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第8話 地獄の試練
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私と悪魔三兄弟達は、魔界の最下層――地獄へと向かっていた。
地下だというのに雷鳴が轟き、地獄の業火がゴウゴウと燃え盛っていて、降りれば降りるほどに瘴気が色濃くなっていく。
(ちょっとだけ苦しい……)
いつもは自然に動く純白の羽根も、意識しないと羽ばたかせることが出来そうにない。
喘ぐように呼吸を断続的に繰り返していると――。
「大丈夫か、姫様?」
同い年のバエルが私の隣に現れたのだった。
「はい、なんとか……大丈夫です」
「そうか、あまり無理はしないでほしい……その……」
何か言いかけた彼の方に視線を移すと、少しだけ寂しそうな凛々しい横顔が目に入った。
「オレは言葉の意味をそのまま受け取ってしまうところがある。なんとなく姫様が無理をしているなって分かっても、大丈夫だと言われると、それ以上は踏み込めない」
「あ……」
「だけど、姫様はベリアル様の前ではいつも本心を言っていたなって思います」
バエルが寂しそうに微笑むと、私の心臓は少しだけズキンと鳴った。
「セラフィー姉様」
そうして、反対側にフォルネウス君が現れる。
「ボクもバエル兄さんの言うことがよく分かるよ」
「二人して同じことを……?」
「うん。姉様にはさ、魔王様が必要なんだよねってホントは分かってたんだ。だけど、もしかしたらって思って、婚約者になったのを喜んでいたけどね」
なんだか胸がぎゅうっと苦しくなる。
「ごめんなさい、二人とも……せっかく婚約者候補になってもらったのに……あの……!」
そうして、兄弟達の顔を見ようとした時――。
「え?」
周囲が真っ暗闇に包み込まれてしまった。
「どういうことなの……? 三人とも、どこ……!?」
「セラフィー、おそらく地獄の入り口だよ」
アスモデウスお兄様の声が一声だけ聴こえたけれど、それ以上反応はなかった。
視界が奪われてしまったことで、前後不覚に陥る。
「きゃあっ……!」
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