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小話いろいろ
エマリアVS侍女スティーリア
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「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま、スティーリア。でもお嬢様はやめてくれない? 私はこの家を出たつもりなんだけど?」
「私にとってはずっとエマリアお嬢様でございます。ご容赦ください」
「ふぅ、とりあえずはいいわ。それで馬鹿親父は?」
「申し訳ございません、お嬢様。ただ今旦那様は王宮に出仕中でございます。それといけません、お嬢様。旦那様を馬鹿親父などと。せめて馬鹿お父様とお呼び下さい」
「……それって何か違うのかしら? まあいいわ。とりあえず一休みさせてちょうだい」
「畏まりました」
とうとうこの日が来ました。ステインバルト家の豊穣の女神、エマリアお嬢様がお帰りになられたのです! あら、失礼。私の名前はスティーリア。エマリア様のご実家、ステインバルト家の筆頭侍女をしております。
……あら、女性に年齢を聞くのは失礼でしてよ? あ、エマリア様は56歳です。お嬢様はよろしいのです。だって、まだまだとってもお若いんですから。三桁を越えると年齢は言いたくありませんわね。
おっと、話が逸れてしまいました。申し訳ございません。
それにしても、ステインバルト家の美しき姫君、エマリア様が帰ってきてくださっただけでお屋敷の中が華やぐようです。5年ぶりですもの、私だけでなく他の侍女やメイド達も浮足立っております。5年などエルフにとっては然したる時間でもありませんが、お嬢様のいないステインバルトのお屋敷はまるで廃れた幽霊屋敷のようでした。
いくら美しい旦那様や、弟君のラクリシア様がいようとも、その2人が意気消沈ですもの。お二人ともエマリア様を溺愛しておりましたから、この5年間は本当にお屋敷が暗い雰囲気でした。
「エマリア様、バラの花を浮かべたお風呂をご用意しました。お入りください」
「そうなの? ありがとう」
「お風呂が終わりましたらお体のメンテナンスを致しましょう。もう5年もまともなお手入れをなさっておられないでしょうから念入りに、誠心誠意お手入れさせていただきます。皆、気を引き締めてお嬢様を完璧に仕上げるのですよ」
「「「「「畏まりました、スティーリア様!」」」」」
私の後ろに控えていた侍女達もやる気満々です。折角ですから私も髪のお手入れなどに参加させていただきましょう。
「ひ、必要ないわ! そんなことしなくたって十分綺麗よ!」
「いけませんわ、お嬢様。女性はいくらでも綺麗になれますわ。お嬢様がお美しいのは周知の事実ですが、その至高の宝石はまだまだ輝けますのよ?」
「恥ずかしいもん! スティーリア、今回は見逃して!」
「ほほほほ……エマリア様、5年前よりもお胸が大きくなっておりませんか?」
「な、なぜそれを!?」
「やはりこのままではいけませんわ。肌着やドレスも今のエマリア様の体型に合わせた物をご用意しませんと。やはりエマリア様のお体をじっっっっくり確認する必要がありますね。……お前達、やっておしまい!」
「「「「「畏まりました、スティーリア様!」」」」」
「嫌よ! 逃げ切ってやるわ!」
悲しかな、冒険者生活が長かったためかエマリア様ったら辛くも侍女達から逃れてその日はお体のメンテナンスができませんでした。
でも明日は舞踏会があります。必ずやエマリア様を磨き上げてみせます!
「皆、明日は抜かりなくするのですよ!」
「「「「「勿論です、スティーリア様! 私達もお嬢様の胸を直に見てみたいです! 豊穣の恩恵を私達にも!」」」」」
「ただいま、スティーリア。でもお嬢様はやめてくれない? 私はこの家を出たつもりなんだけど?」
「私にとってはずっとエマリアお嬢様でございます。ご容赦ください」
「ふぅ、とりあえずはいいわ。それで馬鹿親父は?」
「申し訳ございません、お嬢様。ただ今旦那様は王宮に出仕中でございます。それといけません、お嬢様。旦那様を馬鹿親父などと。せめて馬鹿お父様とお呼び下さい」
「……それって何か違うのかしら? まあいいわ。とりあえず一休みさせてちょうだい」
「畏まりました」
とうとうこの日が来ました。ステインバルト家の豊穣の女神、エマリアお嬢様がお帰りになられたのです! あら、失礼。私の名前はスティーリア。エマリア様のご実家、ステインバルト家の筆頭侍女をしております。
……あら、女性に年齢を聞くのは失礼でしてよ? あ、エマリア様は56歳です。お嬢様はよろしいのです。だって、まだまだとってもお若いんですから。三桁を越えると年齢は言いたくありませんわね。
おっと、話が逸れてしまいました。申し訳ございません。
それにしても、ステインバルト家の美しき姫君、エマリア様が帰ってきてくださっただけでお屋敷の中が華やぐようです。5年ぶりですもの、私だけでなく他の侍女やメイド達も浮足立っております。5年などエルフにとっては然したる時間でもありませんが、お嬢様のいないステインバルトのお屋敷はまるで廃れた幽霊屋敷のようでした。
いくら美しい旦那様や、弟君のラクリシア様がいようとも、その2人が意気消沈ですもの。お二人ともエマリア様を溺愛しておりましたから、この5年間は本当にお屋敷が暗い雰囲気でした。
「エマリア様、バラの花を浮かべたお風呂をご用意しました。お入りください」
「そうなの? ありがとう」
「お風呂が終わりましたらお体のメンテナンスを致しましょう。もう5年もまともなお手入れをなさっておられないでしょうから念入りに、誠心誠意お手入れさせていただきます。皆、気を引き締めてお嬢様を完璧に仕上げるのですよ」
「「「「「畏まりました、スティーリア様!」」」」」
私の後ろに控えていた侍女達もやる気満々です。折角ですから私も髪のお手入れなどに参加させていただきましょう。
「ひ、必要ないわ! そんなことしなくたって十分綺麗よ!」
「いけませんわ、お嬢様。女性はいくらでも綺麗になれますわ。お嬢様がお美しいのは周知の事実ですが、その至高の宝石はまだまだ輝けますのよ?」
「恥ずかしいもん! スティーリア、今回は見逃して!」
「ほほほほ……エマリア様、5年前よりもお胸が大きくなっておりませんか?」
「な、なぜそれを!?」
「やはりこのままではいけませんわ。肌着やドレスも今のエマリア様の体型に合わせた物をご用意しませんと。やはりエマリア様のお体をじっっっっくり確認する必要がありますね。……お前達、やっておしまい!」
「「「「「畏まりました、スティーリア様!」」」」」
「嫌よ! 逃げ切ってやるわ!」
悲しかな、冒険者生活が長かったためかエマリア様ったら辛くも侍女達から逃れてその日はお体のメンテナンスができませんでした。
でも明日は舞踏会があります。必ずやエマリア様を磨き上げてみせます!
「皆、明日は抜かりなくするのですよ!」
「「「「「勿論です、スティーリア様! 私達もお嬢様の胸を直に見てみたいです! 豊穣の恩恵を私達にも!」」」」」
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