こわモテ男子と激あま婚!? 〜2人を繋ぐ1on1〜

おうぎまちこ(あきたこまち)

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エピローグ こわモテ男子と激あま婚!?

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 午前中にあった試合が終了して、昼は皆で打ち上げにいって、わいわい騒いだ。

 陽が傾きはじめたぐらいに、瀬戸先輩と私は、一緒にお家に帰っていた。

 そうして、通りかかったのは、初めて――。

 ううん、2人が再開した思い出のバスケットコート。
 バスケットゴールの下に私たちは辿り着く。

「なあ、加賀美百合、お前に話が――」
「瀨戸先輩の話したいことって?」

 私たちの言葉が重なった。
 一度だけ大きな風が吹いて、2人とも静かになる。
 向き合う格好になると、瀬戸先輩が真剣な表情になった。
 優しい風が瀬戸先輩の短くて黒い髪をさやさやと揺らす。
 彼の長くて黒い睫毛が震えた。
 そうして、薄い唇をゆっくりと開く。

「……お前と出会えたおかげで、本当に大事なものを取り戻せた。ありがとう」

「いいえ、取り戻せたのは、瀬戸先輩自身の力です」

「お前なら、そう言うと思ったよ……」

 そうして、彼が続ける。
 いつになく真剣な表情でこちらを見てくるものだから……。
 心臓がドキドキして落ち着かない。

「親が言った婚約者だからじゃない……この間も言ったが、俺にとって、お前は特別な存在なんだ――」

 ――特別。
 
 その言葉が胸をもっと高鳴らせていく。

「そうして、お前にとっての特別も、俺であってほしいと思ってる……」

「瀬戸先輩……」

「なあ、加賀美百合、お前にとって俺はどんな存在なんだ……?」

 試合の時みたいに真面目な顔の瀬戸先輩。
 適当にはぐらかしたらダメだ。
 私は自分の胸の中に問いかける。

「私にとっての瀬戸先輩は……」

 瞼を閉じる。

 小学生の時から推しのセト君。

 高校生になった瀬戸先輩。

 2人とも同じ人で……。

 
 ……ずっとずっと追いかけてきた、私の推し。

 
 だけど――それ以上に……。


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