鑑定士(仮)の小話らしいですよ?

あてきち

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小話いろいろ

クロードの毛繕い

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注意。クロードに甘い話です。苦手な方はご注意ください。







「クロード、どうしたの?」

「え!? いえ、何でもありません。さあ、行きましょう」

 みんなで買い出しをしている途中でクロードが雑貨屋の前で何かを見つめてフリーズしていた。どうしたのか聞いたけどクロードは答えずに先へ行ってしまった。

「何を見てたんだろう? ……これは」





 微笑の女神亭にて今俺とクロードの二人きりだ。リリアンとヴェネくんはたまたまお休みだったジュエルさんに連れられて女性向けの服飾店に買い物に行った。なんでも、女の子向けの服は男と買い物に行くものではないらしい。

 クロードはベッドに座ってしっぽの毛繕いをしていた。手指ですいて余計な毛やごみを取り除いていた。毎日俺の魔法で綺麗に洗っているけど自分でもたまに手入れをするらしい。

「クロード、手ですくのって大変じゃない?」

「いえ、今までもそうして参りましたので問題ございません」

 確かにクロードは手慣れた手つきでサッサと毛繕いを行っていた。

「なんだ、だったらこれ、必要なかったのか」

 買い物袋から取り出したブラシを眺めながら、俺は残念と言ってため息をついた。 

「!? ヒビキ様、どうしてそれを!」

「いや、クロードが気にしてたみたいだから欲しいのかと思って」

「私のために買って下さったのですか!?」

「というか、ブラシを掛けてあげたいなって思って」

「ヒビキ様が私にブラシを掛けて下さるのですか!?」

「そのつもりだったけど必要ないみたいだし無理にとは「ぜひお願いします!」いわない……けど、そう?」

 俺が言い切る前にクロードは俺に背を向け跪いた。しっぽはゆらゆらと揺れて俺のブラッシングを心待ちにしているようだ。

「だったらやらせてもらおうっと!」

 ワンコにブラッシング! 一度やってみたかったんだよね!

 しっぽの付け根から先までブラシをスッと流すとクロードは顎を上げて大きく息を吐いた。背中がはっきりとビクビク動くのが伝わってきた。まるでお風呂に浸かった時にあげる声のようだ。

「気持ちいいの? クロード」

「…………至福です」

 クロードはブラシでひと撫でしただけなのに既に放心状態だ。今まで手すきしかしてなかったとはいえブラシでそこまで気持ちよくなるものなの?

 途中からクロードをベッドに上げてブラッシングをした。だってクロードが跪いていられなくなってしまったから。へたり込むクロードなんて初めて見たかも。初めてのブラッシングはクロードには刺激が強かったらしい。ブラッシングってそんなに気持ちいいものなのかな?

 ついでにしっぽだけじゃなく背中もブラッシングしようと思って服を脱ぐよう言ったら固辞された。背中もだけど腹ばいにしてお腹もブラッシングしたかったのに。

 と言ったらクロードに「流石にそれは耐えられません!」と言われた。何が?

 仕方がないのでしっぽの他は頭から首に掛けてをブラッシングした。まあ、それも蕩けるように喜んでいたから良しとしよう。

 ああ、楽しかった。ところで、抜けた毛は何かに使えないかな? クッションとか?






 ブラッシングを終えたところに帰ってきたヴェネくんになぜかまたお説教されました。
 なぜだ!?
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