【R18】敵国将軍の、愛妾になったはずですが!?

おうぎまちこ(あきたこまち)

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第1章 敵国への旅路

第5話―2


 きゅっと唇を引き結んだ後、話しかけようとしたら……ちょうど、彼の赤紫色の瞳が朝陽に輝いていた。なんだかキラキラとした宝石のように見えると、子どもの頃はよく手をかざしていたことを思い出す。
 そっと、彼の頬に手をやる。

「……相変わらず、朝は紅玉のように見えて、不思議な瞳ですね」

 だが、反応がない。
 見ると……イクシオンは硬直していた。

「あ、ごめんなさい、私ったら、昔のくせで……」

「ラフィーネ姫!」

 ……イクシオンが突然、がばりと抱き着いてきた。

「きゃあっ……! あまりこういう性急なのは嫌いだと、先日伝えたはずで……」

 自分から触れておきながら、反論してしまう。
 彼の体温がやけに熱くて、頭の芯がくらくらしてきた。
 抱きしめられても、だいぶ振りほどけなくなっている自分がいる。

(……まだ再会して二日だというのに……しっかりなきゃ)

「ラフィーネ姫」

「は、はい」

 切望するような声音が耳に届く。

「俺も……俺は……ラフィーネ姫のことをキレ…………」

 私の心臓がドキンと跳ねる。

「キレ……?」

 ……綺麗だ……そう言いたいのだろうか?

「……キレ……」

「キレ……?」

 ドキドキしながら待つと……

「……切れ味の鋭い刃のような女性だな……と」

 ……一気に心が冷えていく。

「まだ山頂までは遠いのでしょう? 準備をしたいので離れていただけますか?」

 想像以上に、切れ味が鋭い低い声音が出て来た。
 彼の身体が戦慄いているような気がしたが……気のせいだと思って、そっと力ない腕から逃げ出したのだった。


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