配信スローライフをしてたら、相方のゴーレムがアップをはじめたようです

摂政

文字の大きさ
266 / 490

第266話 灰色コボルトについて配信

しおりを挟む
 ~~デルタ~~

 私の放った、【オーラ】を用いた必殺技。それはヘルオーガのみならず、湖畔に大きな傷跡を残した。
 恐らく、私の放った技により、この湖の形は大きく変形している事でしょう。

 まぁ、今の私が出せるこの必殺技。当然、私にも影響がない訳ではなく----



「折れちゃいましたね、腕」

 ぽろんっと、脱臼どころか千切れてしまった右腕を拾い上げる私。

『きゃんっ?!』
「あぁ、心配しなくて良いですよ。これ、こうなる事が確定していたモノですので」

 【武人の空間オーラ・プレイス】は、【オーラ】を扱える者の技の威力を倍増させる空間である。しかし、あまりにも強大な技は、技を放つ私の身体すら崩壊させる。あんな凄まじい威力の技を放てるんですから、代償としては安いくらいです。
 
「……というか、なんであんたは平気なの?」
『くぅん?』

 私は、足元でこちらを見上げる灰色コボルトを見ながらそう尋ねる。
 あの技は、普通に強すぎる。放った私ですらこのように腕が千切れてしまうほどの技、この灰色コボルトは余波を受けていたのは確実だ。

 しかし、足が折れた様子もない。健康そのものという様子である。

「(先程の【武人の空間】を放った際に、ヘルオーガと同じく倒れ伏していた様子を見ると、【オーラ】が扱える訳ではない)」

 とすれば、考えられる可能性としては、回復力が桁違いという事。そして、もしくは----

「試してみますか」
『あぉん?』

 千切れてしまった右腕を捨て、私はゆっくりと灰色コボルトの頭を左手で撫でる。

『きゃっきゃっ!』
「なるほど。これは予想外」

 私はそう言って、左手から流していた【オーラ】の放出を止めた。

 さきほど、左手に流していた【オーラ】の放出量は、ヘルオーガにぶつけていた弾丸状にした【オーラ】の量とほぼ同程度。あのヘルオーガが痛みで悶えていた【オーラ】を、この子犬にしか見えない灰色コボルトは無傷でいる。



 ----この灰色コボルトは、適応している・・・・・・



 【オーラ】という力に対して、もう既に灰色コボルトの身体は慣れ始めている。実は先ほどから、こっそりと【武人の空間】を展開しているのだが、灰色コボルトは先程とは違い、普通に立って歩いている。

「マスターが言っていました。人間の強みは、環境適応能力の高さだ、と」

 どんな劣悪な環境だろうとも、すぐに慣れて生存できてしまう。それこそが、数ある人間の強みの1つだと、マスターは私にそう語ってくれていました。
 ……まぁ、その後に他の強みも10個以上語っていたのですが。

 ともかく、この灰色コボルトには高い適応能力がある。
 一匹だけ生き残っていたのは他のヘルコボルトよりも小さくて幼いから、ヘルオーガが見逃したと考えていました。もしくは、ヘルコボルトが群れとして、幼いこの灰色コボルトを守ったから。
 しかしながら、事実は違ったようです。

 この灰色コボルトはその高い環境適応能力から、ヘルオーガに殺されそうになっても、それに適応して生きていた。

「----これは思わぬ拾い物です」

 ヘルコボルト以上に、この灰色コボルトは魅力的な個体であると私は考えました。
 【オーラ】に対して、こんなに早く適応できるというのは、立派な特徴だと言えましょう。マスターも、この灰色コボルトの能力を知れば、きっと興味深いと言ってくれるに違いありません。

「君、うちに来ませんか?」
『くぅん?』

 私は灰色コボルトを生け捕り、もといこの状態で勧誘したのですが、灰色コボルトは状況を分かっていないようで、首を傾げています。意味が通じてませんね、これ。

「(どうしましょうか? 蠍の尻尾から睡眠の毒を入れましょうか?)」

 私に取り付けられている蠍の尻尾からは、様々な毒を放つことが出来る。その中には、相手を眠らせる毒も存在する。
 とは言え、マスターに戦闘特化型として作成された私に搭載されている毒は、めちゃくちゃ弱い。あくまで、他の冒険者などと一緒に行動した際に、治療目的で使うのを想定されている。
 そのため、この毒もほんの少しだけ眠らせる程度の毒でしかなく、【オーラ】をすぐさま適応したこの灰色コボルトの環境適応能力を考えると、使ったとて意味はない。むしろ、自分に攻撃したとして、逃げられる可能性が高い。

『くぅん?』
「あぁ、もう。付いて来いと言っているんです、私は」

 こういう時、話が上手いガンマちゃんのような、巧みな話術があれば苦労せずに、マスターのいる家まで持ち帰ったのでしょう。いや、動物に対しては、ガンマちゃんの巧みな話術も効かなかったかも?

「やれやれ。どうしたモノか」
『どうした、モノ、か?』

 ----びくんっ!

 私は灰色コボルトが放った、意味のある言葉に驚く。

「ははっ! 言葉まで適応したという訳ですか」
『そう、かも?』
「しかも意味まで分かっていると見える。ますます面白い」

 意味が分かっているとなれば、もう素直に言えば良いでしょう。相手はこちらの言葉を理解した、そういう魔物なのですから。

「提案があります、灰色コボルト。もしなんでしたら、私に付いて来てください。会わせたい人が居ます」
『わぉん! たすけてくれた、だから、いいよ』

 そう言って、私の後ろへと移動する灰色コボルト。私が一歩動くと、それに対応して灰色コボルトも付いて来る。

 どうやら、これでマスターの元へ連れて行けるようで何よりです。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...