自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜

ねっとり

文字の大きさ
17 / 38
結果

第17話:過信ってのは判断を鈍らせる。過剰な力を持っているとロクなことが起きない。

しおりを挟む
 俺たちは最上階の一歩手前までたどり着いた。

 いや正確には最上階であろう場所だ。

 重圧な雰囲気を纏った扉からは嫌な感じがプンプンしてくる。

 この先を潜ったら戻れない気すらする。


「どうしたの?」

「ん?あぁなんでもないよ。……最後の封印を解きに行こうか!」

「はーい!」


 俺とリムは扉に手を当てた。




 ◇




 ケイド達が頂上に着いた頃。

 少し下の階層で冒険者3人が魔物相手に苦戦していた。

 彼らは次々と襲い来る魔物を切り捨てては進み、切り捨てては進んでいるが数が多い。

 持ってきたポーションも尽きかけようとしていた。


 思い返せば戦闘ではケイドがタイミングよく回復薬を渡していた。

 回復薬の過剰摂取は体に負担がかかる。

 体全体を回復し過ぎてしまい、肥大化などが起きる場合がある。

 そのタイミングや危険性を熟知してたケイドは流石と言える。


 しかし彼らの考えは違っていた。

 全てケイドが悪い。ただこの一点だった。

 今回もケイド如きがこの量を捌けるはずがない。

 何かズルい方法で自分たちにけしかけているんだと考えている。


 ケイドを追放してから楽なのは初めだけだった。

 最初は口うるさいおっさんを追い出せたことを喜んだ。

 今まで我慢していたことは我慢する必要はなくなった。

 だから自分達が思うように自由に行動してきた。


 絡まれたらボコボコにした。

 酒に酔って気分が悪ければほかに八つ当たりもした。

 SSSランクという権限で恫喝や恐喝もした。

 全てが楽しかった。


 しかしすぐに終わりを迎えた。

 行動が目に余ると注意され、これ以上問題を起こすなら冒険者の資格を剥奪するとも言われた。

 名誉回復のために魔王討伐をすることにもなった。

 だがそれは厄介払いされただけだ。

 いつしかザブラ達は国からも同胞からも嫌われていた。


 それは魔大陸でも同じだった。

 しかしここは人族の管轄は殆どない。

 何をしても咎められることはない。

 彼らはまたやりたい放題へと変わっていた。


 しかし目的は忘れていなかった。

 魔王討伐。これを成し遂げればまた元に戻れる。

 いや元以上か。英雄として持て囃され、後世に語られる存在となれるだろう。

 彼らは魔王討伐に燃えていた。自分達の野望のためにも。


 そして怒りの矛先は全てケイドに向けられていた。

 自由になった反面めんどくさいことも増えた。

 ケイドのせいにした。

 他の冒険者とも揉めた。

 街の出入り禁止までされた。

 全てケイドのせいにしていた。


 いつしか悪いことが起きると、全てケイドのせいにしていたのだ。

 ただの思い込みだが、時が過ぎれば思い込みも現実と区別がなくなる。

 ひさびさにケイドと会った時、一瞬現実を見そうになったがすぐに振り切った。

 安心した寝顔でおぶられている子供を見て、実はケイドがいい奴なのかと思った。

 しかし長い年月をかけて恨んできた思いは消すことができなかった。



 パーティ内でも少し亀裂が入っていた。

 全員が全員に不満を持っていた。

 今まではケイドを共通の敵として認識していたが今は違う。

 そのケイドも今はここにいない。

 メンバー同士の不満はケイドを悪者にすることによってなんとか保たれていた程。

 この戦闘でもそれは出ていた。


「ザブラ!ポーション投げてよ!」

「あぁ!?今こっちやってっから無理なんだよ!」

「イコル、私のでいいなら……」

「はぁ?持ってんならさっさと出しなさいよね!」


 戦闘に入るたびにこれだ。

 今まで培ってきた連携はほとんどなくなっていた。

 個人としては確かに強いので、今までピンチを迎えたことは殆どない。

 だが、言葉も強くなり相手を思う余裕はない。


「だぁ!くそッ!!全部あのおっさんが悪い!!」


 ザブラに至っては掛け声になっている。

 情報が少ない状態での塔攻略。

 準備が疎かであれば死ぬ危険性すらある。

 それをケイドが行けるなら俺たちもいける。と勘違いからの今だ。


