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第56話 (ライルハート目線)
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牢獄から出て、屋敷を後にした俺は、魔法を使い王宮へと向かって飛び始めた。
冷たい風が頬を掠め、身体から体温を奪っていくのがわかる。
だが、それさえ気にならないほど俺の身体は火照っていた。
俺は内心の熱に侵され、緩みきった口を開く。
「……はは、あの男に会いに行く時に、まさかこんな気持ちになる日が来るとはな」
アイリスに危害を与えられそうになり、行動を起こした。
しかし、本来ならば今アレスルージュを引きずり落すのは、できるだ後にしたかった事態だった。
アイリスを守りながらアレスルージュを引きずり落とす方法なら、一年で俺は準備を整えていた。
それでもその時に行動を起こすことはなかった。
アイリスを守り、アレスルージュを潰すことに対する最大の障害は、公爵家ではなかったからだ。
だから先程までの俺は、アレスルージュを追い詰めいる時でさえ、内心焦燥を抱いていた。
これからどうすればいいのか、この先を想像することもできなかったからこそ。
だが、その不安はもう俺の胸には存在しなかった。
一番大事なものは、もう定まっているのだから。
アイリスは知らないだろう。
今この時、俺を信じてくれたこと。
一番欲しい言葉を言ってくれたことが、どれだけ俺の覚悟を決めたか。
「早く話をつけて、アイリスのところに戻らないとな」
小さく呟いた俺は、宙を飛んだ状態のまま、王宮の奥にある目標の部屋、兄貴の私室へと向かう。
直ぐにその部屋へとたどり着いた俺は、そこに合った窓からその部屋へと入る。
部屋の中には、顔に僅かな驚愕を浮かべた兄貴の姿があった。
しかし、兄貴が驚愕をその顔に浮かべたのはほんの一瞬のことだった。
「……っ! 来たか、ライルハート。……父上が、国王陛下がお前のことを待っている」
険しい表情でそう告げた兄貴には、隠しきれない緊張が浮かんでいた。
だが、その兄貴と対照的に俺は笑った。
まるで、今から仲のいい家族とでも会いにいくような、あまりにも自然な態度で。
「分かりました」
「ライル、ハート? ……いや、今はそんなことはいいか。案内する。後ろについてこい」
そして俺は、兄貴続いて歩き出した……
冷たい風が頬を掠め、身体から体温を奪っていくのがわかる。
だが、それさえ気にならないほど俺の身体は火照っていた。
俺は内心の熱に侵され、緩みきった口を開く。
「……はは、あの男に会いに行く時に、まさかこんな気持ちになる日が来るとはな」
アイリスに危害を与えられそうになり、行動を起こした。
しかし、本来ならば今アレスルージュを引きずり落すのは、できるだ後にしたかった事態だった。
アイリスを守りながらアレスルージュを引きずり落とす方法なら、一年で俺は準備を整えていた。
それでもその時に行動を起こすことはなかった。
アイリスを守り、アレスルージュを潰すことに対する最大の障害は、公爵家ではなかったからだ。
だから先程までの俺は、アレスルージュを追い詰めいる時でさえ、内心焦燥を抱いていた。
これからどうすればいいのか、この先を想像することもできなかったからこそ。
だが、その不安はもう俺の胸には存在しなかった。
一番大事なものは、もう定まっているのだから。
アイリスは知らないだろう。
今この時、俺を信じてくれたこと。
一番欲しい言葉を言ってくれたことが、どれだけ俺の覚悟を決めたか。
「早く話をつけて、アイリスのところに戻らないとな」
小さく呟いた俺は、宙を飛んだ状態のまま、王宮の奥にある目標の部屋、兄貴の私室へと向かう。
直ぐにその部屋へとたどり着いた俺は、そこに合った窓からその部屋へと入る。
部屋の中には、顔に僅かな驚愕を浮かべた兄貴の姿があった。
しかし、兄貴が驚愕をその顔に浮かべたのはほんの一瞬のことだった。
「……っ! 来たか、ライルハート。……父上が、国王陛下がお前のことを待っている」
険しい表情でそう告げた兄貴には、隠しきれない緊張が浮かんでいた。
だが、その兄貴と対照的に俺は笑った。
まるで、今から仲のいい家族とでも会いにいくような、あまりにも自然な態度で。
「分かりました」
「ライル、ハート? ……いや、今はそんなことはいいか。案内する。後ろについてこい」
そして俺は、兄貴続いて歩き出した……
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