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5 4人の邂逅
32 アイザック
しおりを挟むアイザックの胸の内はミリーでいっぱいだ。
別の女性が入るような隙など存在しない。
そんななか、まだ妻だった人物と性行為に及ぶ必要が出てきた。
(正直、何かの玩具でも抱いているような気分だ)
アイザックはマリーンを組み敷くと、憎々しげに囁いた。
「君は、本当に、男なら誰でもいいんだな」
「そんなこと、ないわ……私は……だって……」
マリーンは目を伏せ、言いよどんだ。
彼女を見て、アイザックはイライラと怒りがわいてくる。
「君はバッシュ先輩のことしか愛していなかったもんな」
今から男女の営みをしようという者たちとは思えないほど、空気感は冷え切ったものだった。
「それは……その……」
「俺との結婚は、バッシュ先輩への当てつけだったんだろう? 本当にふざけてる……」
「当てつけなんかじゃ……」
マリーンの唇がわなないた。
その時、アイザックが強引に彼女の衣服を剥いだ。彼女の滑らかな乳房がまろびでる。
「きゃっ……!」
アイザックの瞳は爛々と輝く。まるで獰猛な獣のようだ。
組み敷かれているアイリーンは血の気をなくしている。
「お前を見ても何も感じないが……あいつのことを考えたら、俺は男になれる」
そういって、おもむろに衣服を脱いだアイザック。
彼の昂った獣の先端は、先走りの雫を零し始めていた。
「なあ、マリーン、夫の最後の務めを果たすつもりだ……なあ、ずっとお前が処女で恥ずかしがっているからって、ずっと加減して、最後まで抱いていなかっただけなんだ……」
マリーンの体はカタカタと震え始める。
「あ……あの……あ……怖い……」
「詫びだと思って、俺のどんな激しさにも耐えてくれないか、なあ、妻よ……」
わざとらしく「妻」と呼んだアイザックは、マリーンの悲鳴など聞こえないかのように、びりびりと衣服が裂ける甲高い声が室内に響いた。
――もう二度と男に抱かれたいと思えなくなるほどの恐怖を、彼女に――。
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