僕たちの軌跡

スメラギ

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本編

13*

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 「はぁ…ン…」

 優しくほぐされ、グズグズに蕩けきったソコは、今か今かと氷夜のモノを待ち望んでいる状態だった。

 氷夜は僕の顔を覗き込むと、乱れている呼吸を気にしてか、僕の口の端に軽く口づける。

 「政義、挿れても良いか?」

 そう言って、優しく梳くように僕の頭を撫でる。

 「ん…も、だいじょぶ、だからっ…ぁ…」

 少しの刺激にも反応するくらいに、全身が性感帯になっているような錯覚に陥る…いや、錯覚ではないのかもしれない…

 「痛かったら我慢せずに言ってくれ」

 そう言った氷夜に頷き返す。すると、氷夜は僕の足を優しくけれど…的確な・・・力加減で広げると、僕のソコへと剛直をあてがう。

 ぬちゃぬちゃと馴染ませるように数回擦るとゆっくり侵入し始めた。
 長さは勿論だが、大きさも太さも全く違う氷夜のソレに腰が震えて涙が流れる。

 氷夜は中途半端な位置で動きを止めた。

 「痛むのか?」そう言って心配そうに僕を見たあと抜こうとしてきたので、咎めるように氷夜の腰に足を絡めた。

 僕が本当に・・・痛がれば、氷夜はどれだけ自分が辛くても、僕を優先して止めてしまうだろう…しかし、僕は痛い訳ではない。

 「ちがうっ、…いたくない…ぁ…」
 「本当か?」
 「ン…いたくない…からっ、きてっ…」

 そう言って動かし辛い身体を叱咤して腰を動かす。氷夜が息を飲んだのが分かった。そして、短く息を漏らすと、何かを耐えるような表情をする…

 「こ、こらっ、政義。危うく出してしまいそうだったぞ」

 なんて言って焦っている氷夜を見たのは初めてだった。何だか凄く可愛く見えた。

 「んぁ…なかにだしてもよかったのにっ、んんっ…」

 何て言ったのが悪かったのか、少し意地悪い動きを見せる。
 氷夜は僕の様子を見ながらではあったが…ググッと奥に侵入し始めた。

 「えっ、ぁあっ…ひょ、やぁ!!」
 「少し余裕ができたみたいだからな。普段の政義も可愛いが、今みたいに、気持ち良すぎて泣いている政義も可愛いぞ。」

 そう言ってニヤッと笑うと、最奥に近い部分を剛直で広げるように小さく1回だけ突いた。そして、最奥付近で動きを止める。

 今まで届いた事のない奥深くまで侵入してきたソレに僕は息を飲んだ。

 僕のナカが氷夜のモノに馴染むまで待ってくれるようだ。直ぐにでも動きたいくらいに辛いはずなのに、まだ僕に合わせてくれる。

 その優しさにまた、トクンと僕の心臓が音を立てる。

 「苦しいか?」という心配気な氷夜の声に視線を向けると困ったようにへニョっと下がった眉毛が可愛らしい…

 「んぁ…ン…こんなに、おくっ…までっ、はいってきたのっ…あ、んんっ…ひょうやのが…はじめてだからっ、ちょっと…くるしぃ…ふぅ…」

 そう言ってへニャっと笑えば、ナカに入っている氷夜が硬さを増した。
 僕のナカは氷夜のモノから搾り取ろうと蠢き始める。

 「可愛い事を言われると…理性が飛びそうだっ、あ、んまり締めるな。ただでさえ気持ち良すぎて出そうなのにっ…」

 そう言って耐えるような表情は扇情的だった。その表情にすら反応する僕のナカ…

 「だ~か~らぁ~、出そうなんだってぇ~…」

 ここまで情けない氷夜の声を聞いたのは初めてかもしれない。

 「んんっ…ごめっ…でも、かってに、はんのうしちゃうっ…」
 「っ…すまない。もう少し馴染むまで待ってやりたかったのだが…動いても良いだろうか?」

 申し訳なさそうにそう言いながら僕と視線を合わせてくる。その氷夜に頷き返す。すると、氷夜は僕の額に口づけてからゆっくりと動き始めた。



 ゆっくりと揺さぶられていた身体は何回目かの欲を吐き出した後に体勢を変えた。

 クルリと優しく身体を反転させられ、うつ伏せに変えられていた。そして、再び揺さぶられており、徐々にその腰の動きは激しさを増していた…。

 「ぁあっ…ふかぃ、ふかいぃ…ンぁあっ…」
 「っ…はぁ…可愛い…」

 情けない声を上げて少し振り返り氷夜を見上げると、呼吸を妨げないように気をつけながら僕の口に口づけてくる。

 「も、だめぇ…でるぅ…ぁ…」
 「俺もっ…政義、俺を見てっ…」
 「んぅ…な、にぃ…ふぁ、んぅ…」

 氷夜に言われるまま氷夜を見上げて視線を合わせると、深く口づけをされる。
 そして、腰の動きも僕を追い詰めるモノへと変わった…。身体が凄く反応する場所を抉るように突き上げられ続けていると、程なくして限界をむかえた。

 悲鳴に近い喘ぎ声は全て氷夜の口の中へと消えて行く…
 頭が真っ白になり、氷夜の熱を奥に感じた直後、僕の口内を鉄の味が満たした。
 びっくりして動かない身体を無理やり動かし、顔を逸らそうとしたが、氷夜の顔は全く微動だにしない。
 それどころか咎めるように僕の顎を掴み僕の顔も固定する。

 動かす事ができなくなった僕は流し込まれるソレを飲み下す選択しかできなくなった。
 流し込まれている液体が氷夜の血だと気づくのに時間はかからなかった。
 氷夜の口から流し込まれたソレが僕の喉を通っていく感覚を泣きながら享受していると、発情期のソレとは比べ物にならないくらいの熱が身体の奥底から湧き上がり全身に広がった。

 いつの間に外れたのか、氷夜の口が今度は僕の項を捕らえていた…鋭い歯が触れた直後、僕のナカが氷夜を締め付ける。

 僕は敷布団に顔を押し付けて身悶えている状態になっていた。

 しかし、氷夜はまだ、歯を立ててはこない…。グチャグチャに濡れた敷布団を握り締めていると、優しく手を覆われた。

 「んぁ…ぁあっ…!!」

 振り返るよりも早く、氷夜は僕をたたみかけるように最奥を抉り、押し広げるように激しく動き始めた。

 「んぅ…あぁ、んぁ…ぁあっ…も、だめっ、…」
 「政義、愛してる。ありがとう。俺を受け入れてくれて…必ず大切にするから…」

 そう僕の耳元で優しく囁くと、耳の裏にチュッと口づけをしてから僕の項に再び軽く歯を立てると、氷夜は的確・・に動いた。
 そうなれば、僕は直ぐに限界を迎える…。

 「ひっ、ぁぁああぁあ!!」

 項に感じた激痛とともに、あの人・・・により解消されていたはずソレが再びー…今度は違う誰か陽穂と僕を繋げる感覚があった。そして、今度はソレが上書きされていくような感覚だった…。

 あぁ、これはあの人・・・陽穂ようすいの時に味わった感覚に似ている…

 『人間』界隈では『つがい』になる契約の証…。
 『鬼』界隈では『よめ』になる為の儀式の跡…。

 恐らく、次に目覚めたら項には新しく・・・氷夜の跡が増えて残っているのだろう…。

 ぼんやりとした頭で考える事ができたのは、そこまでだった…。
 徐々に意識が遠退き、視界が黒く塗り潰されていく…そして、終いには、氷夜の声すら聞こえなくなっていった…。
 

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