【R18】敵国将軍の、愛妾になったはずですが!?

おうぎまちこ(あきたこまち)

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第2章 王都での蜜月

第10話―3


 あまりに衝撃的な光景に、悲鳴を上げることも出来ない。

「シオンっ……!」

 助けないといけない……!
 私はもつれる脚で、彼の元へと向かう。

「シオンを離しなさい、ポムウルフ!」

 大人ポムウルフにしがみつこうとした、その時。
 イクシオンの両手が動いて、大人ポムウルフの顎をがしりと掴んだ。

「シオン……!」

 大人ポムウルフの顎を開く。
 そうして……
 魔獣の唾液にべったりと汚れたイクシオンが顔を出した。


「お前は! なんでこういう過激な挨拶しか出来ないんだよ!」


 気でも触れたのか?
 まさか魔獣である大人ポムウルフに向かってイクシオンが叫んだ。
 私が唖然としていると、再び大人ポムウルフが彼に飛び掛かろうとしている。
 その瞬間、イクシオンが衝撃的な言葉を紡いだ――!


「いい加減にしろ!! リンダ!!」


 ――リンダ?

 寝転がっている女性の名前を、どうして魔獣に向かって放ったのだろうか?
 私が混乱していると、しゃがれた女性の声が突如聴こえる。


「そなたに隙がないかどうか試しているのだよ、イクシオン」


(ん? 空耳?)

 だがしかし……どう考えても魔獣が喋ったような気が……したのだが……?

(普通の魔獣は、喋らないのが普通で……?)

 普通っていったい何なんだろう?
 黄金の獣がこちらへと悠然と振り向く。

「イクシオン、わらわの説明を怠っているのではないか? 月光姫はどうやら困惑しているように見える」

 彼女?の言う通りだ。
 私の頭の中は疑問符でいっぱいになっている。
 ひとまず疑問を口にしてみることにした。

「だってリンダさんは、そちらに倒れている女性では?」
 
 私は地面に倒れた金髪女性へと視線を移した。

「ところで、あの女性は誰だ? リンダ」

 イクシオンの問いかけにリンダと呼ばれるポムウルフが答えた。

「ああ、あの金髪の女か。あれはお前に言い寄ろうとするふりをした悪党よ。警吏に突き出してやろうと思ってな。お前のことだ、気を持たせたかして下手な振り方をして、相手を逆上させたのだろう」

「言われてみれば、いつだったかの侯爵令嬢か……それにしたって、リンダ。姫様の前で変なこと言うなよな。俺は誰かに気を持たせたことはないし、下手な振り方だってしていない。正直な気持ちを伝えただけだ」

「左様か。だが、真実や正論は人を傷つけることもあるのだよ」

「釈然としないが……まあ、助かったよ、リンダ」

 平然と魔獣と会話するイクシオン。

(確かにシオンは「リンダと恋人同士はあり得ない、知り合いの女性からシオン君を預かっている」って言っていて……女性のポムウルフだけど……普通は魔獣は喋らなくて……?)

 だが、どう贔屓目に見ても、イクシオンがリンダと呼んでいるのは魔獣で……


「え、え、え――――――!?」


 周囲に私の叫び声が響いた。



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