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第2章 王都での蜜月
第10話―5
屋敷に戻ると、気づけば夕方を過ぎていた。
夕食や湯浴みを済ませた後、寝室の続き間でイクシオンと二人で先ほどの一件について話す。
「リンダさんがポムウルフだなんて、思ってもみませんでした」
「いや、俺もリンダと言えばポムウルフだという先入観があったものだから、説明を怠ったのが良くなかった」
「だって、女性だって言うから、その……」
「ちゃんと女性扱いしないと怒るんですよ、リンダは」
げんなりしているイクシオンに、私は問いかける。
「イクシオン将軍、腕を見せていただけますか?」
すると、イクシオンが申し訳なさそうな顔をしながら、腕をめくって見せてくれた。
「気持ち悪くないでしょうか? 貴女がそばにいるようになって、進行が落ち着いてはいるのですが……」
「そうなのですか?」
「はい」
イクシオンが頷くと、私も力強く頷き返した。
「気になさらなくて大丈夫です。陛下も体質と言っていましたし、時々、貴方の腕に見えていたので……」
そっと彼の前腕を見る。
「鱗というか、鱗のような痣ですね、赤紫色の」
イクシオンが愕然とした表情を浮かべていた。
「ラフィーネ姫がそばにいるようになってから、鱗が段々と消失しつつあったが……それでも朝はまだ触ると硬かったのに……もう痣になっているなんて……」
「じゃあ、私がそばにいるのが良いのでしょうか? それとも、例えば、私の持つ癒しの魔術が影響しているのだったら、かけた方が良いのかもしれませんが……」
「ああ、しかし、生命力や魔術を俺に分けすぎて、俺がまた満月の日みたいになっても困るでしょう?」
「それは……そうですけれど、でも早めに完治する方法を見つけた方が……」
「ああ!! それは大丈夫です!!」
突然、イクシオンが声を上げる。
「どうしてですか? 早く治した方が……」
「だって! 完治したら、貴女は俺のそばから離れるんでしょう?」
「はい、そのつもりですが……」
「だったら、今のところ症状は落ち着いているので、早めに完治させなくても平気ですから! じゃあ、このままここにいたら、変なことをしそうなので、俺は去ります! では!」
勢いよく言いたいことだけ叫ぶと、イクシオンはその場を立ち去ろうとする。
「……シオン!」
私は思わず彼の服の袖を掴んだ。
「私がそばにいた方が、貴方の進行が落ち着くのなら……近くで眠ってくださって構いませんから」
思いがけず大胆なことを告げてしまったと自分でも思う。
(私はいったい何を言って……)
自分自身の振る舞いに当惑する。
イクシオンはといえば……
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