他に言うことは何もないんだけど…
「ウィル?」
笑みを浮かべてこちらを見ているリンを見ながら考え事をしていたら…リンから声がかかった。
日に照らされてキラキラと輝いているリンが、なんだか神々しいものに見えて思わず目を細めてしまったが…
リンは俺の表情の変化を見て、顔を微かに桃色へ染め上げた。何年経ってもそういうところは変わらないリンへ近づき、笑みを返すと、俺はリンの耳元でこう囁いた…
「ありがとう…愛してる」
顔を話して軽くキスをして少しだけ離れると―…
目を見開いて顔を真っ赤にしたリンが謎の言葉を発するのと、俺に鼻血を浴びせたのは、ほぼ同時の出来事だった…
*END*
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