御託はいいのでさっさと離縁してください旦那様

影茸

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第15話

 「ふはは、これであの女も……」

 一方その頃、サーダンと同様に目を覚ましていたマーゼブルはとある魔術を広場の大理石に刻んでいた。
 それこそが、聖マリフィナ王国の秘宝であり彼らがマレリアを止められる唯一の手段である封印魔術だった。
 現在聖マリフィナ王国の側に聖獣がいる理由、それはただそこが聖獣の住処であったからであろうと言われている。

 ……けれども真実は違う。

 というのも、聖獣は決して望んで聖マリフィナ王国の地にいるわけではなく、とある封印魔術によって聖マリフィナ王国から離れられないようにしているだけなのだから。
 つまり聖獣は聖マリフィナ王国の人間に戦争の時だけ都合よく使われる兵器のような存在となっているのだ。


「これであの女もどうしようもあるまい!」

 ……そしてその聖獣さえ封印で決まる魔術をマーゼブルとサーダンはマレリアへと使おうとしていた。

 その行為が決して行ってはいけない禁忌であることに気づくこともなく。

 封印魔術の本質、それは決して魔術を封じ込めているわけではない。
 その本質は強引に魔術を発散させているというもので、だからこそ聖獣程の魔力を有していない限りその封印魔術をかけられた人間は生き延びることは出来ない。
 つまり、このまま行けばマーゼブル達はマレリアを殺すことになるのだ。

 「あの顔を恐怖に歪めてやる!」

 ……けれどもマーゼブルはそんなことを知る由も無い。
 聖マリフィナ王国の宰相は今まで誰一人として優秀な人間が現れることはなかった。
 ……だが、その中でもマーゼブルは歴代最低の能力しか有していなかったのだ。
 だからこそ、マーゼブルは封印魔術の本質を調べようともしていなかった。
 ただその魔術はマレリアの自由を奪うだけだとそう勘違いしていたせいで。

 「……あの屑、主様を殺すつもりか」

 …… けれどもその勘違いはマーゼブルの様子を隠れて伺っていたマーサリンに伝わることはなかった。

 そして聖獣を戒める魔術の本質を知るからこそ、マーサリンはとある決断を下す。

 「皆殺しだな」

 ーーー マーゼブルにサーダンは主を殺そうとする真の敵だということを。

 ……その勘違いがどれほどの騒ぎを起こすのか、その時マーゼブルがきづくことはなかった。
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