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第1話 天涯孤独、はじまりは電話から side百合
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しおりを挟む困っていたら、ふと、お母さんが生前「何かあったらこの人に連絡して」って連絡先を渡されていたことを思い出したんだ。
知らない人に頼るなんて出来ない!
そう思ったけれど……。
アパートの大家さんから、お金が払えないなら出て行ってもらわないといけないって言われちゃって……。
おそるおそる電話したら、男の人が電話に出たんだ。
「もしもし? え? ああ、君は加賀美の……」
優しい雰囲気で渋い声のおじさん。
そう言えば、お母さんの病院にお見舞いによく来てくれていた男の人だ。
――まさか、私のお父さん……?
そんな風に思っていたけど、さすがに違うみたいだった。
おじさんが私に声をかけてくる。
『百合さん、行く宛てがないのかい?』
「はい、そうなんです」
『そうだ。あのね、僕が海外出張でしばらく家を空けないといけないのだけど……僕の家に住み込みで家事手伝いをしてくれないかい?』
「ええっ……!??」
思いがけない話だったけれど、話を要約したら、住み込みの家政婦さんとして雇ってもらえるみたい……。
しかも、高校の授業料と生活費も立て替えてくれるんだって。
それはさすがに申し訳ないって伝えたら、大人になって返してくれたら良いからって言ってくれた。
「本当にいいんですか?」
『ああ、いいよ。加賀美との契約みたいなものがあるからね』
――契約?
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