「ねー!もうおっさん死んでんじゃね?」

「気持ち悪いの……生きてそう」


 ようやく一区切りをつけた時、イコルが口を開いた。

 フレイもそれに乗っかるように声を上げたが、ザブラには届いていないらしい。

 何かブツブツ言いながら剣の手入れをしている。


「ねー聞いてんのザブラ」

「あ?うっせーな。おっさんみっけたらぜってーぶん殴ってやる」


 この大量の魔物もケイドが仕掛けてると思っているのだろうか。

 魔物とはいえ自分より遥かに強い相手には本来手を出さない。

 ケイド達が順調に進んでいたのは訳があったのだ。

 そのツケで生き残っていた魔物がザブラ達に襲いかかってるとも言えるが……。


「もうそろそろ頂上だろ。おっさんの死体も見てねぇってことはそこにいる」

「最悪ね。魔王との戦いで邪魔しなきゃいいけど」

「……汚い」


 3人は少し休憩を取ると、頂上へ向かってまた歩き始めた。





 ◇




「リム!避けろ!!」


 それは開けた瞬間だった。

 俺は目の前から放たれたナニカを察知し、とっさに声を上げた。

 予知眼ビジョンアイが発動する直前まで殺気を抑えていたのか。

 それとも扉が開いた瞬間に何も考えずに放ってきたのかわからない。

 だが間違いがないのは、俺たちが狙われてたってことだ。


 間一髪避けることは出来た。

 俺もリムも無事だ。嫌な汗だけがひたいを流れている。


「ケイド、あれが今回の目標?」

「あ、あぁ。そのようだな」


 いつの間にかリムが戦闘モードへ移行している。

 あの恐ろしい攻撃を避けるのに通常モードでは無理と判別したのだろう。

 俺の予知眼ビジョンアイが発動したってことは、そういう事だ。


 だが少しまずい事態になっている。

 避ける時に分断されるような形になった俺たちの目の前には悪魔達がいた。



 1人は俺たちが攻撃を避けたことに少し驚いた顔をしている男。

 リムの目の前だ。

 その男は青白い肌をしており、鍛え抜かれた筋肉が見える。

 頭からは2本の立派なツノ生えており、濃厚な魔力を纏っていた。

 間違いなく強敵。今までのどんな魔物よりもだ。


 そして俺の目の前にいるのは黒い肌の男。

 目が赤くギラついていて、体の線は細いが纏っているオーラは強者だ。

 赤い髪を揺らしながら俺たちを睨んでいやがる。


「ほう、今のを避けたか」


 リムの前にいた男が口を開いた。

 その声は静かでありながら何かを確証するような言い方。

 どうやら俺たちが来るのを待っていたみたいだ。


「リム、俺が相手をするかーー」

「絶対にダメ。ケイドに何て言われようとリムも戦う」


 リムが俺に真剣な眼差しを送ってきた。

 こうなったリムは歯止めが効かねぇ。

 多分これ以上俺が何を言っても無駄だ。


「……おーけぃ。んじゃそっちを頼めるか?」

「はーい。ケイドも気をつけてね」


 2人で立ち上がり構えを取る。

 それを待っていたかのように悪魔2人も構えを取った。


「邪魔者は私が相手をする。ベリアルはそっちのおっさんを頼んだぞ」

「承知しました」


 おいおいおい。

 見ず知らずの悪魔におっさん呼ばわりされたぞ俺。

 本来悪魔なら俺よりも年上……まぁいいか。

 ここで勝てなかったら終わりだ。

 最後の封印、必ず解いてやる。

 そして、未来を掴む。





 ここが予知眼ビジョンアイで見た景色だとしてもな。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。

向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。 幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。 最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです! 勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。 だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!? ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...