王妃の手習い

視察2

アンドリューの視察は「視察団」というのが正しかった。

他国の王太子による視察なのだから、当然の事だろう。

侍従に護衛、学園側からも学園長や副学園長、理事長も合わさって相当の数となった。

それなのに、誰も学園について説明をしていない。

勿論、学園長を先頭にして歩みの方向を示しているようなのだが、

「オフィーリア」

何のポイントなのか解らないところでアンドリューは唐突に立ち止まる。

そうして、オフィーリアにあれこれ学園お楽しみポイントをレクチャーしてくれる。

大体は、あの銅像は夜な夜な歩くらしいよ。あんなに高い処にあるのに、降りるだけでも大変だ。ご苦労な事だね。
なんて云う学園七不思議の説明であったり

これはね、全部挟んで一度に食べるのが美味いんだよ。私はコレがすっかり好物になって、王宮のメニューにも加えてもらったんだ。片手でも難なく食べられるから執務中にも都合が良いんだよ。

大き目のバンズにパテと卵と生野菜が揃っている「Bランチ」を手際よくハンバーガー仕立てにして"あむり"と齧り付くという、お薦めの食レポートであったりした。


個室サロンではなく、一般の学生食堂の隅のテーブルで、安い旨い大きいと男子学生に人気のメニューをカスタマイズして食す。

隅と言っても、周りを護衛陣に囲まれて、更にその周りを野次馬学生に囲まれている。

人垣の向こうにヘンドリックとアリスティアの顔がチラリと見えて、思わず声を掛けそうになった。

二人はそっと身を隠してしまったけれど。