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本編
13ー義輝Sideー
怪我で発熱した彼の看病をしながら、考えていた1つの事を実行に移した。あのクソ虫どもを地獄に落とす為の一歩とも言えるものだ。
手元には五十嵐 修兵と書かれた書類。全てを一度リセットをする為に必要な物である。それと、もう1枚今の彼の名前が書かれた死亡届。
稀に鬼が番の家族と番を離す為に使用する手段でもある。まぁ、書類上とはいえ殺す事なんて殆どない。特別養子縁組なら結構あるが…
家族からの扱いが酷い番に使う手段を俺は取った。扱いがかなり酷いオメガの為に使う手段。直ぐにでも生死に関わるくらいに酷い時に使用するものだ。
その手段を使った。しかも、ただのベータである彼に、だ。特例中の特例である。
ベータに対して使った前例がないので窓口で訝しげに見られたが…『ネオオメガ』という便利な言葉がある。もしかしたらそうかもしれないという理由で突き通した。
まぁ…調べたらわかる範囲内の事を全て書面で提出し、彼の現状を報告した。その際に「『ネオオメガ』であり俺の『運命』かもしれない」なんて言ってたのは随分と自分らしくないと思うけれど…
元々、俺は『運命の番』なんてどうでも良い。番う形なんてそれぞれだと思う。
祖父母のような『運命』に囚われない形もあるし、両親のような『運命』同士が番うという形もある。
俺自身、『運命』のオメガを探す為にわざわざ割いてやる時間もないし、探そうとも思っていない。思った事すらない。
俺にとってはその辺に転がっている石ころと同じくらいのレベルでどうでも良い。
『運命』なんて都合の良いモノなんかこれから先も要らない。必要ない。そう思っている。
そんな価値観の中でただ、言えることは、このベッドに寝ているベータである彼を見た時に『コレがほしい』と強く思った事くらいだ…
『コレがほしい』と思ってはいたが、強引にどうこうする気はなかった。
この子はれっきとしたベータであり『番』にはどう転んでも成り得ない者。よってオメガになる事はないので番えない。これは絶対に覆せない第二の性だった。
ま、その事に気づくのは俺を除けば祖母もしくは父親くらいたろう。
俺との約束を反故にして恋人を作ったと…しかも男のアルファと付き合っていると報告を聞いて怒った事もあるがー…幸せそうにしている彼を見て、『幸せならまぁ、良いか…』と嘗てないくらいに穏やかな心で現状を受け入れた。
そして、不測の事態により止まったプロジェクトをどうしようかと対策をする為に少し目を離した隙きにこのザマである…
だが、今はそんな事はどうでも良い。取り敢えず、この子を今後どうするのか本格的に考えるのは目先の問題を片付けてからする事にした。
選択肢は与えるつもりだ。返答によっては今後の人生がガラリと変わるだろう。
それに、約束を反故にして裏切った事を一度は許してやったけど…二度目は許す気なんてない。
選んだ選択肢によって今後の対応も変わるだろう。
俺を思い出さずに新しい人生を歩むというのであれば、死ぬまで支援はしてあげるつもりでいる。
俺を思い出した上でしかも、過去の事を無かった事にして新しい人生を歩むというのも困らない程度には支援するつもりだ。
しかし、現状を知り嘆き悲しむだけの者ならばー…もう、逃しはしない…
どの選択肢を選んでも良いように準備は万端にしておく事にした。
まぁ、後に双子が持ってきた報告書を見てほくそ笑む事になるなんて思いもしなかったが…
*
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