鑑定士(仮)の小話らしいですよ?

あてきち

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小話いろいろ

サンドイッチを食べるために

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「美味しいにゃ、美味しいにゃ!」

 今日もヴェネくんはそれはそれは美味しそうにサンドイッチを頬張る。クロードの時も思ったけど、どうやって犬猫の骨格で人間みたいにサンドイッチを頬張っているんだろう?

「ヴェネくんってホント好きだよね、サンドイッチ」
「パンとお肉と野菜を挟んだだけなのに、どうしてこんなに美味しいのにゃ? うまうま……」
「うん、わたしも、美味しい……」

 ヴェネくんとリリアンはパンが好きなのかな? 2人して頬張るたびに顔をほころばせてサンドイッチを食べている。炭水化物とタンパク質って一緒に食べるとなぜか美味しいんだよね。

 薄くスライスした2枚の黒パンの間に挟んでいるのは魔物の肉を薄くスライスして軽く炙ったなんちゃってハムと、スキルで複製した葉野菜、あとは手持ちの調味料で作ったピリ辛風味のソースを挟んだ簡単なサンドイッチだ。

 『宝箱』のおかげで食べ物の鮮度を気にしなくてもよくなったから作れる料理だね。簡単だけどサンドイッチって生ものだから。でも、サンドイッチを食べるならやっぱりあれが欲しい……。

「……サンドイッチを食べるなら、やっぱりマヨネーズがほしいなぁ。そっちの方が美味しいのに」

 この世界の調味料の中にマヨネーズは存在しないようだ。おそらく冷蔵庫がないから保存に向かないんだろう。食べる都度作ればいいと思うのに……いや、そもそも発明されていないのかも。
 よく考えたら北の町の宿屋でもらった白パンのサンドイッチも入ってなかったな、マヨネーズ。確か入っていたのはバターと胡椒だったかな? バターの風味を胡椒の辛味が美味しかったけどね。

「――っ!? 今何て言ったにゃ、ご主人さま!」

 いつの間にかサンドイッチを食べ終えたヴェネくんが俺の顔面に詰め寄った。

「ど、どうしたの? ヴェネくん……」
「今サンドイッチがもっと美味しくなるって言ったにゃ!」
「ああ、マヨネーズがあったらね。でもここにはないし……」
「まにょね~ず? それはここで作れないのにゃ?」
「うーん、確かマヨネーズの材料って、卵とお酢と、油と……塩胡椒もかな? 最低限これくらいはないと作れないよ。今は塩胡椒くらいしか持ってないから」

 『宝箱』が最初から使えれば材料を揃えておいたんだけどなぁ。まあ、これからかな?

「そんにゃ~」
「ヴェネくん、そこまで項垂れなくても……」

 どんだけサンドイッチを気に入ったんだ、ヴェネくん?
 4つ足ついて項垂れ……あれ? 普通に立ってるだけかな……?

「大丈夫だよ、ヴェネちゃん」
「リリアンちゃん……」
「ダンジョンが終わったら、街だよ?」
「――っ!? そうにゃ! 『テラダイナス』へ行けばそれくらいあるはずにゃ! ご主人さま、ちゃちゃっとダンジョンを攻略してまにょね~ずを作るにゃ!」
「つ、着いたらね」
「わたしも食べてみたいの、まよにぇ~ず?」
「着いたら一緒にまにょね~ずを食べるにゃ、リリアンちゃん!」
「うん!」
「……マヨネーズだよ?」

 俺は元の世界への帰還方法を探すため、クロードとユーリは邪神から身の安全を守るため、そしてヴェネくんとリリアンはマヨネーズを食べるために、地底都市『テラダイナス』を目指す。





 ……あれ? なぜかダンジョン攻略のシリアス度が減った!?



『サポちゃんより報告。それは元々です。サポちゃんより以上』
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