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本編

(16)可笑しくなった親友と距離を置いたら、いろいろすっ飛ばして急展開した後に隣の席の子と急接近した俺の話

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 結論から言うと愛羅は退学になった。生徒会全体が動いてしまったからだ。そして、愛羅の両親に対して俺の両親がブチギレて没交渉。絶縁になった。

 「親之は我々の子どもであって貴様らの使い勝手の良い道具ではない。」
 「自分たちの仕事や趣味にかまけて躾を怠ったのはあなた達の落度、親之を責めるのは不愉快だから止めてくださる?しかも、丸投げなんて…家の息子を何だと思っているのかしら?」

 という風な絶対零度の笑みを浮かべていた両親。後から「こういう面倒な事になる前に早く相談しなさい」と父。「嫌なら嫌と言ってくれないとこちらも対処できないわ」と母。
 双方からそういう言葉を頂いた。まぁ、最初は嫌がっていなかったから曖昧に笑うしかできなかったけど…

 もう少し早く相談しておけば良かったと後悔した。

 ちなみに真と両親は何故か仲良くなった。特に母と…何か知らない間に連絡先の交換までしてやり取りをしていた。

 電話までしているあたり相当、気に入っているみたいだ…

 そして、俺には「式はいつにする?」やら「お色直しは?」、「和と洋どっちの式にする?」、「住む場所はどうしようか?同居は気を使うでしょうから止めて、別居にしてお互いの家を行き来しましょう!勿論、敷地内に家を建てましょうね!お兄ちゃん家族もそうしているのだから…」という母親の怒涛の攻めである。

 「真は男だ」と言ったら「そんな事は知っている」と返ってくる。
 「ウェディングドレスは本人が嫌がるだろ」と言えば「それは本人に聞くから問題ないわよ。それに可愛いからウェディングドレスだって似合うわよ。」と返ってくる。
 どうしても真にウェディングドレスを着せたいらしい…

 何を言っても無駄だったが、両親公認だから親の前でも堂々とできる…勿論、エッチな事はしない。普通にイチャイチャするだけだ。

 真の両親に挨拶をと言えば、真からは「僕の家、弟至上主義だから…僕の事は放置だよ。興味ないと思うけど…」と困ったように笑った。ソレを聞いて黙っていないのが俺の母親である。俺が何かするよりも早く動いた。

 そして、その話を聞いてから数日後、真と俺は兄弟になった戸籍上は…特別養子縁組をしたらしい。金輪際何があってもお互いに関わらないと正式な文書まで作成している徹底ぶりだ。関わってきたら潰すと言っていた…

 俺が知らなかっただけで真との間で話しができていた事に驚きだ…

 「これからは私が母でこの人が父よ。そしてこの子とは兄弟になるけれどソレは戸籍上だけだからね!今まで通り親之とイチャついてくれて万事オッケーよ!」

 そう言ってウインクをバチコーンとしてきた母は強いと思う。隣で聞いている俺はいたたまれなくなったが、真が嬉しそうに笑っていたので良しとしよう。

 まぁ、家は長男…俺の兄が継ぐから俺は好きに出来るし、兄もソレで良いと言っている。
 長期の休みに実家へ帰ると…何か、兄の嫁と真が仲良くなってそこに母も混じり、父や兄、俺をそっち退けで3人は「腐が~」とかなんとかいろいろと・・・・・語り合いキャーキャーと、はしゃいでいる。何はともあれ楽しそうで何よりである。

 しかも、卒業後に住む家も何か建て始めており、兄嫁と母、そして真の3人で設計やらの全てを相談して決めたらしい…
 父曰く「気にしたら負けだ。アイツは止まらない」らしい。完全に母の尻に敷かれている…
 ソレが聞こえたらしい母は「あら、分かってるじゃない!今日はご褒美をあげようかしら」と色気を醸し出し妖艶に笑む。すると父の顔は赤く染まり手で顔を覆ってしまった。
 小さい声で「優しくしてください」と母に言っていたのは聞かなかった事にした。兄は遠い目をしている。既に知っていたらしい…

 主導権は母が持っているらしい…
 父の小さい呟きを聞いて兄嫁と真が色めき立ったのは、また別の話…






 まさか、可笑しくなった親友と距離を置いたら、いろいろすっ飛ばして急展開した後に隣の席の子と急接近して、親友とはその家族とも絶縁する事になり、隣の席の子は家族と絶縁して俺と兄弟になった。

 毎日楽しく過ごしている。
 何か幸せになった。
 そんな話…

 
 

 
*END*
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