狼(♂)ですが…狐(♂)に婿入りしました。

スメラギ

文字の大きさ
35 / 35

5.幸せのカタチ

しおりを挟む
 

 旅行から帰って数週間後―…
 リンが発情期に入る頃というべきか…その時になっても発情期が来なかったので、心配になり病院へ行くと―…なんと、妊娠していたのだ。
 閨事ねやごとの時には必ず避妊具をしていたが―…避妊具の方に不備があったのか…それとも、俺がヤりすぎて破れてしまったのかは分からないが…

 リンのお腹の中には俺との子どもがちゃんと存在しており、せっかく授かったのだから大切にしようと思う…

 子育ては初めてだからつたないかも知れないが…しっかりとリンを支えて一緒に頑張ろうと心に誓った。

 そして、妊娠が発覚したその日は皆が、けして広くはない屋敷に集まってどんちゃん騒ぎをした。

 周りも喜んでくれて嬉しかった…

 もちろん、俺も嬉しかったし、思わず抱き締めて深~く口付けてしまい…アヤトとヴェルから有り難くない説教をされた。

 そして、その次の日からリン専属の世話係りとして、この2人が付く事になった。補佐として元実家の使用人と『純血の熊族』と『混血の熊族』がペアを組んで交代制で護衛をしてくれている。

 少々、不自由かもしれないが…安全第一ではあるが、ストレスにならない程度には抑えてある。

 皆、万一の事がないように気をつけてくれているので、安心だ。
 ヴェルはアヤトと共に妊娠出産の事について猛勉強したようで、何かそういう資格も知らない間に取ったらしい…
 いつの間に取ったのか全く分からなかった…週の2日から3日間そういう職場に勤めつつ、ヴェルに至っては他の資格も持っており、右腕の如く俺の補佐までしてくれているので舌を巻くくらいだ…

 普通に生活していたので、全く気づかなかったが…かなりハードだったと思う。しかも、知らなかったのが俺だけ…リンは知っていた。その事実を知った時、なぜか言い知れぬ敗北感を味わった…

 何はともあれ、出産に必要な事は俺もヴェルに教わりつつ、自分の仕事も両立させている状況だ…
 大変だが苦ではなかった。リンの旦那として…子どもの父親としてしっかりせねばと決意を新たに頑張る日々が続いた―…



 さらに数ヶ月がたった頃、歩き辛そうなくらいお腹が膨らんだリンは日を増すごとに母親の表情をする事が多くなった。
 胎動も強く感じるようになってきた。
 「あ、今動いた」とか「お腹蹴られてる」なんて嬉しそうにしている姿を見て、俺も胸が一杯になる。

 そして、なぜかアヤトとヴェルが「ママ」や「パパ」よりも先に自分たちの名前を呼んでもらうと意気込んでいる。

 リンには勝てる気はしないが―…せめてアヤトやヴェルよりかは先に呼んでもらいたいと思う…

 ちなみに健診で分かった事なんだが―…双子で、当たり前だが男の子だった。
 母子ともに健康そのものだったので安心した。

 まぁ、少しでも異変があれば小姑みたいな2人が黙ってはいないだろうが…

 それから出産まで甲斐甲斐しく世話を焼く日々が続いたのだった。

 ★

 そして、出産から数年が経ち双子の兄弟は学校へ上がった。
 双子が元気すぎてリンが怪我をしないか心配していたが杞憂で終わった。

 アヤトやヴェルも相変わらず我が家へ来ている…いや、だって子育てを一緒にしたようなものだしな…
 まぁ、一応、母親と父親が誰なのか区別がついているので良かったと安心したな…

 分かっていなかったら―…凄く傷つく…

 何はともあれ、大きな事故なんかもなく、スクスクと育っている我が子たちやリン、助けてくれる周りの者たちに俺はずっと支えてもらっている。

 リンに出会う前の俺ならば全く想像もつかない未来だった…
 恐らく、兄弟の仲も険悪なままだったのだろう…

 俺は沢山の者たちから幸せにしてもらっている―…
 だから、俺もこれからずっと頑張れるし、周りも大切にできる。

 少しずつでも、今まで支えてくれた者―…
 そして、これからも支えてくれる者たちに返していきたいと思う…

 それで、少しでも周りの者たちが幸せになってくれたならば、もう他に言うことは何もないんだけど…

 「ウィル?」

 笑みを浮かべてこちらを見ているリンを見ながら考え事をしていたら…リンから声がかかった。

 日に照らされてキラキラと輝いているリンが、なんだか神々しいものに見えて思わず目を細めてしまったが…

 リンは俺の表情の変化を見て、顔を微かに桃色へ染め上げた。何年経ってもそういう・・・・ところは変わらないリンへ近づき、笑みを返すと、俺はリンの耳元でこう囁いた…


 「ありがとう…愛してる」


 顔を話して軽くキスをして少しだけ離れると―…
 目を見開いて顔を真っ赤にしたリンが謎の言葉を発するのと、俺に鼻血を浴びせたのは、ほぼ同時の出来事だった…



*END*
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】

ゆらり
BL
 帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。  着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。  凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。  撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。  帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。  独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。  甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。  ※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。 ★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!

異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました

水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。 世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。 「見つけた、俺の運命」 敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。 冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。 食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。 その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。 敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。 世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました

すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。 第二話「兄と呼べない理由」 セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。 第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。 躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。 そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。 第四話「誘惑」 セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。 愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。 第五話「月夜の口づけ」 セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。

処理中です...