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死神
しおりを挟む「ご主人様、目をお覚ましください。
申し訳ないのですが、お時間でございます。」
体を揺さぶられ、目を覚ませばそこには小綺麗なタキシードを着た老人が立っていた。
真っ白な白髪頭がヘルメットのようにジェルでシチサンに固められ、漫画からそのまま出てきたような執事の格好をしている。
「えっと、僕は電車で寝ていたような気が、、、」
老人から目線を外し、周りを見渡すと、どうやら古い館の一室に僕はいるようだ。
座っていたはずの電車のソファは、アンティーク調の木製チェアに変わっている。
どこかしらか古臭いが香り、体を動かせば、床が軋む。
中世期のイギリスのような内装に僕は圧倒される。
驚きを隠せない僕を見かねて、
執事の格好をした老人が話し出す。
「安心してください。走馬灯現象により"亡くなった直後の記憶"が失われることはよくあることです。数時間経てば…」
亡くなった?
ちょっと待ってくれ。僕はまだ死んでいない。
電車に揺られ、寝てしまっただ…け?
ここで僕は異変に気付く。
ミンチした肉をすり潰すような気色悪い音が聞こえ、足元を見下ろせば、自分の内臓が床にこぼれ落ちていた。
「う、うわぁ!!なんだよ、これ!ぼ、僕の内臓が、、!!」
さっきまで新品だったスーツは血に染まり、魔法にかけられたかのようにみるみる体と服がボロボロになっていく。
そして、B級映画に出てくるゾンビ姿になった僕は察した。
僕は死んだのだ、と。
「よろしければ、死ぬ直後の記憶を
思い出していただくために、状況説明を
致しましょうか?」
非日常的な光景にも関わらず、顔色を
変えず淡々と話を進める老人が
気色悪く感じたが、僕はゆっくりと
うなづいた。
ゆっくりとした口ぶりで老人は
「まず、ご主人様。あなたは“森川美緒”
によって殺されました。」
僕は思わず、言葉を失った。
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