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第1章 魔法を極めた王、異世界に行く

21:森にきた盗賊団-2

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「あ゛ぁ!? んじゃ望み通り殺してやるよ!」

 ディグドが持っていた剣を力任せに振り下ろしてきた。なんて事はない、純粋な力に任せた切り下ろしだ。
 魔力もロクに扱えないくせに威勢だけはいい奴だな。剣の速度もあくびが出るほど遅いし、こんな威力じゃ俺には届かない。
 俺は振り下ろされた剣を指一本で受け止めてやった。

「こんなもんか?」
「はぁっ!?」

 ふむ、ボブゴブリンよりは確かに強い一撃だったが、ホブゴブリンに毛が生えた程度か?
 生憎、有象無象の強さは俺の物差しだと単位が足りなくて測りきれない。ただ雑魚だというのだけはわかる。

 指で受け止めた剣をそのまま払ってやると、ディグドは2,3歩後退した。どうやら全力で叩きつけてきたのだろう。簡単に弾き返されたことによって、若干顔が青ざめているように見える。

「はっ! わかったぞ!? なけなしの身体強化だな!?」
「……はい?」
「せっかく殺さないように優しくしてやったのによぉ! 謝るなら今のうちだぜ? スキルを使って全力で殺してやる!」

 周りの雑魚も「やっちまえー!」なんて声を出してる。唯一何が起こったか正確に理解してるのはエリィだけだな。
 俺が攻撃を弾いたおかげで冷静さを取り戻し、今度はちゃんと魔力凝視から相手の力量を測ってる。最初からやらなかったのは減点だが、まぁ修行を増やすだけにしといてやろう。
 そんな事を考えていると、ディグドがもう一度俺に向かって剣を振り下ろしてきた。

「死ねや! 剣技スキル、地獄落とし!」

 どうやらさっきよりは魔力を乗せているらしい。いやスキルを使ってと言っていたが、それが前にエリィが話していた技だろうか。
 "地獄落とし"という割にはさっきと変わらず上から振り下ろしてくるだけだ。

 一応警戒して少し多めの魔力で腕を覆って振り払ったが、さっきよりちょっとだけ重く感じた斬撃も簡単に弾くことができた。
 スキルの存在は気になっていたが、こんなものなのか? それともこいつが弱いだけか?
 俺に簡単に弾き返されたディグドがもっと青ざめながら俺を見続けている。

「ば、化け物か?」
「お前が弱すぎるだけだろう」

 まぁいい。もうこいつらの底は知れた。周りにいるモブ達もディグドの攻撃が通じなくて怯えちゃっているじゃないか。
 逃げ出されたりしても困るから、ここはちょっと威圧しておこう。

 盗賊団達は、俺のひと睨みで完全に戦意を無くしその場に崩れ落ちた。目覚めてから逃げられてもめんどくさいので、丈夫な蔓で動けないように手足を縛る。
 あとは目が覚めてから次の段階に行くかな。

「エリィ、いつから動けるようになった?」

 テキパキと盗賊団を処理する間、エリィには今さっきまで自分が何していたかを知る必要があるので問いを投げた。
 別に怒っているわけではない。トラウマがすぐに払拭できるとも思わないからな。

「師匠が剣を弾いてから……です」
「俺は今まで何を伝えてきた?」
気配察知サーチと魔力布衣を怠るな……です」
「それと?」
「……初めての敵には、魔力凝視を行い相手の強さを鑑定しろとも……」
「そうだよな?」
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