婚約破棄、無かったことにできると思いましたか?

影茸

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22 スレアII

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 私、スレアには前世がある。
 それは日本という豊かな国で女子高生の生を終えた記憶。
 ……そしてそれは私にとってあまりいい思い出ではない。

 最初の頃は決して悪いものではなかった。
 気の強かった私はクラスでリダー的存在になれて、気に入らない人間が居たらすぐにいじめる事が出来た。
 その時の私はまさに女王さまだった。
 あの時は世界が自分にあることを私は疑おうとはしなかった。

 ………けれども、その生活は高校に入ってから変わることとなる。

 中学まで一緒だった取り巻きの大部分と別の高校に入ることになってしまったのだ。
 けれども、私はそんなことは関係ないとばかりに中学と同じように高校でも振る舞おうとして。
 ……そして学校中から孤立することになった。

 そこからは本当に酷い生活だった。

 もちろん私はいじめられて居たわけではない。
 けれども、私を何故か周囲の人間は怖がって近づこうとはせず、私は高校一年生の間を孤独に過ごすこととなった。

 それは、酷く辛い日々だった。
 でも、私の心が折れることはなかった。
 何故なら私はいつか報われると思って居たのだから。
 何せ私は選ばれた人間だ。
 いつかまた昔のように女王さまになれることを、その時になっても私は信じていた。
 そしてそうなれば、私を不当に冷遇した人間全てに思い知らせてやるとも思っていた。

 ………けれども、その私の思いが成就することはなかった。
 高校二年になり、不登校になっていた私の家に、かつて気に入らないと虐めていた一人の女が現れたのだ。
 その女は、私のせいで人生が狂ったと意味のわからない逆恨みをしながら私に襲いかかり、その女が手にした包丁に刺されて私は憐れに人生に幕を閉じた。

 ………はずだった。
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