約束ノート

村上未来

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約束ノート

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 聞きたくない音だ。太陽園で起きた、あの忌まわしい事件の時に聞いた音と酷似している。健太は体を硬直させたまま、恐る恐るゆっくりと目を開けた。そこは血の海だった。
 遥の頭が歪み、そこから勢い良く血が出ている。
 遥の目の前に立つ和也は、白のスーツを着ていたはずが、今は真っ赤なスーツを着ている。血だ。
 和也は前のめりに倒れ込む遥を受け止めた。

「…遥?…遥!」

 微動だにしない遥の体を揺すり、血塗れの和也は叫んだ。
 そこで終わった。クーラーの効いた部屋で目覚めた健太は、汗だくで目覚めた。
 健太は辺りをキョロキョロと見回すと、溜め息を吐いた。

「…夢か」

 夢だった事に安堵した健太だが、しばらくの間動けずにいた。頭を左右に振り、夢の残像を振り払う。そして健太は、煙草に火をつけた。
 深呼吸をするように、ゆっくりと吸った煙りを吐き出す。その行為を幾度か繰り返した健太は、壁に掛けられている時計を見た。十一時を少し回っている。灰皿に煙草を押し付けた健太は、立ち上がった。

「…掃除したら、出掛けるか」

 テーブルの上に転がる空き缶を見て、健太は独り言を言った。
 空き缶をゴミ袋に投げ捨て、テーブルを拭く。そして掃除機をかけた。
 一仕事終えた健太は、シャワーを浴びてからアパートを出た。その足は駅へと向かっている。
 駅に着いた健太は、電車に乗った。土曜日だからだろうか、車内には子供連れの家族もいる。
 幼い子供が、車窓から見える風景をはしゃぎながら見ている。健太はその光景を、微笑ましく見ていた。
 電車はホームにその巨大な体を滑り込ませて、停まった。電車から大勢の人が、ホームへと降り立っていく。その中の一人が健太だ。
 混雑するホームを歩き、改札を抜けた。
 賑わう駅ビルを出ると、日差しはよりいっそう厳しくなっていた。シャワーですっきりとした体に、汗がじんわりと滲み出した。
 昼時は過ぎているが、食事を済ませていない健太は、めぼしい店を探しながら歩いている。

「…あれ、ここ?」

 健太はとある店の前で立ち止まった。
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