【R18】魔王一家の天使な花嫁

おうぎまちこ(あきたこまち)

文字の大きさ
21 / 45
第7話 魔王の寿命、神の迎え

21




「魔王候補が誕生するということは、すなわち、現存する魔王の死期が近いということ」

「――――!!」

 魔王の死期が近い――。

「そ、そんな……」

 唇が戦慄く。
 それは身体中に広がって行って、全身に震えが走って止まらなくなっていく。

「じゃあ、お父様は……」

「そうだ。俺は寿命だ。遅かれ早かれ死ぬ。俺が死んだ後、天使に生まれ変わった後も類稀なる力を持って生まれてしまったお前が、再び誰かの犠牲になるのは見たくない。だから、俺の身勝手かもしれないが……お前を守れる男にお前のことを託したかった……」

「あ……」

 だから、お父様は私の夫候補にはなろうとしなかったのだ。

「だけど、私は――」

 ――私が好きなのは――異性として愛しているのは貴方だと――。

 そう伝えようとした瞬間――。

 突然。

 真夜中の地上に煌々とした光が発生する。


「何……!?」


 そうして、自分たちの頭上に現れたのは――。


「貴方は……?」


 豪奢な金の髪に、限りなく透明に近い青い瞳をした美丈夫。
 彼の背にはいくつもの純白の羽根が生えている。


「ああ、神の野郎……セラフィーがあいつら三人の中から誰か選ぶ前に来ちまったのかよ……」

 どうやら、現れたのは神――つまり、現在のセラフィーの実の父親。

『魔王ベリアル、時間です』

 そうして、ベリアルお父様の姿がまるで蜃気楼のように揺らめいた。

「お父様……?」

 困惑している中、近くの空間がぐにゃりと蠢いて、悪魔三兄弟が顔を出してきた。

「魔王様! セラフィー!」
「姫様」
「魔王閣下……!」


 すうっと闇に溶け始めていたベリアルが口を開く。


「愛している、セラフィー……どうかあいつらの誰かと幸せに……」


「あ、待って! お父様! お父様!」


 だが、思い虚しく、ベリアルお父様は忽然と姿を消したのだった。

 空を掴んだ手を降ろし、私はへなへなとそこに座り込んだ。

「……だって期限はハロウィンだって……」

 そうして、神が頭の中に直接語り掛けてくる。

『魔王は寿命でした――聖なる力を持つセラフィーの近くにいたことで、死が加速したにすぎない』

「私が一緒にいたせいで……残り少ないお父様の寿命を削ってしまっていた……? そんな……」

『私は本当は貴女を魔界の住人にするのは惜しいと思っていました。魔王候補の中から夫を選べないのでしたら、私とともに天界に還りましょう、セラフィー……このまま魔に染まってしまったら、貴方は天使の力を保てなくなる』

 語り掛けてくる神に対して私は返した。


「だったら――私は天使じゃなくったって良い……!」


『セラフィー』



「お父様のそばにいさえすれば、私は……!」


 ――お父様の魂はもう消滅してしまった……?


(いいえ、悪魔も天使も魂が完全に消滅するまでには、少しだけ時間があるはず……)


 だったら――。


「お父様を――魔界の最下層――地獄に迎えに行きます……!」



 神の制止を振り切って、魔界よりも遥か地下にある地獄へと私は向かうことを決めたのだった。

感想 0

あなたにおすすめの小説

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

淫紋付きランジェリーパーティーへようこそ~麗人辺境伯、婿殿の逆襲の罠にハメられる

柿崎まつる
恋愛
ローテ辺境伯領から最重要機密を盗んだ男が潜んだ先は、ある紳士社交倶楽部の夜会会場。女辺境伯とその夫は夜会に潜入するが、なんとそこはランジェリーパーティーだった! ※辺境伯は女です ムーンライトノベルズに掲載済みです。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。