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2.邪神教徒
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誰にも分からぬよう部屋を抜け出した僕は、そのまま外から王座の窓へと向かい、そして想像以上の自分の動きに言葉を失うことになった。
確かに僕は祖父に鍛えられ、高校生らしからぬ戦闘能力を有してはいる。
だがそれは決してアクロバッティングな動きが出来るという訳ではない。
それなのに僕はまるで戸惑うことなく王宮の壁を登り、あっさり三階にある王座の窓に辿り着くことが出来た。
「これもスキルの効果なのか……」
僕は出来るだけ下を見ないように気をつけながらそう呟く。
下まではどれだけ距離があるのかわからない。
だけども僕はこの高所に命綱無しで窓に張り付いているということに恐怖を抱いている。
だが、それなのに一切身体は震えることはない。
そう、まるで熟練のアサシンにでもなったかのように。
「本当にスキルてチートだなぁ」
まぁ、これだけの能力を発揮するのは召喚者のスキルぐらいだろうが。
そう僕がスキルの規格外さに感じ入っていると、会議室の扉が開いた。
僕は気を引き締め、誰にも見つからないよう壁に身体を貼り付ける。
そして窓の隙間から覗き込むと、貴族達が疎らに集まり出している光景が目に入ってくる。
「ビンゴ、か」
そしてその光景に僕は自分の狙い通りにことが運ばれていることを悟り、口元に薄い笑みを浮かべる。
「全員集まっているな」
だがその笑みは、貴族の全員集まって少し後に現れた国王の姿を目にした途端緊張で固まる。
「っ!」
威厳に満ちて、意思が強そうな面構えと、そして狂気と虚ろに満ちた目。
先程見た時と国王は全く状態が変わっていなかった。
そのことを確かめ、僕の身体に怖気による震えが走る。
だが、そんな僕が窓に張り付いることなど知らず、国王はその顔に恍惚とした笑みを貼り付けて、叫んだ。
「では、始めようか。
ーーー邪神復活に至るための聖戦を」
「っ!」
邪神、その言葉が国王の口から放たれた瞬間僕は思わず絶句した。
そしてそれが、明らかにこの王国が危険なことを示していることを悟る。
「まじかよ……」
想像していた通り、いや想像をさらに超えたこの王国の闇に僕は思わずそう漏らす。
『邪神の為に』
「なっ!」
だが、国王の後に続きそう叫ぶ貴族達に、邪神の時さえも凌駕する驚愕を覚える。
そう叫ぶ、貴族達の目には国王に匹敵する狂気が宿っていた。
「何なんだよ、」
そこの様子はまさに狂信者と呼ぶべきものだった。
信仰対象を疑うことなく信じる、狂った教徒達。
「邪神教徒?」
そしてその姿にポツリも僕の口から、その言葉が漏れる。
それはまさに目の前の集団を表すに等しい言葉で、そのことにさらなる恐怖を覚える。
「さぁ、第1段階である依り代の召喚は成った。無事異界からの召喚魔術は成功した」
『うぉぉぉ!』
邪神教徒達は僕という異分子が紛れ込んでいることに気づくこともなく、そう叫ぶ。
「依り代って僕らのことか!」
そしてその叫びで僕は、この王国にいてはいけないという絶対の確信を得る。
思わぬ事実を知った僕の胸の鼓動が早まる。
確かに良からぬことを企んでいるのではないかとそう思っていた。
いや、確信していたと言ってもいいだろう。
だが、それでも今の話は衝撃的すぎだ。
「慎二に伝えないと!」
僕は音を立てないように、それでも出来る限り全力で窓から降りる。
そして僕は助けを求めるかのように、慎二の部屋めがけて走り出した。
そして、もう大事なことを全て聞いたと勘違いしていた僕は気付かなかった。
「邪神が依り代の一人の身体を得て現世に顕現するまでもう少しだ」
ーーー一番大切なことを聞き逃していたということを。
確かに僕は祖父に鍛えられ、高校生らしからぬ戦闘能力を有してはいる。
だがそれは決してアクロバッティングな動きが出来るという訳ではない。
それなのに僕はまるで戸惑うことなく王宮の壁を登り、あっさり三階にある王座の窓に辿り着くことが出来た。
「これもスキルの効果なのか……」
僕は出来るだけ下を見ないように気をつけながらそう呟く。
下まではどれだけ距離があるのかわからない。
だけども僕はこの高所に命綱無しで窓に張り付いているということに恐怖を抱いている。
だが、それなのに一切身体は震えることはない。
そう、まるで熟練のアサシンにでもなったかのように。
「本当にスキルてチートだなぁ」
まぁ、これだけの能力を発揮するのは召喚者のスキルぐらいだろうが。
そう僕がスキルの規格外さに感じ入っていると、会議室の扉が開いた。
僕は気を引き締め、誰にも見つからないよう壁に身体を貼り付ける。
そして窓の隙間から覗き込むと、貴族達が疎らに集まり出している光景が目に入ってくる。
「ビンゴ、か」
そしてその光景に僕は自分の狙い通りにことが運ばれていることを悟り、口元に薄い笑みを浮かべる。
「全員集まっているな」
だがその笑みは、貴族の全員集まって少し後に現れた国王の姿を目にした途端緊張で固まる。
「っ!」
威厳に満ちて、意思が強そうな面構えと、そして狂気と虚ろに満ちた目。
先程見た時と国王は全く状態が変わっていなかった。
そのことを確かめ、僕の身体に怖気による震えが走る。
だが、そんな僕が窓に張り付いることなど知らず、国王はその顔に恍惚とした笑みを貼り付けて、叫んだ。
「では、始めようか。
ーーー邪神復活に至るための聖戦を」
「っ!」
邪神、その言葉が国王の口から放たれた瞬間僕は思わず絶句した。
そしてそれが、明らかにこの王国が危険なことを示していることを悟る。
「まじかよ……」
想像していた通り、いや想像をさらに超えたこの王国の闇に僕は思わずそう漏らす。
『邪神の為に』
「なっ!」
だが、国王の後に続きそう叫ぶ貴族達に、邪神の時さえも凌駕する驚愕を覚える。
そう叫ぶ、貴族達の目には国王に匹敵する狂気が宿っていた。
「何なんだよ、」
そこの様子はまさに狂信者と呼ぶべきものだった。
信仰対象を疑うことなく信じる、狂った教徒達。
「邪神教徒?」
そしてその姿にポツリも僕の口から、その言葉が漏れる。
それはまさに目の前の集団を表すに等しい言葉で、そのことにさらなる恐怖を覚える。
「さぁ、第1段階である依り代の召喚は成った。無事異界からの召喚魔術は成功した」
『うぉぉぉ!』
邪神教徒達は僕という異分子が紛れ込んでいることに気づくこともなく、そう叫ぶ。
「依り代って僕らのことか!」
そしてその叫びで僕は、この王国にいてはいけないという絶対の確信を得る。
思わぬ事実を知った僕の胸の鼓動が早まる。
確かに良からぬことを企んでいるのではないかとそう思っていた。
いや、確信していたと言ってもいいだろう。
だが、それでも今の話は衝撃的すぎだ。
「慎二に伝えないと!」
僕は音を立てないように、それでも出来る限り全力で窓から降りる。
そして僕は助けを求めるかのように、慎二の部屋めがけて走り出した。
そして、もう大事なことを全て聞いたと勘違いしていた僕は気付かなかった。
「邪神が依り代の一人の身体を得て現世に顕現するまでもう少しだ」
ーーー一番大切なことを聞き逃していたということを。
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