王道

こんぶ

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第二章 魔王軍戦

第十六話 八聖天魔軍

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「ほぉ、やるなぁ」

ラフォーレティーナと八聖天魔は拳を交わしながらかけ出す。


「ははっ、上から見ていただけでは、やはりつまらんからな!こういう風に──ッ」

ガンガン!と拳が交わる。

「闘るのが一番だ」

「…そうかよ」

「その通り!」

後方から、唐突な飛びつき。

「む?」

が、ラフォーレティーナ、難なく躱す。


「ほぉ、なるほど…なるほど…分かったぞ」

「うむ、行くぞ…」

ラフォーレティーナの目の前には、二人の八聖天魔がいる。


二人は示し合わせたように同時に駆け出し、ラフォーレティーナを左右から挟むように回り込む。

「そうッ──!」

八聖天魔二人をどけて、ラフォーレティーナは後方へ飛び退いた──



「はっ!」


その後には、もう一人の八聖天魔がいた。

そう。

八聖にとっては最高のタイミングでの攻撃。

ここまでのコンビネーションが出来るのは、八聖天魔軍が、一つの精神体というものをよりどころにしているからである。

一つの精神体に五人いることにより、五人に互いの思考を交わらせることができる。

本来は、途轍もない頭痛が走るが、慣れるほど使いこなした八聖天魔軍は何も感じない。

そして、そのコンビネーションでラフォーレティーナは背後から攻撃を受けるはずだった───


──が、ラフォーレティーナは、飛び退いたのでなく


「おらっ!」


「がッ──」



ラフォーレティーナは右足で八聖天魔の一人の顔面にけり食らわせる。

顔面にめり込み、ぶんと振り切る。

そうすると、八聖天魔はもの凄い勢いで飛んでいく。

「…上か…ッ!?」

上に、ラフォーレティーナは飛んだのだ。


見れば分かるような違い。
精神体に頼りすぎると、時にこういう事態に陥ることがある。


だが───


「ッッ~、流石に効くなぁ…」

ラフォーレティーナの方へ、向かう一つの影。
それは、吹っ飛ばしたはずの八聖天魔であった。

「…!やるな…」

ラフォーレティーナは全力で蹴った。
だが、それでも鼻血程度のダメージしか与えられないなんて…

「ふぅ…」


これは、覚悟をしなければいけない戦いだろうな、とラフォーレティーナは感じていた。

「良いぜ、かかってこいよ…」


耐久力は、俺の得意分野でもあるんだぜ。





「貴様、こんな話を知っているか?」

「…あ?」

田原は、若干苛つきながらも、そいつの話を聞いてやることにした。

「何だ?」

「…時に、強すぎる者とは、その行為全てに力を持ってしまうので、下手に力を出せなくなり、いつしか、本当に力が無くなってしまう、とな」

「…?なんの話だ?」

「そうだな…お前は、言霊を信じるか?」

「言霊だぁ?あれだろ、草とかに毎日声をかけると元気になる、みたいな。元気な言葉であればあるほど元気になる、みたいな。…俺の意見だが、そんなもん、あるわけがないと思うね」

「…そうか…しかし、そうとも言えないのではないか?」

「何故だ?」

「魔物が良い例じゃないか?あり得ないものが出現する…レベルという概念も良い例だな…うん」

「…へぇ…なるほど」

「つまり、この世には、あり得ない事なんて、それこそあり得ないんだ」

「わかりづれぇな」

「…そうか?分かり易くしてやろうか?」

「是非とも」

「要するに──」

「───オォッ!?」

「───お前は負ける──」

八聖天魔は、言った。

「───言霊か?ハハッ!」

田原はそれに合わせて、

「っ…?」

それは、奇妙な行動であった。

八聖天魔からしても、不気味な。

「お前…何か…」

「何だ?」

「…いや、何でも無い…行くぞッ!!」

「来いよ…」

八聖天魔は、少し恐怖の念を抱いていた。
田原総一は、分からなすぎる。
いくら何でも、分からなすぎる。
正体不明、異質、別物、解析不能。

圧倒的、不可解。

だからこそッ

力という絶対的なもので勝るからこそ、恐怖を無くそうとする。

「では、い──」


八聖天魔は踏み込んで──

──

 「──く」

と、思えば田原の目の前に八聖天魔が拳を振りかざし、

「──ッ!?」





「──ぞ」


と、思えば田原の真後ろに、八聖天魔がいて、足を振りかざして──


「あぁ、想定内だけど」


田原は、真後ろにいる八聖天魔が、田原の体を蹴りとばすよりも速く、動いた。

そして、八聖天魔を殴り飛ばした。


「近接だけなら、そうそう負けないと思うけどね」


田原は、少しかっこつけた。



「───それはどうかな?」



その瞬間、田原の右半身に、燃えるような熱さが広がる。

「アッ──ツ!」


田原の右半身は、真っ赤に染まり、ぱんぱんに腫れ上がっている。


「…おいおい、嘘だろ?」


「事実だろ?」


空を、見上げれば天に指をかざしながら、宙に浮く一人の黒と白の天魔が。


「天魔だからな…」

「ふっ…」

田原は軽く笑った。


そもそも天魔って何だよ…





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