鬼の花嫁

スメラギ

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鬼の花嫁―本編―

KOUKI side.04

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 そう、陽穂ようすい側近自分の子どもを使って更に男のΩオメガを襲わせている。その中にはその鬼の母親と呼ぶべき男のΩオメガも居たはずだ。

 側近はそれすら承知していると思う。完全に純粋な陽穂ようすいの手駒…事の重大さに気づいていない。
 洗脳されているその側近は何の疑いもなく男のΩオメガを襲った。

 なぜ、陽穂ようすいの庇護鬼が多いのか…
 答えは簡単に出た。
 側近を使って孕ませたりしていたからだ。そして、生まれた子どもに同じ教育をして手駒としている。

 暴力での支配、言葉での洗脳。
 幼い頃から叩き込まれると抗えなくなる。いくら強い鬼として生まれても小さい子どもは敵わない。鬼化なんて普通は出来ないからな。

 言うまでもなく、そこに信頼なんてない。紋章を捧げている訳でもないみたいだし。その辺は問題なく引き離す事が出来るだろう。あくまで、引き離す事が出来る・・・・・・・・・、というだけ。
 常識を学んで『これはおかしい』と思えない限り恐らく普通の鬼としては暮らせないだろう。

 恐らく男のΩオメガの中には自分の子どもに犯されて孕んだ人もいたはずだ。
 それ・・が普通だと思っているから何の気兼ねもなく母親だと知っていても犯したのだろう。

 無知は罪にならない理由にはならない。側近は優遇されているようなので、学んで知る事は出来たはずだからだ。裁かれるべき対象だろう。ある意味では被害を被っているのかもしれないが―…男のΩオメガは助けすら呼べない状況にある。

 何らかの理由で子どもが出産できなくなると―…遠くの地で殺される事になるか子どもを必要としない鬼に売り付けるかになる。これは若い男のΩオメガの場合だ。女は屋敷で働かせているみたいだ。

 高齢になると男女共に殺傷処分となる。その際は濃度の薄い毒薬をご飯に混ぜ、衰弱させていき最終的にそのΩオメガは知らぬ間に毒薬で死ぬのだ。

 それを知って実行に移す側近を考えると―…やはり、罪人側近は裁かれるべきだと思う。
 いつきが居なければ考えもしなかっただろう。現状を知ろうともしていなかったに違いない。

 恐らく氷夜は全てを知っていたはずだけど、政義と陽穂ようすいは完全に切り離されており、氷夜のつがいとして再出発をしている。無関係になったのに関わるのはマナー違反だ。
 過度な関わりは出来ない。そこら辺もちゃんと弁えている。
 政義の事もあるので特に関われなくなっている。

 上層部の決定とはいえ、略奪に近い形で保護した事にかわりはないからな…
 紋章を刻んだのはしっかり政義の意思を確認しているから、そこは問題ないけどな。

 その点、俺はかなり強引に外堀を埋めた自覚はあるが、後悔はしていない。
  まぁ、その話はおいといて…今の問題は陽穂ようすいだ。

 いくらクソみたいな陽穂ようすいでも、そこまでバカじゃなかったはずだ。氷夜を巻き込むにはリスクが高すぎるからな。

 俺が『神木かみき』であっても氷夜の人脈には敵わない。それほど周りから信頼されており、中心に近い鬼であり、その上に、先祖返りの血も強い鬼だった。上層部の鬼の1人で敵に回すとヤバい奴。それだけは誰もが知ってる。

 『先代神木かみき』は好き勝手しており、男のΩオメガをペットにしていなかっただけ陽穂ようすいよりはマシか程度の鬼だったみたいだ。

 そう考えると陽穂ようすいは文字通りの下衆な鬼だった。
 コイツの血が俺に流れている―…そう思っただけで吐き気がする。
 けど、いつきも政義も氷夜も俺を愛してると言ってくれているから、俺は自分を嫌わずに済んでいる。
 俺も政義や氷夜は嫌いじゃない。いつきの事は愛してるけどな。



 どちらにしても一部の庇護鬼に対しては後味の悪い結果になることだけは分かっている。




 椿たちに陽穂ようすいの詳細を話してやると分かりやすく顔が不快そうに歪んだ。

 「そこまでは調べてなかった。」
 「そこまで下衆とはね~。」
 「これは酷いですね。」
 「思ってた以上だったね。」

 このリアクションだと本当に調べてなかったらしい。上層部とのΩオメガ保護へ向けての話し合いは最終段階に入っている。
 ただ、俺は直接動く事は出来ない。俺も俺の庇護鬼もつがいよめが狙われているから下手に動くのは愚策だ俺の庇護鬼も同じ。
 上層部からもそう言われている。

