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幕引き
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雅史が取調室に入って二時間が経過した。未成年をいつまでも拘束しておく訳にはいかない。上から指示が出た。
「…今日は帰っていいよ…また、話を聞きにいくから」
本意ではない言葉を口にした相田は、頭を下げる事なく雅史を取調室から送り出した。
雅史が廊下を歩いていると、玄関付近に置かれたベンチに座る静香に目が止まった。静香は項垂れるように座っている。
「…母さん」
雅史は微笑みを浮かべた。
顔を上げた静香は、椅子から立ち上がり泣きながら雅史に駆け寄った。
「雅史!大丈夫だった!?何もされてない!?」
「大丈夫…心配掛けたね…ごめんね」
雅史は笑顔を浮かべたままだ。
「…良かった!無事で良かった!」
静香は雅史を力強く抱き締めた。その時、雅史は思った。
愛されている。絶望する顔が見たい。
雅史は抱き締められながら、不気味な笑顔を浮かべた。
捜査はその後、進展を見せた。
鹿島葵。彼女が殺された夜に立ち寄ったコンビニの防犯カメラに、青木らしき人物の姿が録画されていた。顔と頭をサングラスと帽子で隠していた為、直ぐには分からなかったが、画像を分析した結果、それが青木である可能性が高い事が分かったのだ。
葵がコンビニを出た後、その青木らしき人物も直ぐに店を出ている。
青木は葵を狙ってコンビニに居たのか、たまたま居たのかは今では分からない。しかし、天は雅史に味方したようだ。
相田と彩花の進言は受け入れられなかった。警察は葵殺害の犯人を青木として捜査する方針を固めた。
新庄弥生。彼女の体に残された刺し傷と一致するナイフが青木の自宅から見付かった。また、事件当夜、弥生を尾行する青木の目撃情報も寄せられている。警察は青木を犯人死亡のまま検挙する事を決めた。
二階堂琴音。彼女の首に残された絞殺痕と一致するロープが、青木の自宅から発見された。
捜査は順調に進んでいるように思えたが、不思議な点も見付かっている。
青木の自宅で発見された平田亜由美の絞殺痕を調べると、前方から締められた形跡があったのだ。
雅史の証言によれば、亜由美は青木にロープで締められている時に雅史の両腕を掴んでいる。亜由美の両手の爪の隙間からは、雅史の皮膚の一部が見付かっている。亜由美が雅史の腕を掴んだのは間違いないだろう。
雅史の両腕を亜由美が苦しさのあまり掴んだ。そこから推測できるのは、雅史は亜由美の前方に居たという事だ。そうでなければ、両腕を掴むのは困難だろう。雅史が亜由美の前方にいたのならば、青木は前方以外から亜由美の首を絞めなければならなかっただろう。しかし、亜由美の首に残されている絞殺痕は、前方から絞められた痕だ。相田と彩花はそれを伏せ、雅史に亜由美が殺された時の詳しい状況を聞きにいった。
「…今日は帰っていいよ…また、話を聞きにいくから」
本意ではない言葉を口にした相田は、頭を下げる事なく雅史を取調室から送り出した。
雅史が廊下を歩いていると、玄関付近に置かれたベンチに座る静香に目が止まった。静香は項垂れるように座っている。
「…母さん」
雅史は微笑みを浮かべた。
顔を上げた静香は、椅子から立ち上がり泣きながら雅史に駆け寄った。
「雅史!大丈夫だった!?何もされてない!?」
「大丈夫…心配掛けたね…ごめんね」
雅史は笑顔を浮かべたままだ。
「…良かった!無事で良かった!」
静香は雅史を力強く抱き締めた。その時、雅史は思った。
愛されている。絶望する顔が見たい。
雅史は抱き締められながら、不気味な笑顔を浮かべた。
捜査はその後、進展を見せた。
鹿島葵。彼女が殺された夜に立ち寄ったコンビニの防犯カメラに、青木らしき人物の姿が録画されていた。顔と頭をサングラスと帽子で隠していた為、直ぐには分からなかったが、画像を分析した結果、それが青木である可能性が高い事が分かったのだ。
葵がコンビニを出た後、その青木らしき人物も直ぐに店を出ている。
青木は葵を狙ってコンビニに居たのか、たまたま居たのかは今では分からない。しかし、天は雅史に味方したようだ。
相田と彩花の進言は受け入れられなかった。警察は葵殺害の犯人を青木として捜査する方針を固めた。
新庄弥生。彼女の体に残された刺し傷と一致するナイフが青木の自宅から見付かった。また、事件当夜、弥生を尾行する青木の目撃情報も寄せられている。警察は青木を犯人死亡のまま検挙する事を決めた。
二階堂琴音。彼女の首に残された絞殺痕と一致するロープが、青木の自宅から発見された。
捜査は順調に進んでいるように思えたが、不思議な点も見付かっている。
青木の自宅で発見された平田亜由美の絞殺痕を調べると、前方から締められた形跡があったのだ。
雅史の証言によれば、亜由美は青木にロープで締められている時に雅史の両腕を掴んでいる。亜由美の両手の爪の隙間からは、雅史の皮膚の一部が見付かっている。亜由美が雅史の腕を掴んだのは間違いないだろう。
雅史の両腕を亜由美が苦しさのあまり掴んだ。そこから推測できるのは、雅史は亜由美の前方に居たという事だ。そうでなければ、両腕を掴むのは困難だろう。雅史が亜由美の前方にいたのならば、青木は前方以外から亜由美の首を絞めなければならなかっただろう。しかし、亜由美の首に残されている絞殺痕は、前方から絞められた痕だ。相田と彩花はそれを伏せ、雅史に亜由美が殺された時の詳しい状況を聞きにいった。
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