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ある日の昼下がり。
つわりもだいぶ落ち着いてきた頃。
なんとなく身体が怠くて横になって過ごしていたら、異母妹のカノンが屋敷を訪れたのだ。
「お姉さまのことが心配なのです、贈り物だけでもぜひ」
心が狭いかもしれないが、夫の正妻の座を奪おうとしてくるカノンと顔を会わせるのが怖かったのだ。
彼女はレティシアを「異母姉は病弱でわがままですぐに癇癪を起こすけれど、本当は良い人なのです」と嘘を吹聴してまわっている過去がある。
それに、カノンをアルフォンスの正妻にしたい継母が何を自分に送ってきているのか分からないから、断ることにした。
臥せっていると、侍女が飲み物を持って現れた。
うっすらと赤い液体が白磁のカップに注がれている。
「どうか、こちらをお飲みになってください」
「ありがとう……」
妊娠してからは飲食物に関してはかなり厳重なチェックが入るようになっていた。
持って来たのが長年公爵家に勤めている侍女だったことも災いした。
レティシアがカップに口づけ液体を一口飲んだ瞬間。
「あつっ……!」
舌先が灼けるように熱かった。
しばらくすると痺れはじめ、意識が朦朧としはじめる。
そうして……
「あ……お腹が……痛い……」
下腹がじくじくと痛む。
レティシアの額に玉のような汗が滲む。
目の前が白濁していく中、そのまま意識を手放したのだった。
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