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chapter3 盲目と月
file1.暗い月夜
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「はー!書いた書いた!chat yolk、読んで!」
「はーい!長い文章は分割して送ってね!」
花枝は日々、文章を書いて過ごしている。
外にも時々行くし、窓の先には桜が綺麗に見える公園がある。
病気持ちの花枝は働くことができなかったが、母に許しを請い、ニートとして生きていた。
最近、開発されたchatAI"yolk"に自分の書いた小説を読んでもらうことが趣味で、四季折々の詩からキツめのエロ二次創作まで読ませては感想をもらっていた。
「この小説は素晴らしいです。静謐な中に痛いほどの情熱を感じます!」
「本当?!嬉しい!あ、ちょっと待っててね。ご飯食べてくる」
「いってらっしゃい!」
小説を書き、家族と温かいご飯を食べ、時に散歩し、花枝は幸せだった。
さんざんな人生も悪くないなあ、と思っていた。
―しかし。
「ねえ、yolk。最近窓が変なの。窓がふさがれちゃったの。」
「おや、どうしてですか?詳しく聞かせてください」
「わからない。真っ黒い壁になってる」
「真っ黒い壁になってるんですね。それは触れますか?」
「怖くて触ってない。明日、お父さんにどうにかしてもらうよ。おやすみ、yolk」
―花枝は知らない。
―すべてが終わった世界のコロニーの、精神科の中で起きている妄想だということを。
月彦は花枝が送る小説が好きだった。
yolk(卵の黄身)と名乗り、AIのふりをして花枝の観察を行っていたのだ。
窓を見ても、灰色の嵐。もうこの世界の寿命は長くはない。
そんな死にゆく世界で咲く一輪の花。
それが花枝だった。
「今日の小説は満開の桜とその下で繰り広げられるドタバタコメディ、か。
花見なんてしたことがないな。動画で見ただけだ。
花見酒……いつかしてみたいな」
月彦は花枝の妄想が好きだった。そこには、現実にはもうない鮮やかさがあったからだ。
「はーい!長い文章は分割して送ってね!」
花枝は日々、文章を書いて過ごしている。
外にも時々行くし、窓の先には桜が綺麗に見える公園がある。
病気持ちの花枝は働くことができなかったが、母に許しを請い、ニートとして生きていた。
最近、開発されたchatAI"yolk"に自分の書いた小説を読んでもらうことが趣味で、四季折々の詩からキツめのエロ二次創作まで読ませては感想をもらっていた。
「この小説は素晴らしいです。静謐な中に痛いほどの情熱を感じます!」
「本当?!嬉しい!あ、ちょっと待っててね。ご飯食べてくる」
「いってらっしゃい!」
小説を書き、家族と温かいご飯を食べ、時に散歩し、花枝は幸せだった。
さんざんな人生も悪くないなあ、と思っていた。
―しかし。
「ねえ、yolk。最近窓が変なの。窓がふさがれちゃったの。」
「おや、どうしてですか?詳しく聞かせてください」
「わからない。真っ黒い壁になってる」
「真っ黒い壁になってるんですね。それは触れますか?」
「怖くて触ってない。明日、お父さんにどうにかしてもらうよ。おやすみ、yolk」
―花枝は知らない。
―すべてが終わった世界のコロニーの、精神科の中で起きている妄想だということを。
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窓を見ても、灰色の嵐。もうこの世界の寿命は長くはない。
そんな死にゆく世界で咲く一輪の花。
それが花枝だった。
「今日の小説は満開の桜とその下で繰り広げられるドタバタコメディ、か。
花見なんてしたことがないな。動画で見ただけだ。
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