【R18】異母妹を正妻にするのでしょう? でしたら、悪妻の私は死ぬことにしますね

おうぎまちこ(あきたこまち)

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「奥様、大変申し上げにくいのですが……」

 あれほど喜んでくれていた老医師の表情は翳りを帯びていた。
 それからの言葉は、まるで自分がかけられた言葉ではないかのように、他人事のように感じた。

「あの人には言わないでください……」

 アルフォンス様の失望した顔を見るのが怖かった。

「分かりました」

 それだけ言い残すと、老医師は部屋から立ち去って行った。

「私の……赤ちゃん……」

 レティシアはもう空っぽになってしまった下腹を擦る。
 視界が滲んで前が見えない。
 どれだけ嘆いても取り返しがつかない。
 哀しいことに、結婚して数年の間に張り付いた笑顔を浮かべるのが得意になった。けれども、子どもを死なせてしまって、どんどん笑えなくなってきた。
 最初は無理して笑っていたけど、次第に自分が何を考えているのか分からなくなってしまった。
 せっかく出来た子どもも死んでしまった。
 いいや……

「私が殺したようなものね……子どもも守れなかったような私には……価値がないわ……」
 
 熱いものが頬を伝う。

「ごめんなさい」

 もう誰もいなくなった下腹を擦る。
 辛い。
 辛くて仕方がない。
 けれども、そんな時でも夫が姿を現すことはなかった。



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