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いつもの夢
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五歳ぐらいだろうか?篠原健太は蟻の行列を笑顔で見ていた。蟻達は死骸になった蝶の体の一部を軽々と運んでいる。蝶を運んでいる蟻達は、もうすぐ巣に辿り着きそうだ。
健太は蟻達に向かい健気に「がんばれ」と声援を送った。
あと数㎝で巣に届きそう。そう思った時、健太の耳に、その音が響いた。
「ぐちゅっ!」
完熟したトマトを握り潰したような、何とも嫌な音だ。
音が聞こえた瞬間、健太は目を閉じた。そして、ぎゅうっと閉じていた瞳を、恐る恐る開けた。
最初に目に入ったのは、人の姿だった。健太の前に、三歳年上の麻生零士が立っている。零士は健太の顔を、じっと見詰めている。健太は何も言わずに、見詰め返した。
音が何もしなくなった。音のない世界で、健太はただ、零士を見詰め続けている。その音のない世界に音が生まれた。
「ぱっ」
小気味良く聞こえた音は、開かれた零士の口から聞こえた。静寂故に、口を開く音さえも聞こえたのだろう。
健太の視線は導かれるようにして、大きく開かれた零士の口へと向かった。
その口から、新たな音が生まれた。
「ぐちゅっ!」
零士はそう言うと、踏み付けていた蟻達が運んでいた蝶をつまみ上げ、健太の方へと投げ付けた。
ゆっくりと近付いてくるそれを、健太は顔を歪ませ避けた。
逃げなきゃ。健太は何故かそう思った。
意識せずとも足が動いた。健太は両手を振って、零士の元から逃げ出した。
後ろから足音が消えた。振り返らずとも、近付いて来るのが分かる。呼吸を忘れて走る健太は、無我夢中で走った。しかし、誰かの手が健太の肩を掴んだ。
健太は蟻達に向かい健気に「がんばれ」と声援を送った。
あと数㎝で巣に届きそう。そう思った時、健太の耳に、その音が響いた。
「ぐちゅっ!」
完熟したトマトを握り潰したような、何とも嫌な音だ。
音が聞こえた瞬間、健太は目を閉じた。そして、ぎゅうっと閉じていた瞳を、恐る恐る開けた。
最初に目に入ったのは、人の姿だった。健太の前に、三歳年上の麻生零士が立っている。零士は健太の顔を、じっと見詰めている。健太は何も言わずに、見詰め返した。
音が何もしなくなった。音のない世界で、健太はただ、零士を見詰め続けている。その音のない世界に音が生まれた。
「ぱっ」
小気味良く聞こえた音は、開かれた零士の口から聞こえた。静寂故に、口を開く音さえも聞こえたのだろう。
健太の視線は導かれるようにして、大きく開かれた零士の口へと向かった。
その口から、新たな音が生まれた。
「ぐちゅっ!」
零士はそう言うと、踏み付けていた蟻達が運んでいた蝶をつまみ上げ、健太の方へと投げ付けた。
ゆっくりと近付いてくるそれを、健太は顔を歪ませ避けた。
逃げなきゃ。健太は何故かそう思った。
意識せずとも足が動いた。健太は両手を振って、零士の元から逃げ出した。
後ろから足音が消えた。振り返らずとも、近付いて来るのが分かる。呼吸を忘れて走る健太は、無我夢中で走った。しかし、誰かの手が健太の肩を掴んだ。
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