約束ノート

村上未来

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自分

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 小羽は心の中に姿を表した、本来の小羽の人格に向かい叫んでいる。
 健太はその声を聞き、目を開けた。

『駄目だ!健太君を殺させない!もう人を殺すのはたくさんだ!』

 本来の小羽が、心の中で叫んでいる。

「うるさい!お前は俺に従ってればいいんだ!約束ノートに書いただろ!こいつを殺すって!約束ノートは絶対なんだ!」

 健太は眉を寄せ、独り言を叫ぶ小羽を見詰めている。

『約束ノートなんてたんなるノートだ!約束を守る意味は無い!』

「うるさい!うるさい!うるさい!約束ノートに書いた約束は絶対なんだ!」

 小羽は健太から一歩離れ、ナイフを滅茶苦茶に振り回した。
 健太の顔すれすれにナイフは空を切る。健太はまばたき一つせず、小羽を見詰め続けた。

『約束ノートは絶対なんだな!?なら、こうしたらどうだ!』

 小羽は突然ナイフを床に落とし、走り出した。
 跪いた小羽は、床に転がるペンを取り、開いている約束ノートに左手を添えた。

「何をする気だ!」

 小羽は首を激しく振った。

『こうするんだよ!』

 小羽は約束ノートに文字を書き込んだ。

「止めろ!止めろおぉぉぉ!」

 小羽はペンを走らせる右手を左手で押さえつけた。しかし、右手は止まること無く、ノートの上で踊り続けている。
 ペンが止まった。書き終えたのだ。
 小羽の視界に、その文章が飛び込んだ。

「なんでだよ!なんでそんな事書いたあぁぁぁ!」

 小羽は涎を垂らしながら叫んだ。

『僕は篠原健太君を殺さない』

 歪な文字で、その言葉が約束ノートに新たに加わった。

『もう誰も殺さない』
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