 鬼の世界の中心にいる上層部…謎は多いが、今は使えるものは使っておく事にする。
 所属しているはずの氷夜も上層部については何も話さなかった。多分、話してはいけないのだろう。

 正式名称も分からない。上層の更に上の組織。何人構成なのかどの鬼が所属しているのかも謎に包まれている。全く分からなくなっている。ただ、普通に表で生活しているであろう事は分かる。

 学園に通っている鬼の中にも居るかもしれないし、居ないかもしれない。普通に誰かの庇護鬼をしている場合だってある。

 氷夜は政義の時に表に出てきてしまったから知られてしまった。だから、今は組織の運営から外れているみたいだ。

 海外で政義とよろしくやっているみたいだからな…政義からの連絡よりも微妙に氷夜からの連絡の方が多い。
 大半は惚気を聞かされるだけなんだけどな。
 いつきには言ってないけど…事態が収束して落ち着けば会う約束をしている…いつきには言ってないけど…怒るかな…

 まぁ、何で謎に包まれている組織と連絡が取れるかと言うと…『神木かみき』窓口というよく分からない窓口があるので、そこに全ての要望などを伝える事になっているからだ。
 今まで使っていなかったので凄く驚かれた。窓口の鬼も俺と直接会うときは面を着用している。

 『神木かみき』は確かに頂点に立つ者―…しかし、それは『象徴』にすぎない。鬼たちを統率するための『象徴』だ。神輿に担ぎ上げられた者。
 『神木かみき』が鬼の世界を回しているわけじゃない。上層部が鬼の世界を回していると言っても過言じゃないからな。
 無下にされず、優先してそこそこ意見も聞いて望みは叶えてはくれるが…それだけだ。

 上層部との話し合いの結果。今度、陽穂ようすいが何かをした時が全て終わるということは確かだ。
 ただ、小幸に関してはよく分からないので一応、上層部へ報告はしてある。
 陽穂ようすいの手駒という可能性も零ではないからな…

 椿たちにも事のあらましを軽く話しておいた。

 「まぁ、動けないのは仕方ないね~。俺のつがいも狙われちゃってるからねぇ。死なない程度に守ってあげないと、でしょ?」
 「葉月はよめ、居ないよな?」
 「柊も今さらすぎるでしょ?」
 「確かに今さらですね。」
 「あー…実は俺も気になっては居たんだよ。」

 という椿の言葉に「え~、椿も?」なんて言って葉月は大袈裟なリアクションをとる。
 「う~ん、何て言うのかな…邪魔なんだよね。率直に言うとさ。それに、『少しでも子孫を!』なんて考えもないしね~」つがいともそういう行為しないし。とヘラヘラしている。

 「発情期は!?」
 「え~、家には居てあげてるよ?でも、基本は放置だね~」
 「それって大切にしてるの?」
 「一応、庇護鬼もつけてるしね~…それなりにはしてると思うけど?」
 「一応、聞くけど…つがいだよな?」
 「フフ…そーだよ。でも、ねぇ。邪魔なんだよね。正直に言うと…まぁ、殺そうとするほど鬼畜ではないからね。いつき様と出会う前の誰かさんと違って、ねぇ?」

 なぜか俺を巻き込む。やめろ。面倒臭い事に巻き込むな。

 「葉月って結構、淡白なの?愛したいとか感情ないの?」
 「ん~、何て言うのかな?裏切り者って要らないじゃん?」
 「え、葉月…つがいに裏切られたの!」
 
 「フフ…まぁ、そんなところだよ。百年の愛も冷めるっていうのかな?だから、もし、今回の事で巻き込まれて命を失ったとしても俺は別にどうでも良いんだよね~」死なない程度に守ってあげてるから問題ないでしょ?と言いながらクスリと笑って言葉を続ける…

 「無償の愛なんて俺は持ち合わせてなーいよ?」と言って嘲笑を浮かべた。

 椿と柊が口を開こうとしたがタイミング良くいつきが帰ってきた。その瞬間、葉月の表情はいつもの笑みに戻った。

 ま、紋章の気配で大体どの辺に居るのかは分かっていたので、当然、人気のない辺りに行ったのも分かっていた。

 いつきの隣には小幸も居る。何を思っていつきと共に居ようとするのかは知らないが―…危害を加えようとしたら潰すと心に決めた。
 いつきは悲しむだろうが…話くらいは聞いてくれるだろう。
 

 


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