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一息つき、覚悟を決めた私は胸に頭を当て俯くネストリアへと、口を開いたり
「たしかに私は、当主になった最初の頃は、後悔した。本当に、何で安易に決めてしまったのかと、過去の自分を恨んだよ。逃げようかと考えたことも二度や3度じゃない」
「……そう、ですよね」
その私の言葉に、腕の中ネストリアの肩が震える。
拒絶されることを覚悟をしながら、それでも耐えきれずに。
「でも、私は逃げなかった。ネストリア、その意味が分かるかい?」
「え?」
けれど、次の瞬間私が投げかけた言葉に、ネストリアは呆気に取られたような声を上げた。
そしてネストリアは、何故そんな質問をしたのだろうかとでも言いたげな様子で、こちらを見上げる。
「私なら、逃げようと思えばそれが出来たことぐらい分かるだろう」
そんなネストリアの様子を見ながら、私はさらに言葉を重ねる。
ネストリアが一番理解できやすい形で、自分の気持ちを伝える為に。
「それでも私は逃げなかった。その理由が、その意味が、ネストリアには分かるだろう」
「……っ!」
その私の言葉に、ネストリアの顔に動揺が浮かび、ようやく彼女が理解したことを私は悟る。
そう。私は、ネストリアに強引に当主にされたからこの場所に残っていたのではない。
自分で決断したからこそ、この場所に立っているのだと。
それは、普段のネストリアなら簡単に分かることでありながら、マストーリ家の惨状に心を奪われる所為で気付けなかったこと。
だが、今のナルセーナは違う。
何故なら、今ネストリアの頭の中には、僕が本当は自分を恨んでいなかったという可能性があるのだから。
この状況で、聡明なネストリアは答えを導き出せないわけがなかった。
「………あ、」
そしてようやくネストリアは理解する。
僕が自分のことを嫌ってなかったことを。
しかし、そのことを理解してもなお、ネストリアの顔から不安げな表情が消えることはなかった。
それは、今まで僕に嫌われていると思い込み、罪悪感を抱え込んできたからの反応。
頭では理解しつつも、それでもネストリアは納得出来ない。
「な、何を!」
そんなネストリアを僕は、強く抱きしめた。
ネストリアが何かをいうのが聞こえるが、それを無視して僕はネストリアの耳元で口を開いた。
「ネストリア、愛している」
「……え?」
私の言葉に、ネストリアの動きが止まった。
まるで想像していなかった、そう言いたげな表情で。
だが、そのネストリアの表情を気にすることなく私は言葉を続ける。
「もし、君が私に罪悪感を覚えているというならば、一つ頼みごとを聞いてくれないか」
何時もは嫌味なくらい鋭いくせに、こういう時だけ鈍感になる想い人に、自分の思いを教えるために。
「ネストリア、私と婚姻してくれ」
「────っ!」
ネストリアの肩が大きく震えたのは、その時だった。
とうやら、ようやくネストリアは気づいてくれたらしい。
どうして私が領主になることを決め、ここまで必死に足掻いてきたか、その理由を。
そう、私がどれだけネストリアのことを思ってここにいるかということを。
「うぐっ」
次の瞬間、ネストリアは嗚咽をあげ、僕の胸を濡らした。
そのネストリアの姿に、使用人達の中に動揺が走る。
そんな中、僕だけはもう全てが終わったという確信していた。
もう、ネストリアが悩み苦しむことはないと。
そんな風に考えながら私は、服を強く掴むネストリアに答えるよう、腕に力を込めた……
◇◇◇
……また、更新遅れてしまい申し訳ありません。
色々とゴタゴタがあり、遅れてしまいました……
あまり上手くないですが、次回はエピローグの予定です。
「たしかに私は、当主になった最初の頃は、後悔した。本当に、何で安易に決めてしまったのかと、過去の自分を恨んだよ。逃げようかと考えたことも二度や3度じゃない」
「……そう、ですよね」
その私の言葉に、腕の中ネストリアの肩が震える。
拒絶されることを覚悟をしながら、それでも耐えきれずに。
「でも、私は逃げなかった。ネストリア、その意味が分かるかい?」
「え?」
けれど、次の瞬間私が投げかけた言葉に、ネストリアは呆気に取られたような声を上げた。
そしてネストリアは、何故そんな質問をしたのだろうかとでも言いたげな様子で、こちらを見上げる。
「私なら、逃げようと思えばそれが出来たことぐらい分かるだろう」
そんなネストリアの様子を見ながら、私はさらに言葉を重ねる。
ネストリアが一番理解できやすい形で、自分の気持ちを伝える為に。
「それでも私は逃げなかった。その理由が、その意味が、ネストリアには分かるだろう」
「……っ!」
その私の言葉に、ネストリアの顔に動揺が浮かび、ようやく彼女が理解したことを私は悟る。
そう。私は、ネストリアに強引に当主にされたからこの場所に残っていたのではない。
自分で決断したからこそ、この場所に立っているのだと。
それは、普段のネストリアなら簡単に分かることでありながら、マストーリ家の惨状に心を奪われる所為で気付けなかったこと。
だが、今のナルセーナは違う。
何故なら、今ネストリアの頭の中には、僕が本当は自分を恨んでいなかったという可能性があるのだから。
この状況で、聡明なネストリアは答えを導き出せないわけがなかった。
「………あ、」
そしてようやくネストリアは理解する。
僕が自分のことを嫌ってなかったことを。
しかし、そのことを理解してもなお、ネストリアの顔から不安げな表情が消えることはなかった。
それは、今まで僕に嫌われていると思い込み、罪悪感を抱え込んできたからの反応。
頭では理解しつつも、それでもネストリアは納得出来ない。
「な、何を!」
そんなネストリアを僕は、強く抱きしめた。
ネストリアが何かをいうのが聞こえるが、それを無視して僕はネストリアの耳元で口を開いた。
「ネストリア、愛している」
「……え?」
私の言葉に、ネストリアの動きが止まった。
まるで想像していなかった、そう言いたげな表情で。
だが、そのネストリアの表情を気にすることなく私は言葉を続ける。
「もし、君が私に罪悪感を覚えているというならば、一つ頼みごとを聞いてくれないか」
何時もは嫌味なくらい鋭いくせに、こういう時だけ鈍感になる想い人に、自分の思いを教えるために。
「ネストリア、私と婚姻してくれ」
「────っ!」
ネストリアの肩が大きく震えたのは、その時だった。
とうやら、ようやくネストリアは気づいてくれたらしい。
どうして私が領主になることを決め、ここまで必死に足掻いてきたか、その理由を。
そう、私がどれだけネストリアのことを思ってここにいるかということを。
「うぐっ」
次の瞬間、ネストリアは嗚咽をあげ、僕の胸を濡らした。
そのネストリアの姿に、使用人達の中に動揺が走る。
そんな中、僕だけはもう全てが終わったという確信していた。
もう、ネストリアが悩み苦しむことはないと。
そんな風に考えながら私は、服を強く掴むネストリアに答えるよう、腕に力を込めた……
◇◇◇
……また、更新遅れてしまい申し訳ありません。
色々とゴタゴタがあり、遅れてしまいました……
あまり上手くないですが、次回はエピローグの予定です。
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