あの日、僕らがいた時間は永遠に

runa

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1サクライロ

もうすぐ、春の終わりが来る。

もうすぐ、春の終が来る。
桜が散り、新緑がめばえ始める。
木陰に隠れても追ってくる太陽からは、どうやっても逃げられそうにない。
僕はいつものように閑静な住宅街を通り抜けて公園を突っ切る。最寄り駅への最短ルートだ。

沢山の家の前を通りながら、それぞれの家庭に思いを馳せる。
父親にいってらっしゃいと笑顔で見送る母と子。スマートフォンを観ながら家を出ている学生。寂しそうな顔をしながら歩いているサラリーマン。
ここは割と立派な住宅街だからお金に困っている人はいないだろうが、こんな狭い区域にも様々な悩みが散らばっているに違いない。
駅に近づくにつれて、人が増える。きっと悩みの数もそれに比例しているのだろう。

改札に着いた時、違和感に気づいた。
「京王線は人身事故の影響で、現在運転を見合わせています。運転再開予定時刻は---」
朝の通勤ラッシュの時間帯。
アナウンスが電車の遅延を知らせる。
舌打ちをして、スマホを弄り始める人々。よくある光景、よくある事故。
みんな同じように思うのだろう、
『迷惑だな、死ぬならよそでやってくれ』
誰かが死んだかもしれないのに。近くでまた一つ、命が消えたかもしれないというのに。

いや僕だって、あんな事故を目の当たりにしなければ今もみんなと同じように電車が遅れることにイライラしていたのだろう。
小さく頭を振る。思い出すのはやめよう。朝から暗い気分になるのはごめんだ。
電車が来るのをぼーっとして待っていると、携帯がポケットの中で振動した。
瞬からだ。

『おはよ、京王線遅れているらしいな、気を付けて来いよ』
なんとも瞬らしいLINEだ。
『ありがとう、クラス分け見といてくれよ。』
すぐにまた携帯が通知を知らせた。
『同じクラスだったよ』
『まじで。良かった』
『メンツもいい感じ。楽しくなりそう』
『早く行きてえな』
『2組な。教室で待ってる。』
そのLINEを確認して、携帯をしまった。
瞬と同じクラスか。ほっと息を吐く。あいつと同じクラスなら今年も一年安心だ。
最も、人とは仲良くなれるタイプだから、瞬がいなくてもそれなりに楽しい一年にはできそうだけれど、やっぱり安心できる友達がいるというのは大きい。
 
 瞬とは去年の入学式で知り合った。佐野奏と篠原瞬は出席番号が前後だったから、席もそうなった。皆のことを知らない状況で、まず誰に話しかけようか考えながら席に着いた時、後ろから声をかけられたのだった。
瞬は、黒縁眼鏡をかけていて、一見おとなしそうに見えるのだが、勉強もスポーツも軽々こなし、顔立ちも綺麗だったことから、一目置かれる存在になった。お互いに争いを避けて生きているタイプだったから、なんとなく二人でいることが多くなった。まさか一緒にサッカー部に入ることになるとは思わなかったけれど。
元々気の合う僕等を仲良くさせたのは、あの一件だった。

 瞬は、サッカー部に入ってから、一年だというのに、かなりの活躍をみせていた。それは、監督もすぐにわかったようで、都大会のメンバーにも瞬を選んだ。その事が気に食わなかった同学年から、瞬は嫌がらせを受けるようになった。今思えばみんな青臭かったと思うのだが、それは自分が選ばれたいという意欲の表れでもあったのだと瞬は言っていた。
 けれどある夏の日。事件は起きてしまった。
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