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第9話 好きなものは好きだからしょうがない side百合

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 自分の身につけているエプロンの柄を思い出してしまったのだ。

 ――国民的アイドルのネコとイヌのイラストが描かれている。
 
 小学生の家庭科の授業で作ったエプロンを着ていたよ……!

 中学生や高校生って、もっとキレイめなエプロンをつけたりしているよね……。

 なのに私ときたら……!

 でも貧乏だし、それに、このイラストのキャラクターのこと、子どもの頃からずっと好きなんだもん!

 だけど、やっぱり子どもっぽいって、思われちゃうのかな……。

 一人で百面相をしていたら……。

「どうしたんだよ、加賀美百合……お前こそ顔色悪いぞ」

「え? ええっと……その……」

 思い切って打ち明けてみることにした。

「このエプロン、子どもっぽいですよね……!?」

「は?」

「中学時代も、同級生の女の子達から、ちょっと子どもっぽいって言われたりしていて……」

 出会って数日しか経っていない瀬戸先輩に、謎の相談を持ちかけてしまった。

「ええっと、今のはなし! なしです! 気にしないでください!」

「ああ、確かに……」

 ああ、やっぱり先輩もちょっと子どもっぽいって思ったよね。

 少しだけガッカリしていた、その時――。



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