鑑定士(仮)の小話らしいですよ?

あてきち

文字の大きさ
15 / 50
小話いろいろ

魔神様、ちゃんと呼んでください!

しおりを挟む
「ただいまなのにゃ! 魔神様!」

「あら、ヴェネ? 戻ってきたの?」

「久しぶりの里帰りなのにゃ! というか、魔神様くらいはヴェネの名前ちゃんとフルネームで呼んでほしいのにゃ~」

「えーと、お帰りなさい。……ヴェネツィリアヌしゅとれふぇ……無理。言いにくいわ」

「にゃあああ!? ヴェネツィリアヌストーレフェラルティアーノにゃ! 自分で名付けておいてどうして言えないのにゃ!」

「だって、随分長いことフルネームで呼んでなかったし」

「あ、お帰りなさいなの、にゃん! ヴェネヴェネ♪」

「ケット・シー! ただいまにゃ。お前もヴェネのことフルネームで呼ぶにゃ!」

「それは無理なの、にゃん!」

「何でにゃ! ヴェネは言えるにゃよ! ケット・シー、いや、ケットゥルフェルディアラシルフェン・レバンラシー! さあ、ヴェネの名前を言うのにゃ!」

「だから、吾輩には無理なの、にゃん!」

「だから何でにゃ!」

「ヴェネヴェネの名前なんて、ヴェネヴェネで十分なの、にゃん♪」

「あら、ケット・シー。もしかしてヴェネの名前フルネームで覚えてないの?」

「え!? いくらなんでもそれは無いにゃ、魔神様。一体何千年の付き合いだと思っているのにゃ。魔神様の聖獣同士でフルネームを覚えていないにゃんて、いくらなんでも……」

 ちらり

 サッ

「……」

「……まさか」

「にゃ、にゃん! 細かいことは気にしちゃダメなの、にゃん!」

「細かくないにゃああああ! おみゃあの頭はどうなってるにゃ!」

「そうよ、ケットゥルフェルディアラシルフェン・レバンラシー。大切な仲間の聖獣の名前を言えないなんてとても恥ずかしいことよ。反省しなさい」

「魔神様はどうしてケット・シーのフルネームはスラスラ言えるにゃあああ!?」

「あら? 本当だわ。何の詰まりも、淀みもなく言えたわ」

「きっと、愛情の差なの、にゃん♪」

「にゃああああ!? エコ贔屓にゃああ! ヴェネもちゃんとフルネームで呼んでほしいにゃあああ! 『ヴェネツィリアヌストーレフェラルティアーノ』なのにゃ!」

「わ、分かったわ。ちゃんと言うわ。ヴェネツィりりゃあのしゅ……、ヴェネちりあヌストーレふぉりゃあ……。うー、ヴェネツィリアヌストーレフェラルちあのおおお!」

「魔神様、お顔が真っ赤なの、にゃん♪」

「ああ、もう! どうしてヴェネの名前は上手く言えないの!」

「にょおおおおおおおお!? なんでにゃあああああ!?」









「俺は普通の名前でよかった、おバカだけどこれだけは主神様に感謝だよなぁ」

「うーん? どうしたのカー君?」

「……主神様。俺のフルネーム、ちゃんと言えるよな?」

「え? あー、えーと、カー、ヴァン……くん!」

「カーバンクルだ! マジかよ!? 魔神様より悪かった!?」

 神様もそろそろ人の名前を覚えておくのが大変な年齢に……。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

処理中です...